カイロプラクティックについて、整体について

 

カイロプラクティックは、脊椎と神経系の関係に着目したヘルスケア

 

カイロプラクティックは1895年にアメリカで創始された療法です。(ギリシア語源でカイロ=手、プラクティック=技術を意味します)

カイロプラクティックとは、脊椎(背骨や骨盤など)やその他の関節と神経の機能に注目した専門医療です。

カイロプラクティックは身体の自己治癒力を重視しています。治療には通常ストレッチや持続圧、関節へのマニュピレーションなどの手技を用います。マニュピレーションの目的は、脊椎(背骨)やその他の関節の動きと機能を改善することにあります。(参考:厚生労働省「統合医療」に係る情報発信推進事業 )

わかりやすく言えば、背骨や骨盤などの関節の動きの異常などを手技を用いて調整することで、神経の働きを回復するヘルスケア(保健医療)です。

人間の身体は主に脳を司令塔とする神経系が制御・統括していますから、神経の働きがスムーズであれば、(原因や程度にもよりますが)人間は自らの力(自己治癒力)で症状を改善したり、健康を維持できるいう訳です。

一般的なカイロプラクティックについての明は、以下の動画からもご覧いただけます。医学的には適切な表現ではありませんが、動画内では一般の人が分かり易い様に「ゆがみ」という表現が使われています。

動画:カイロプラクティックとは


WHOが公認している正統なヘルスケア(保健医療)

画像:WHOへのWFC(世界カイロ連合)加盟承認を伝えた記事

カイロプラクティックは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、EU諸国などを中心に、現在までに世界47の国と地域で医療専門職として法制化(資格制度化)されています。

欧米では、プライマリ・ケア(第一次医療)として、X線診断機器の使用や診断権等が認められています。

また、国連のWHO(世界保健機関)でもカイロの科学性、安全性、公益性を認めており、世界85カ国で構成されるカイロの国際統括組織であるWFC(世界カイロプラクティック連合)をNGO(非政府組織)の正式メンバーとして承認しています。

これは、民間療法の整体とは異なり、カイロプラクティックが正統なヘルスケア(保健医療)の専門職として、国際社会に認知されていることを意味します。

WFCの日本代表団体は一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)です。WFC、JACの活動については、下の動画からもご覧いただけます。

動画:日本カイロプラクターズ協会について

WFCについて知りたい方はWFCの政策宣言をご覧下さい。

 

整体について(カイロプラクティックとの違いは?)


日本では、整体とカイロプラクティックとを混同している人も多いのですが、両者は似て非なるものです。

整体というのは日本の民間療法の総称です。ルーツについては諸説ありますが、「整体」という言葉については大正時代に使われ始めたことが分かっています。

また、療術家の野口晴哉が、昭和20年代前半に、当時あった様々な療術をまとめた「整体操法(野口整体)」を創設、出版したことで、整体の言葉が世間に知られる様になったものと考えられています。

ただ、現在行われている整体の殆どは野口整体とは別ものであり、今日では「体を整える療法」という広義的な解釈で汎用されているのが現状です。

例えば、整体という名称であっても、古武術、古武道を由来とするもの、欧米のカイロプラクティックやオステオパシーの技術の一部を取り入れた様なもの、指圧やマッサージの様なもの、ストレッチや体操の様なもの、スピリチュアル系のもの、加持祈祷の類など..多種多様です。

主に各整体や個人の考え(整体観?)、また過去の経験に基づき行われている療法であるため、「整体とは何か」という明確な定義および学問的な体系というものはありません。それゆえに、特に決まった教育のシステムというものはありません。(注:整体の効能を否定するものではありません)

整体の場合、独学、または発案者である整体師の下で技術を習う「師弟制」や、整体師が経営するスクール・塾に入校し、技術を学ぶという形式が一般的です。

一方、正式なカイロプラクティックというのは、欧米先進諸国で法制化され、WHOが認可していることからもお分かりの通り、医学・科学的に裏付けられ発展してきた治療法(医療・補完代替医療)です。

学問としても確立されており、正規な施術者(カイロプラクター)や研究者の養成は大学・大学院で行われています(例えば、スイス、デンマークでは、医師と同じ医学部での教育が行われています)。

日本では「カイロプラクティック≒最高レベルの整体」と評している人もいらっしゃる様ですが、上記からも分かる様に、本質的に異なる両者を比較することには無理があります。

補足:日本医師会の医学用語辞典では、「カイロプラクティック⇒脊椎徒手療法」また「カイロプラクター⇒脊椎手技療法の専門家」と記載されています。尚、整体、整体師についての記載はありません。

未だカイロプラクティックの法律の無い日本では、誰でも自由にカイロプラクティックの看板を掲げたり、カイロプラクターを名乗ることが出来るため、混同や混乱、誤解を招く原因となっています。



カイロプラクティックには国際的な基準があります。



国際社会では、既にカイロプラクター(施術者)の教育基準や業務基準などがあり、カイロが法制化されている国はその基準に準拠しています。

これは2005年にWHO(世界保健機関)が作成したガイドラインによるもので、 ガイドラインでは、安全で効果的な業務を行うには4200時間以上の大学専門教育(学位取得レベル)、又はそれに準じた教育の履修が必要だとされています。

因みに、これは日本の医療類似行為の国家資格である柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師などの教育履修時間(2400時間)を大きく上回るカリキュラムとなっています。

また、医師や歯科医師がカイロを行う場合には、別途2200時間以上の専門教育の履修が必要だとしています。

つまり、脊椎(背骨や骨盤など)を安全に正しく治療するには、専門の医学的な知識と技術が必要だということなのです。(参考:2005 世界保健機関ガイドライン)

詳細についてはWHO基準(国際基準)のカイロプラクティックとはのページをご覧下さい。

 

カイロプラクティックの有効性について

一昔前には、カイロプラクティックの有効性について懐疑的・否定的な意見もありましたが、近年の本格的な調査・研究によって、それらは過去のものとなっています。

カイロプラクティックの有効性を認めた主な調査研究

国名 調査研究機関
アメリカ(米) 米国連邦政府ヘルスケア対策研究局
・米国厚生省(ランド研究所)
イギリス(英) 英国政府臨床スタンダード委員会
NICS(英国国立臨床評価機構)調査委員会
オーストラリア
豪厚生省メディケア受益検討委員会
EU(欧州連合) 欧州(9カ国)慢性腰痛ガイドラインワーキンググループ
スウェーデン スウェーデン政府代替医療委員会
ニュージーランド ニュージーランド政府カイロプラクティック調査委員会
カナダ カナダ・オンタリオ州政府(マンガレポート)
・カナダ・ケベック州政府調査委員会
国連組織 世界保健機関(WHO)カイロプラクティック調査委員会
調査機関 調査研究報告書
日本腰痛学会 日本腰痛学会・腰痛診療ガイドライン(2012年)
米国内科学会 ◆米国内科学会と米国疼痛学会における統合臨床診療ガイドライン(2007年)
◆急性と亜急性の頚部痛に対する脊椎マニピュレーション、薬物治療、運動指導の比較研究(2012年)
◆急性、亜急性、慢性の腰痛に対する保存療法の臨床業務ガイドライン(2017年)
運動器の10年調査委員会 運動器の10年・頚部痛とその関連疾患の調査(2008年)
国際ガイドライン研究チーム オピオイド系鎮痛剤療法と非癌性疼痛のガイドライン(2017年)
ランセット 腰痛シリーズ(2018年)
BULLETIN(WHO) 腰痛のケア:医療制度は対応できているか(2019年)

各国の調査研究の詳細はカイロプラクティックの安全性・有効性についてのページをご覧下さい。


適応症&禁忌(不適応症)

カイロプラクティックは特定の疾患名(西洋医学的な病名)に対する治療法ではありません。(勿論、施術を行うにあたって考慮はします)

カイロプラクティックは神経系(体性神経、自律神経)の働きを正常化することにより、症状の改善に自己治癒力(身体の持つ薬)を利用するという立ち位置の療法です。

そのため、関節や神経の機能異常に起因する様々な症状の改善が期待できます。

筋骨格系の症状としては、腰痛、ギックリ腰、背中の痛み、寝違え、ムチウチ、首の痛み、頭痛、肩こり、肩の痛み、膝の痛み、手や腕の痛みやシビレ、足や脚の痛みやシビレ、股関節の痛み、姿勢のゆがみ等です。

また自律神経系の症状としては、手足の冷え、高・低血圧、生理痛、だるさ、気力が出ない、ストレス、内蔵機能の低下、老化防止、病気予防などにも効果が期待できます。

尚、カイロプラクティックの禁忌(不適応)な問題には、癌、出血しやすい病気、高熱を伴う病気、伝染病、骨折などの外傷が挙げられます。


カイロプラクティックの施術方法について

カイロプラクティックでは、神経の伝達異常を起たす原因となる、脊椎(背骨や骨盤)などの関節に発生した機能障害(動きの異常)を調整(アジャスト、マニピュレーション)することに、最大の特徴があります。

その他、必要に応じて、筋肉などの軟部組織へのアプローチ、物理療法、栄養指導、運動指導などを行う場合もあります。

画像:アクティベータ器具を用いた背骨の調整

100年以上の歴史を持つカイロプラクティックでは、100種類以上の施術方法(テクニック・システム)が開発されています。そのため、カイロでも治療院によって施術の方法は異なります。

これらの施術(調整)方法を大きく分けると、瞬間的に強い力を用いるスラスト系と、ごく軽い力を用いるノン・スラスト系とがあります。

カイロと聞いて、多くの人がイメージされるポキポキ音を伴う調整方法というのは、スラスト系のテクニックになります。

これらスラスト系のテクニックの多くは、背骨の位置の変位(ズレ)によって神経が圧迫を受けることで(自己治癒力が低下し)病気が起こると考えられていた19末~20世紀前半に考案されたものです。

今日でも、カイロプラクティック大学では伝統的、基本形であるスラスト系のテクニック(ディバーシファイド、ガンステッド等)は、必須科目として教えられています。

応用系、進化系とも言えるノン・スラスト系のテクニック(アクティベータ等)は、選択科目、または卒後教育として教えられていることが多い様です。

以前には当院でもスラスト系のテクニックを用いていましたが、脳・神経科学に基づいた最新理論を取り入れた現在では、ノン・スラスト系のテクニック(ロー・フォース・テクニック)を主体とした調整方法を用いています。

それぞれ手段(調整方法)は異なりますが、神経系の機能(働き)を正常化することがカイロプラクティック共通の治療目的です。

また、初期~20世紀のカイロでは、脊椎(背骨や骨盤)の見た目の変位(位置的なズレ)などの「構造的な問題」を重視する傾向がありましたが、医学研究の進歩から、近年のカイロでは、関節の動きや神経の働き方などの「機能的な問題」を重視する様になって来ており、それに伴い施術方法も多様化しています。

当院では、脳・神経科学に基づく最新のカイロプラクティック理論を導入した施術(神経的アプローチ)を行っています。

詳細についてはカイロプラクティックの原理&最新理論のページをご覧下さい。