ネット上には○○整体、○○療法など、様々な種類の療法や治療院の紹介ページがあります。
しかし、それらの多くは施術者の私見や、患者様の声(感想)などの主観に終始したもので、治療を受けるにあたり最も重要な、それらの療法・治療法についての客観的な有効性や安全性については殆ど触れられていません…。
これでは、仮に誰かが良くなったと感じても、それがその療法の効果によるものなのかは??です(民間療法には心理的効果であるものが少なくありません)。
また、そうした記事そのものの信憑性に疑念(サクラ、口コミ捏造など)を抱かれても仕方がありません。(ネットの口コミ投稿を請負う業者もいます)
そこで、当HPでは、カイロプラクティックの客観的な有効性、安全性についてを紹介しています。
カイロの有効性を認める調査・研究報告(国・政府レベルのもの)
研究・調査名 | 年度 | 当事国 | 有効性 |
---|---|---|---|
ニュージーランド・レポート | 1979 | ニュージーランド政府 | 認める |
メディケア受益検討委員会 | 1984 | オーストラリア政府(厚生省) | 認める |
代替医療に関する報告書 | 1987 | スウェーデン政府 | 認める |
腰痛に関する脊椎マニュピレーションの適応性 | 1991 | アメリカ合衆国(厚生省) | 認める |
マンガ・レポート | 1993 | カナダ・オンタリオ州政府 | 認める |
ピングハム・レポート | 1993 | イギリス(王室基金) | 認める |
急性腰痛における諸問題 | 1994 | アメリカ合衆国政府 | 認める |
腰痛の臨床業務ガイドライン | 1995 | イギリス政府 | 認める |
ムチ打ち関連疾患における医学的研究 | 1995 | カナダ・ケベック州政府 | 認める |
慢性非得意的腰痛管理・ヨーロピアンガイドライン | 2005 | ヨーロッパ連合(9カ国) | 認める |
カイロの基礎教育と安全性に関するガイドライン | 2005 | WHO(世界保健機関) | 認める |
成人の腰痛NICEガイドライン | 2009 | イギリス政府(国立臨床評価機構) | 認める |
軍人における腰痛の研究報告書 | 2019 | アメリカ合衆国政府(国防総省) | 認める |
※何れの調査・研究報告も国際標準(WHO基準)のカイロプラクターによる施術であることが前提です。
上記の調査・研究報告の要旨解説
ニュージーランド/オーストラリア
1979年、ニュージーランド政府がカイロプラクティックの調査(ニュージーランド・レポート)を行い、公正な判断を求めるために、調査委員には中立的な立場の人を選びました。調査結果はカイロプラクティックの安全性と有効性を認めるもので、世界の関係者を勇気付け、ニュージーランド、オーストラリアの法制化の契機にもなりました。
スウェーデン
1987年、スウェーデン政府の代替医療委員会は、カイロプラクターは保険制度の中に組み入れるべきと結論付けました。カイロプラクターによる安全で有効な治療は、公共の利益のために重要であるとの理由でした。
カナダ
1993年、カナダ(オンタリオ州政府)のマンガ報告書で「腰痛の治療において、カイロプラクティックの脊椎矯正が危険だという証拠を示す研究は、臨床的にもケース・コントロール・スタディーにおいても一つも無い。いくつかの医学的な治療は同様に安全であるが、他の治療は危険であり、腰痛治療による合併症を発生させたりすることがある。
我々が多くの治療法の研究を分析したところ、カイロプラクティック(≠整体)のマニュピレーション(矯正法)は他の医学的な治療法よりも安全であると言える。」として、カイロプラクティックの有効性、安全性、患者の満足度などから保険制度で費用負担されるべきとしました。
アメリカ/イギリス/欧州連合(EU)
カイロプラクティック発祥の地である米国では、19世紀末にカイロプラクティックが創設されてから間もなく、急速な勢いで米国全土に広がりを見せました。すると、医療分野の独占を目指していた米国医師会からの批判、弾圧を受けることとなりました。
米国医師会側は、カイロプラクティックを「インチキ療法」「ペテン師」などと批判し、政治的な影響力を背景に、創始者や多くのカイロプラクターを投獄するなどの弾圧を行いましたが、カイロプラクティック側は抵抗を続けました。
やがてカイロプラクティックは、施術を受けた多くの米国民の支持により、1970年代までには全州での法制化が達成されました。しかし、その後も米国医師会の圧力により、本格的なカイロの研究は殆ど行われていませんでした。
カイロ側は米国医師会を告訴(ウィルク独占禁止法違反訴訟)し、11年間にわたる裁判の過程で、米国医師会がカイロ研究への妨害をして来たこと、カイロの有効性を隠蔽して来たこと、カイロに協力的な病院や医師へのパワハラを行って来たことなどが明るみになりました。
米国医師会側は計画的にカイロ撲滅を図った事実を認め、1990年に最高裁で有罪の判決が下されました。カイロ側が全面勝訴し、医師会との間で和解が成立したことで、長年の対立に終止符が打たれました。それ以後、研究(米国医師会からの賠償金を活用)や治療での医師との協力関係が進み、業界の発展に大きく貢献しています。
1994年に米国政府に、また翌年に英国政府により公表された急性腰痛の調査報告書(腰痛ガイドライン)は、カイロプラクティックが行なう治療方法(マニピュレーション)が既存の腰痛治療法の中でも推奨されるものであると結論付けました。この従来の整形外科の常識を覆す、カイロの有効性を認めた調査結果は、米英のみならず世界中に大きなインパクトを与えました(日本でも朝日新聞により報道されました)。
また2006年に公表された欧州連合(EU)9カ国の合同調査による腰痛ガイドラインでは、カイロプラクティック(日本の整体ではありません)の治療法(関節マニュピレーション)に客観的な有効性が認められるため、慢性的な腰痛の第一段階の治療として検討すべきであると結論付けています。
また2007年、米国医師会の米国内科学会が公表したガイドラインでは、発症後12週間以内の持続する腰痛の治療法として、カイロプラクティックを推奨しています。
追記:2019年、米国防総省は軍人の腰痛管理にカイロプラクティック治療が有効であるとした研究報告書を公表し、軍人病院にて、軍人とその家族、退役軍人が保健診療内でカイロプラクティックサービスを受けられる様に、下院議会に申請しました(近日通過の見込み)。
世界保健機関
国連のWHO(世界保健機関)では、カイロプラクティックの有効性を公式に認めた上で、2005年に「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」を刊行しました。
ガイドラインはカイロプラクター(施術者)の教育に関する指針とカイロの安全性に関する指針の二章構成となっていますが、その中(安全性に関する指針)で「カイロプラクティック・ケアは、熟練し適切に行なえば、多くの健康問題の予防やマネジメントを行なう上で安全かつ効果的である。」としています。
※WHOでは日本の整体は認められていません。
参考:日本
1991年に旧厚生省により行なわれた「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究(通称:三浦レポート)」(下項の補足①参照)に代表される様に、日本の医師(整形外科学会)はカイロプラクティックの有効性について否定的(理由は米国の医師会と同じ?)です。
欧米先進国では既に、腰痛や頚部痛などの筋骨格系の問題に対してカイロプラクティックが有効であることが、科学的研究によって明らかにされているのにもかかわらずにです…。
日頃カイロの恩恵を受けている人からすれば??な話でしょうが、これ(三浦レポート)が、日本(医師が頂点である日本の医療システム)でカイロの法制化が進まない障壁にもなっています。
・・ところが最近になって、そうした頑な姿勢にも、ほんの少しづつですが変化が見られる様になって来ています。
具体的には、2002年の第51回東日本整形災害外科学会にJAC(日本カイロプラクターズ協会)の竹谷内宏明先生(整形外科医・医学博士・米カイロ大卒)が招かれ、カイロプラクティックについての講演が行われました。
又、2003年に発行された同会学会誌には「カイロプラクティックの現状と急性腰痛に対する治療法」と題した同氏の論文が掲載されました。これが日本の医師の公式な学会、学会誌でカイロプラクティックが採り上げられた歴史上初めての出来事です。これは、医師会がカイロプラクティックとその有効性を認めたことを意味しています。
それ以降、医師向けの医学専門誌などにWHO基準のカイロプラクター(学位保持者)による研究報告やカイロを紹介する記事が取り上げられる様になっています。
また、2010年の衆議院行政監視委員会では、厚生労働大臣政務官より(日本では今後の研究が必要との姿勢をとりながらも)「アメリカなどではカイロプラクティックの有効性が認められ、WHOもそれに基づいて教育のガイドラインを出したことは承知している」と、日本の国会で初めてカイロの有効性についての言及がありました。
そして現在、厚生労働省による統合医療の情報発信サイトには、カイロプラクティックが一部の腰痛、背部痛、頚部痛、四肢の症状、ムチ打ちなどに効果的であるとした海外の情報が紹介されています。
また2014年には、医師などの有識者により立ち上げられた日本カイロプラクティック登録機構(JCR)によるWHO基準カイロプラクターの登録制度が始まり、登録者名簿が厚生労働省医政局医事課に提出、受理されています。
その他、最近では統合医療を推進する世界の潮流のもと、総合病院内にカイロプラクティック部門を設置するなどの試みも始まっています。
一般の方から見れば些細な出来事かもしれませんが、それでも当方が業界に身を置いた80年代には全く考えられなかった話なのです。今後の業界動向が注目されます。
補足①
三浦レポートは1991年に旧厚生省の委託により、東京医大の三浦幸雄教授ら8名の整形外科医により行われた「脊椎厳正疾患の施術に関する医学的研究」と題された調査報告書の通称です。
同報告書ではカイロプラクティックの医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要と結論付けると共に、カイロの危険性ばかりが強調された内容になりました。
しかし、この報告書には欠陥が多く、発表当初より信憑性の疑わしい研究として、医学研究者などの有識者からも非難されています。
例えば、調査者が整形外科医のみで中立性がない(アンチカイロの集まり)。調査対象が日本の自称カイロプラクティックであり、法制化されている国の正規なカイロプラクティックの調査ではない。何故か調査資料・関連文献が一切示されていない(これは研究論文として致命的な欠陥)…などです。
現在も厚生労働省は三浦レポートを寄り所としており、カイロの法制化に消極的な姿勢をとっています。しかし、世界中でカイロプラクティックの有効性を裏付ける科学的研究が報告されている今日では、この結果はあり得ないと言えます。
カイロ業界はもちろん、最近では国会議員の中でも、調査のやり直しを要望する声が高まっています。
補足②
(当院では現在行っていませんが)伝統的なカイロプラクティックの頚椎への施術方法の1つであるスラスト法(首をひねってポキッと音が鳴るタイプのもの)を危険視する人も多い様です。
確かに、整体やカイロによる頚椎への施術による事故が報告されています。
それについて、実際(科学的)のところどうなのかと言うと、
米国のペンステート医療センターとジョンズ・ホプキンス病院の神経外科研究グループによる研究レビューによれば、カイロプラクティックの頚椎へのアジャスト(マニュピレーション)と椎骨動脈解離との因果関係を示す科学的根拠(エビデンス)はないとの報告がされています。
従って、客観的に観て、整体や国内の自称カイロプラクターによる頚椎への施術は危険性が高いと言えますが、正規な教育(頸椎治療のマネジメント)を修めたカイロプラクターによる施術であれば、危険性は少ないといえるでしょう。
参考資料:JCAジャーナル、RMIT教育研究年報、毎日ライフ12月号、カイロプラクティック総覧、カイロプラクティックテクニック総覧、カイロプラクティック・マネジメント、WHOガイドライン、補完・代替医療カイロプラクティック、JACガイドブック、他