WHO国際基準のカイロプラクティックとは

 

安全で良質な施術を受けるために




背骨や骨盤などを安全に正しく施術(調整)するには、専門の医学知識や技術が必要です。

その為、カイロプラクティックが法制化されている欧米など海外のカイロプラクター(施術者)の養成には、医学部水準での大学専門教育の履修(カイロ学位の取得)が法律により義務付けられています。

一方、カイロプラクティック(ならびに整体)の法的な資格制度や教育基準のない現在の日本では、教育の有無を問わず、誰でも自由に開業したり施術を行うことが可能となっています。

早い話、明日、あなた(素人)が整体院やカイロプラクティック院、○○療法、○○矯正の看板を揚げても、法律上は問題なし、OKということなのです。

療法名 履修時間
カイロプラクティック(世界) 4.200H
カイロプラクティック(国内) 特になし
整体 特になし
リラクゼーション 特になし
柔道整復(整骨院) 2.400H

:国内では数日間の講習会、数ヶ月~の養成校が多数あり、それぞれが独自の認定証、資格証を発行しています。また国家資格である柔道整復師(整骨院)の学校のカリキュラムに、整体、カイロ、骨盤矯正の科目というのはありません。

これでは、危険性が高いことは言うまでもありませんが、カイロプラクティックで良くなるはずのものでさえも良くならない可能性があります。

その弊害として、2012年に独立行政法人国民生活センターからは、整体、カイロプラクティック、マッサージ、整骨院等による健康危害が多数報告されている旨が公表されるなど、社会問題となっています。

こうした日本の現状を踏まえ、ここでは一般の方々が安全な施術を受けるための参考となる様、国際社会における適切なカイロプラクティック(カイロプラクター)の指標であるWHO基準(国際基準)について紹介しています。

国内でカイロプラクティックを受けられる際には、安全で適切な施術を行うために必要な教育を修めている業者を選ぶことが重要です。



WHOはカイロプラクティックのガイドラインを提示しています。



保健医療に関する世界最高権威である国連組織のWHO(世界保健機関)では、日本の様にカイロプラクティックの法的整備(資格制度等)が遅れている国で、不適切な治療行為が蔓延し、人々の健康に危害を与えることを危惧しています。

そうしたことから、2005年、WHOは低レベルな治療行為から患者さんを保護し、世界中で安全で有用な業務を推進することを目的とした「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」を公表し、加盟各国に通達しました。

例えば、細菌やウイルスによる伝染病に対し、世界の国々が適切な対応が出来るように、WHOがガイドラインを出していることは皆さんもご存じでしょうが、これはそのカイロプラクティック・バージョンになります。

現在までに、カイロは米・英・豪など世界45カ国で医療や代替医療として法制化されていますが、それらの国はWHOガイドラインに準拠したものとなっています。

カイロの法制化が遅れている国では、国民(社会)が安全で適切な施術者や施設を判断するための客観的な目安というものがありませんでしたが、WHOがガイドラインを公表したことによって、その識別基準が出来たという訳なのです。

なお、WHOガイドラインによれば、安全で効果的な治療を行なうには最低でも大学/学位取得レベルでの専門教育の修了が必要だとされています。

詳しくはWHOガイドラインの要旨のページをご覧下さい。

 

当院の施術者は、WHO基準を満たす正規カイロプラクターです。


カイロプラクティックには、WHO(世界保健機関)のNGO(非政府組織)に加盟している世界カイロプラクティック連合(WFC)という国際統括組織(85カ国で構成)があります。

WFCでは、WHOの定める教育基準をクリアしている者(DC、BCScなどの学位取得者)をカイロプラクターとして認証しています。WFC政策宣言

当院では、「法律がないから自由」、「そんなに勉強せずとも良い」などの業者の個人的な意見は、施術を受けられる患者さん側を無視した業者側のエゴであると考えています。

当院は「地域の皆様に、安全で有用なカイロプラクティックを提供する」ことをモットーとし、カイロ法制化国であるオーストラリア政府公認のカイロプラクティック理学士(B.C.Sc.)を取得したWHO基準のカイロプラクターが施術を行っています

2020年現在、国内でWHO基準(国際基準)を満たすことのできる業者は、カイロ業者全体のおよそ5%(甲信越では僅か数名)です

国民が日本の何処でも安全で質の高い施術を受けることができる様に、WHOのガイドラインを満たしたカイロプラクターのさらなる増加、ならびに行政による法整備が望まれています。

補足:私見ですが、WHO基準に満たなくとも、国内には30年、40年と長年経験を積んだ質の良い業者もいると思います。現在お住まいの地域にWHO基準、国際基準のカイロプラクターのいる施設がなければ(相手の見えないネットのクチコミではなく)実際に施術を受けた方に紹介してもらうなどし、是非とも信頼できる業者を見つけられて下さい。

 

参考:WHO基準を取り上げた記事など。


近年では、国民生活センターや日本広告審査機構(JARO)、厚生働省職業安定局、市町村などの公的機関、医師学会、医学専門誌、マスコミ・報道各社が、安全で適切なカイロプラクティックの目安として、WHO基準を取り上げる様になっています。


参考資料:週間朝日(朝日新聞出版社)2013年5月17日号より


週間朝日に、本当に効く「整体・カイロ」見分け方、使い方という特集記事が掲載されました。

 

本誌では2013年の国民生活センターからの被害報告 をもとに、読者が安全で効果的な整体やカイロプラクティック施設を選ぶためのポイントを挙げ、カイロでは「WHOが定める教育基準を満たしているカイロプラクターのいる施設が望ましい」とし、WHO基準のカイロプラクターで構成される業界団体、日本カイロプラクターズ協会(JAC)の認定オフィスが紹介されました。

外部リンク:AERA dot. ボルトも五輪で利用した!カイロプラクティックの有効性

外部リンク:AERA dot. 質のいい整体・カイロプラクティック選びの「五箇条」



参考資料:サンデー毎日(毎日新聞社)2012.12.14号より


国民生活センターの被害相談825件のうち、112件が「整骨院での施術」によるものだった。「日本臨床整形外科学会」の09~11年の会員調査でも被害を訴えた来院者の多くが整骨院で施術を受けていたとされる..。


整骨院とは国家資格を持つ柔道整復師(柔整師)しか開業できず、骨折、脱臼、捻挫、打撲などの施術(治療)を専門に行う。


整骨院などでの事故に詳しい整形外科医は「柔整師は免許を取ればすぐに開業できるので、未熟なまま開業してしまうケースが増えています。乱立状態になり、生き残りのため(資格専門外の)整体、カイロプラクティックなどを取り入れて無理な施術をしてしまうおそれがある」と分析する..。


柔整師約5万人のうち2万人近くが会員の「日本柔道整復師会」の副会長に聞いた..「会員には整骨院で整体やカイロを行わないよう指導し、多くは厳しい倫理網領も守っている。そうした院には会の認定証を与えています。

ただ、指導を厳しくするほど会を抜ける柔整師が増え、金儲けに走る者も中にはいる。指導や調査が非会員まで及ばない現実もあり、悩ましい」 ー 。

 

 

参考資料:「治療」2010年2月号(南山堂)より

 

医学専門誌「治療」2010年2月号(南山堂)に「無資格の施術(整体、カイロプラクティックなど)レビュー」が掲載されました。

執筆を担当した整形外科医(医学博士)は、「現在の日本において、脊椎徒手療法(背骨や骨盤などの矯正=スラスト)を行なう施術者が、治療上の安全の確保と危険性の回避に関して、信頼できるか否かの判断基準は、他の医療系国家資格の有無を問わず、WHO基準の教育を修めているか否かに尽きる」と指摘しています。

日本で行われている脊椎徒手療法の種類 技術の安全性 危険回避能力
カイロプラクティック(WHO基準) ★★★ ★★
整体・カイロプラクティック(国内)
オステオパシー(国内)
医療系の国家資格者による上記療法の施術 ★★

信頼性は低い★ ある程度信頼できる★★ 信頼できる★★★

*危険回避能力=学術的な鑑別診断に基づく施術の適否の判断能力

(参考資料:治療2010.2/南山堂)

 

参考資料:共同通信(2013年4月1日)/健康被害防止へ安全指針





参考資料:日本統合医療学会より

 

日本統合医療学会誌 第2巻第2号(2009)

カイロプラクティック治療院・カイロプラクターを選ぶ手引き

カイロプラクティックや整体の知名度が上がり、国民の多くがその治療を求めている現状を考えると、誰でも容易に「正規の施術者」を選べる体制が必要になります。

本来、その役割を果たすのは法律による国家試験と資格制度ですが、カイロプラクティックや整体に関する法律がない現状では、国民は施術者の選択に大きな違いを生じます。

ここでは、有効であり、安全性が高く、危険性が少ないカイロプラクティック治療を提供する治療院、あるいはカイロプラクターを選択する上で重要な判断材料を2つ紹介します。

1つは、欧米の大学が交付した学位称号や学士号を持ったカイロプラクターであるということです。そのようなカイロプラクターは、治療院のホームページやパンフレットに必ず学歴や資格として掲載しています。代表的な学位称号や学士号は、D.C.、B.C.Sc.、B.App.Sc.などです。

逆に、少なくとも安全性や危険性というで点で保証ができないカイロプラクティック治療院としては、上記のような学位称号や学士号の明示がない、看板に様々な治療法とともにカイロプラクティックが表記されている、高額な商品を売りつける、などが挙げられます。

2つ目はカイロプラクターの所属している組織です。国際社会にはWHO(世界保健機関)に加盟のWFC(世界カイロプラクティック連合)という組織があり、1988年以降、カイロプラクティックに関する業界、法制化、教育、研究、情報の推進といった重要な役割を担っています。

我が国でWFCに認められた団体は一般社団法人日本カイロプラクターズ協会で、我が国で1つです。その理由は、JACが世界各国の常識である国際基準の教育を受けたカイロプラクターのみで構成され、会員の倫理規定を有しているからです。

治療を受ける立場からは、治療に伴う危険性に関しては自らの身は自らで守ならければなりません。そのためには信頼できるカイロプラクターを選ぶ必要があります。上記の2点は、治療院、治療者を選択する上で参考になると思います。(2009 日本統合医療学会誌より)


近年の国内動向について

2010年の衆議院行政監視委員会では、厚生労働大臣政務官より(日本では今後の研究が必要との姿勢をとりながらも)「アメリカなどではカイロプラクティックの有効性が認められ、WHOもそれに基づいて教育のガイドラインを出したことは承知している」と、カイロの有効性、WHOガイドラインについての言及がありました。


また、2012年8月に、独立行政法人国民生活センターは「手技による医療類似行為の危害ー整体、カイロプラクティック、マッサージによる重症例もー」と題した情報を公開するとともに、主要関係団体へ対策を要請しました。

同センターからの要請を受け、2014年に日本カイロプラクターズ協会は国内業者の安全性の向上を目的とした「安全教育プログラム」を開始しました。

同プログラムはWHOの教育基準に満たない施術者を対象にしたもので、3年間で必要な単位を取得し、第三者機関(国際カイロプラクティック試験委員会IBCE)が実施する試験に合格した者は、一般財団法人日本カイロプラクティック登録機構(JCR)に登録されることになりました。JCR登録者名簿は厚生労働省医政局医事課に定期的に提出されています。

 

画像:日本カイロプラクティック登録機構(JCR)最高顧問の石破茂氏(衆議院議員)、日本カイロプラクターズ協会(JAC)名誉会長の赤松正雄氏(元厚生労働副大臣)とJAC役員


東京オリンピックでのカイロプラクティックの利用について、JOCとの調整が行われています。カイロプラクティック・ケアは、先のロンドン、リオデジャネイロ・オリンピックにおいて、選手や大会関係者へのケアとして正式採用されています。

画像:橋本聖子参議院議員(東京五輪担当大臣)と世界プラクティック連合(WFC)事務局長、日本カイロプラクターズ協会(JAC)役員による意見交換




カイロプラクティックが法制化されている国と地域(2021年現在)


アメリカ、イギリス、オーストラリア、ベルギー、カナダ、ドイツ、フランス、デンマーク、スイス、フィンランド、アイスランド、イラン、イスラエル、キプロス、イタリア、リヒテンシュタイン、ナミビア、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、フィリピン、南アフリカ、スウェーデン、アラブ首長国連邦、ジンバブエ、ケイマン諸島、香港、バハマ、バルバドス、ボツワナ、コスタリカ、グアム、グアテマラ、リーワード諸島、レソト、マルタ、ニューカレドニア、ナイジェリア、ポルトガル、プエルトリコ、サウジアラビア、セルビア、タイ、ポリネシア諸島、ザンビア、レバノン 、ウガンダ

参考:日本カイロプラクターズ協会