仙腸関節機能障害について

 

仙腸関節(せんちょうかんせつ)はミラクルポイント!

近年、器質的な問題以外の腰痛や四肢の痛みやシビレの原因の多く(およそ70%)は、仙腸関節を中心とした、脊椎や四肢の関節機能障害(動きの異常)にあることが臨床研究などから分かって来ました。

また、従来は椎間板ヘルニア、変形性脊椎症(関節症)、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症などの器質的な異常が原因とされていた痛みの中にも、実際には関節に発生した機能障害に起因しているものが多いということが分かって来ています。

仙腸関節(前方から)


仙腸関節(後方から)

数ある関節の中でも、仙腸関節は特別な存在であり、仙腸関節の固有受容器(神経の感覚センサー)の作動不良をリセットすると、腰痛のみならず、背中、肩、腕、手、首、頭、膝、足、胸などの痛みや感覚異常が消失したり、軽減することが、臨床的によく見られています。

また、仙腸関節の機能障害をリセットすると、他の関節に発生している機能障害までもが自動的にリセットされるケースが臨床上ではよく見られます。

これとは逆に、他の関節の機能障害をリセットしても、仙腸関節の機能障害はリセットされません。そうしたことから、仙腸関節は1次的(メジャー)な異常であり、他の関節の機能障害の多くは2次的(マイナー)な異常であると考えられます。

つまり、仙腸関節は筋膜・骨膜・筋肉などの組織を介して身体の様々な箇所に影響を与えていると同時に、身体の様々な部位に発生した痛みなどの症状を解消したり、改善することのできる「ミラクルポイント」とさえ言えるでしょう。

 

機能的な異常は画像診断(見た目)では分からない。

ところが、仙腸関節の機能障害については、少々厄介な点があります。

それは、整形外科などの医療機関の多くでは、ここで取り上げている「関節機能障害」の有無が分からないという点です。

病院の検査ではX線やCT、MRIによる画像診断が行われていますが、それらは主に構造(形状や位置関係)の異常を写すものであり、機能(動き、働き方)の異常というのは、それらの機器では映すことが出来ません。


そのため、整形外科などの医療機関では、検査画像にヘルニアが写っていれば「椎間板ヘルニア」、関節軟骨に変形が見られると「変形性関節症」、骨の分離が見られたら「脊椎分離症」・・などの診断が下される事が多いのです。

また、検査画像にそうした異常が見られなければ、「異常ありません」「筋肉や筋膜の疲労」「年齢(老化)のため」「精神的な問題」「腰痛症(原因不明の腰痛の総称)」などの診断が下されます。

そして、そうした診断名のもとに整形外科の治療を受けても治らないことから、病院での治療に見切りを付け、痛みを抱える多くの患者さん達が様々な民間療法に足を運んでいる・・というのが現状なのです。

米国やヨーロッパでは、関節機能障害が多くの痛みの原因であることについては以前から認知されていますが、日本ではあまり普及していません。

最近では日本の医師の中にも、仙腸関節に着目し、仙腸関節の動きの異常(関節機能異常)が腰痛などの主な原因だとして、それらを修正する治療を試みているグループ(AKA療法など)もありますが、そうした治療を行う医師というのは極僅かです。

そのため、西洋医学の殆どの医師は、それを見つけ出し修正する方法がありません。


仙腸関節は可動関節です。

仙腸関節の機能障害を理解するには、欧米発の関節神経学や運動学、機能神経学といった専門分野の知識が必要なのですが、日本の医学部ではそれらの科目は教えられていません。

そればかりか、大学の授業で「仙腸関節は動かない(不動関節)」と教えられた医師が日本では大勢います。

欧米では、カイロプラクティックなどの分野では、仙腸関節は動く(可動関節)ということは、半世紀前には既に認識されており、英国のグレイ解剖学書でも可動関節として分類されています。

ところが、筆者がカイロの学生だった1980年代、客員で解剖学の授業を担当されていた某医大の准教授の先生は、「仙腸関節は動かないよ」と断言されていました。

どうしてこの様な見解の違いが生じていたのかと言うと、仙腸関節の動きは非常に小さく、(通常行われている)亡くなってから時間が経過した検体による解剖実習では、既に靭帯などの軟部組織が硬くなっているために、僅かな動きを確認することが出来なかったことによるものと考えられます。

しかし最近では、大阪大学大学院医学研究科の菅本教授らの研究グループが、コンピューターによる3D画像解析により、仙腸関節の動きを映像化することに成功しています。

但し、その動きは関節内部で生じる極僅かな動き(1~2ミリ程)であるため、動くという表現よりも「僅かにあそびがある」という表現の方が適切かもしれません。

今日、仙腸関節は可動関節(滑膜関節)というのが世界の医学界では常識なのです。

・・業界事情はさておき、その影響を最も受けるのは患者さんです。画像診断と症状が完全に一致するかを厳密に調べ、診断に間違いがないのであれば手術をするのも良いのでしょうが、本当の原因が関節機能障害であるのに、画像診断から安易に別の診断がなされ、手術をしたらどうなるのか?

手術をしたのに治らない、しばらくしたら再発した、術後に神経障害や合併症が発生した・・などの話を耳にされたという方も多いのではないでしょうか?

この様な理由から、病院で治療を受けていてもあまり改善しないという方、特に手術を受ける予定だという方は、当院の施術を試してみることをお勧めします。

なお、カイロプラクティックの施術対象である関節機能障害の正確な調整というのは、非常に繊細な技術を要するため、骨や関節を大きく動かす様な矯正、ストレッチ、体操では、修正することは困難です。(特に、揉む、強く押すなどの強い刺激というのはNGです)

 

関節機能障害(動きの異常)が原因である可能性があるもの


頭痛/顔の痛み/原因不明の歯の痛み/顎関節の痛み/かみ合わせの異常/原因不明の耳鳴り/ムチウチで長期間にわたる首の痛みやコリ/首の痛み/腕や手指の痛み、シビレ/肩こりの大半/肩の痛み/野球肘、テニス肘とされる痛み/背中の痛みやコリ/肋骨の痛み/腰痛/椎間板や軟骨の異常が原因と考えられている腰痛、および下肢の痛み、シビレの多く/老化や骨粗鬆が原因と考えられている腰痛の多く/軟骨の変形が原因と考えられている股関節痛や膝関節痛の多く/原因不明の大腿部、ふくらはぎ、足の痛み、アキレス腱や踵の痛み/成長痛とされている痛み/自律神経の異常とされている症状/便秘/生理痛/手足の冷え/むくみ/身体のゆがみ/など