骨盤のゆがみ、背骨のゆがみの科学的検証

 

骨盤のゆがみや背骨のゆがみは、痛みの原因ではありません。

整体などの民間療法では、背骨や骨盤のゆがみが痛みなどの症状を起こす原因だと考え、骨盤の矯正や背骨の矯正など、骨格のゆがみやズレの矯正を試みる施術が行われています。

また、20世紀以前のカイロプラクティックでも、背骨などの骨の位置がズレて、背骨の隙間(椎間孔)を通過している神経根が圧迫を受けることで、脳からの神経の伝達が妨げられ、腰痛をはじめ、様々な症状や病気がおこるとした考えが主流でした

しかしながら、

参考資料

 

 

アメリカの医学者Fullnloveの研究報告では、腰痛患者200名と健常者200名の背骨のレントゲン写真を撮影し、比較をしたところ、背骨のゆがみ(側弯)は腰痛患者の30%に、健常者の45.5%に確認されています。

参考:医学誌Radiology.1957


参考資料


 

アメリカの医学者Levangieは、腰痛患者144名と健常者138名の骨盤を計測して腰痛との因果関係を調べました。
その結果、見た目の骨盤のゆがみ(非対称)と腰痛と間に因果関係はないということが判明しました。

参考:医学誌Spine.1999


こうした科学(医学)的な研究からも証明されている様に、

今日では「骨盤や背骨にゆがみやズレがあったとしても、それらの殆んどは痛みなどの症状を起こしている原因ではない」という事が分かって来ています。

一方、これを反証する確かな研究報告は現在までにありません。「背骨の変位⇒神経根圧迫病因説」というのは、21世紀のカイロプラクティックでは(あっても希なケースとして)殆ど否定されています。

また、整形外科医による近年の研究では、今まで腰痛などの主原因とされていた、椎間板ヘルニアや関節軟骨の変形などの異常の殆どが、痛みやシビレを起こす直接的な原因ではなかったという事実も判明しています。

しかし、過去~現在に至るまで、カイロプラクティックのアジャスト(矯正・調整)を受けたことで、痛みが消失したり、様々な体の不調が改善したという人が世界中に大勢(億単位)いることもまた事実ですし、カイロプラクティックが腰痛や頚部痛などの問題に対して有効であることは、海外政府機関の研究報告などからも分かっています。

つまり、カイロプラクティックの施術は客観的にも効果があるが、効果の理由(作用機序)というのは、以前に考えられていたもの、或いは皆さんが思っているものとは別のものであるという訳なのです。

 

原因の多くは、関節の機能障害です。

参考資料

 

 

スウェーデンの医師Tullbergらの研究では、骨盤部に症状を持つ10人の女性の骨盤を、特殊なレントゲン装置で三次元的に撮影し、コンピューターを使って厳密に計測して、マニュピレーション(手技による矯正法)を行い、その前後での骨盤の位置関係を比較しています。

この実験でTullberg医師らは、「実験の前後で骨盤の解剖学的な位置関係に変化は見られなかったが、実験を行なう前の検査で確認された、骨盤(仙腸関節)の動きの制限と痛みの再現テストは正常化しており、関節へのマニュピレーションが明らかな臨床効果を生むことについては同意する。」と結論づけています。

参考:医学誌Spine,1998


この実験結果から、

骨盤(仙腸関節)を手技を用いて矯正をした結果、見た目の骨盤の位置(歪み)とは全く関係なしに、 関節の可動性が改善すると共に、痛み(症状)が改善しているという事が分かります。(手技による矯正では骨盤の位置は変わらないことも分かります)

そうした中、カイロプラクティックで行うアジャストメント(調整)は、関節を動かす事で、関節周囲にある固有受容器(神経の感覚センサー)を賦活し、神経系(大脳・小脳・脊髄)を活性化したり、抑制したりする作用があるということが、最近の脳・神経科学分野の研究などから徐々に分かって来ています。

また、関節軟骨の変形や椎間板のヘルニアや変性、分離などの構造的な異常が原因だと考えられていた痛みやシビレなどの症状の多くが、関節や周囲組織にある固有受容器(感覚センサー)から、脳に適切な信号(刺激情報)を入力することで、消失したり改善することが、近年の臨床研究などから分かって来ています。

つまり、腰痛などの症状を起こす原因の多くは、背骨のゆがみや位置の変位、軟骨の変形や椎間板の変性などの構造上の異常にあるのではなく、関節および神経の機能上(動き方、働き方の異常である「関節機能障害(動きの異常)」にある事が示唆されるのです。

 


今日(科学的にみて)、骨格矯正術で効果が見られる主な理由(心理的な効果を除く)というのは、

「骨のゆがみやズレを直そうと、それらへの矯正を試みた際に、偶発的に関節周囲の受容器(感覚センサー)が上手く刺激されたことで、神経系(脳・脊髄)の働きが正常化されることがあるため」とするのが論理的です。

時々起こる偶発性を期待するのも良いかもしれませんが、直接的な施術(受容器の作動不良を修正し、関節から脳・脊髄に適切な情報が届くようにすることで、神経系のネットワーク・システムを正常化したり、神経の可塑性を利用して神経ネットワークの再構築を促すための施術)を行った方が再現性も高く、より合理的かつ効果的だと言えるでしょう。

当院では、脳神経科学に基づく先進の施術(神経学的アプローチ)を取り入れることで、従来(伝統的な施術方法)を上回る臨床実績を挙げています。

関節機能障害(動きの異常)とは



関節機能障害(動きの異常)が原因である可能性があるもの


頭痛/顔の痛み/原因不明の歯の痛み/顎関節の痛み/かみ合わせの異常/原因不明の耳鳴り/ムチウチで長期間にわたる首の痛みやコリ/首の痛み/腕や手指の痛み、シビレ/肩こりの大半/肩の痛み/野球肘、テニス肘とされる痛み/背中の痛みやコリ/肋骨の痛み/腰痛/椎間板や軟骨の異常が原因と考えられている腰痛、および下肢の痛み、シビレの多く/老化や骨粗鬆が原因と考えられている腰痛の多く/軟骨の変形が原因と考えられている股関節痛や膝関節痛の多く/原因不明の大腿部、ふくらはぎ、足の痛み、アキレス腱や踵の痛み/成長痛とされている痛み/自律神経の異常とされている症状/便秘/生理痛/手足の冷え/むくみ/身体のゆがみ/など