松本市民の健康寿命とカイロプラクティックについて

 

健康寿命延伸都市・松本


長野県のほぼ中央に位置する松本市。平成30年9月1日現在の人口は23,9730人で長野市に次ぐ県内2番目の数となっています。また市の発表によれば全人口の内、65歳以上の高齢者は66,105人で、全体の27.57パーセントとなっています。そして今後も高齢者の割合は年々増加して行きます。

こうした中、平成25年には菅谷市長のもと、松本市は「健康寿命延伸都市宣言」をしています。これは松本市基本構造2020に揚げた市の将来像で、以下はその時の宣言文です。

‘‘健やかでいきいきと暮らすことは、私たち共通の願いです。そのためには、自らの心と体、そして、私たちが暮らす松本のまちが健康であることが大切です。私たち松本市民は、1人ひとりの「いのち」と「暮らし」を尊重し、「健康寿命」の延伸につながる人と社会の「健康づくり」をめざし、ここに松本市を「健康寿命延伸都市」とすることを宣言します。”

そして現在、「健康寿命延伸都市構想」を推進するために、松本地域健康産業推進協議会など様々な団体が活動しています。

 

健康とは、健康寿命とは

WHO(世界保健機関)では、「健康とは、身体的・精神的・社会的に最適な状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と定義しています。

またWHOは健康寿命を「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活のできる期間」と定義しています。

なお厚生労働省の「健康寿命の算定方法の指針」では、日常生活動作が自立している~要介護1⇒健康、要介護2~5⇒健康ではないとされており、同算定方法による平成27年の松本市の健康寿命の平均値は、男性が80.21歳、女性が84.21歳とされています。

但し、2018年に厚生労働省が公表した2016年の都道府県別の健康寿命では、長野県は男性が72.11歳、女性が74.72歳となっており、松本市の報告とは大きな開きがあります。おそらく両者の算定方法が異なるのでしょう(松本市の報告は平均寿命に近いですから...)。

なお、同報告で健康寿命が最も高い都道府県は、男性が山梨県の73.21歳、女性が愛知県の76.32歳となっています。(長野県ー男性20位、女性27位)

また健康寿命についての資料はありませんが、H22年の調査では、安曇野市と塩尻市の平均寿命は全国50位以内にランキングされています。(全国1位は長野県松川村の82.2歳、また同県中信地域では池田町、山形村、大町市、筑北村、木曽町などが、男性または女性部門で50位以内にランクインしています)

この様に、長野(信州)は長寿県ですが、「ピンピンコロリが理想」とも言われる様に、単に長寿であるだけでなく、少しでも長く健康的で自立した生活を送りたいものです。

今後さらに健康寿命を延ばし、より健康的な生活を実現して行くためには様々な方面、方向からの取り組みが必要になりますが、カイロプラクティックなどの代替医療もその一助となるものと考えられます。

 

健康寿命の延伸にも役立つカイロプラクティック

WHO(世界保健機関)では、「カイロプラクティックは神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職であり、関節アジャストメントもしくはマニピュレーションを含む徒手治療を特徴とする」と定義しています。(整体については定義がありませんので、カイロプラクティックを主体に進めて行きます。)

つまり、単に病気を診るのではなく、神経筋肉骨格から健康全体を診て、治療し、予防する専門家がカイロプラクティックなのです。(神経筋骨格系=生体力学的もしくは機能的な要素を含む筋骨格系&神経系との関連性)

またカイロプラクティックでは、主に関節の機能障害を調整するのですが、関節機能障害というのは、関節内部がスムーズに動かずに神経の働きに悪影響を及ぼしている状態です。カイロでは、そうした関節と神経の機能異常を調整することで、症状の改善や予防、健康状態が維持できるように促しています。

近年、腰痛などをはじめとする筋骨格系の痛みの多くが、骨盤などの関節に発生した関節機能障害(動きの異常)に起因しているということが臨床研究などから分かって来ています。

痛みなどの身体の不調は、日常生活動作を制限するばかりではなく、痛みのために運動不足となることで全身の筋力低下を招いたり、心的なストレスの原因になるなどして健康寿命の延伸にとってマイナスとなります。

また関連事項して、人工的に関節の動きを制限すると、非常に早い時期から関節(軟骨、椎間板、靭帯など)老化の進行スピード(加速)するということが、動物実験から判明しています。

関節の老化そのものは生理的な現象ですが、健康寿命を延ばすためには、関節の老化の進行速度をなるべく遅くすることも重要な要素のひとつになります。

 

参考:転倒リスクとカイロプラクティック

 

健康寿命の延伸には、(特に骨密度の減少の多い女性の場合)転倒による骨折のリスクを回避することも重要になります。

ニュージーランドのオークランドに住む65歳以上の高齢者60名を対象に行われた臨床研究では、カイロプラクティックの施術を12週間受けるグループと、受けないグループとに分け、開始時、4週間後、12週間後の時点での感覚運動機能、姿勢の安定性、深部感覚、多感性統合、生活の質が測定されました。

研究の結果、感覚運動機能(踏み込み反応時間)、深部感覚(足関節位置覚)、多感性統合(音誘導性幻想)、生活の質(SF-36)において、カイロプラクティックを受けないグループよりも、カイロプラクティックの施術を受けたグループの方に有意な改善が認められました。

この研究報告から、カイロプラクティックの施術が、高齢者の転倒のリスクに関係する感覚運動機能などの有意な改善、また生活の質の有意な改善をもたらす作用があることが示唆されます。

参考:J Manipulative Physiol Ther.2016 May

 

カイロプラクティックで関節の機能障害をリセットし、身体(心さえも)を制御・統括している神経系の働きを正常に保つことは、痛みなどの不調を改善することはもちろん、関節の老化速度を遅らせ、転倒リスクを減らし、健康寿命(ヘルシー・エイジング)を延ばすことに役立つことが大いに期待できます。

健康寿命延伸宣言をした松本市にある当院も、市民の皆様、ならびに近隣地域にお住まいの皆様の健康づくりの一助となれることを自負しております。

 

関節機能障害(動きの異常)が原因である可能性のあるもの


頭痛/顔の痛み/原因不明の歯の痛み/顎関節の痛み/かみ合わせの異常/原因不明の耳鳴り/ムチウチで長期間にわたる首の痛みやコリ/首の痛み/腕や手指の痛み、シビレ/肩こりの大半/肩の痛み/野球肘、テニス肘とされる痛み/背中の痛みやコリ/肋骨の痛み/腰痛/椎間板や軟骨の異常が原因と考えられている腰痛、および下肢の痛み、シビレの多く/老化や骨粗鬆が原因と考えられている腰痛の多く/軟骨の変形が原因と考えられている股関節痛や膝関節痛の多く/原因不明の大腿部、ふくらはぎ、足の痛み、アキレス腱や踵の痛み/成長痛とされている痛み/自律神経の異常とされている症状/便秘/生理痛/手足の冷え/むくみ/身体のゆがみ/など