2015.9.28.     

 皆様まいどどうもです。
 もう来年の予告?ってわけでもないのですが、今年はこんな贈答ぶどうをいっぱい作ったのでちょいとご披露してみる次第っす。主役はシャインマスカット。

 
 まずこのシャインマスカット、生産者にとってこんなに作りやすいぶどうは他にありません。枝の伸び方はまっすぐで素直。誘引作業(枝の棚面への固定)楽チン、若いうちは果穂(房の小さい小さい赤ちゃんのこと)に奇形が多いけれど年ごとに素直な果穂になっていくので果穂整形の手間は巨峰並み、2回のジベ処理もまあ普通、ぶどう作りで最も時間を要する摘粒作業がメチャメチャ早い。同じ黄緑色品種の黄華と比べてその効率は1/20くらいとみてます。まあ黄華がちょっと異常なんだけれどね。黄華の悪戦苦闘に慣れている自分にとってこのシャインはなんと手間のかからない品種であることか。そして作り手にとって最大のいいところは着色を気にしなくていいところ。たとえば巨峰など黒色品種、ゴルビーなど赤色品種は、その色にすることにけっこう気をつかいます。もちろん天候にも左右されます。どうやったってその固有の色になりきれないことも多くあります。だけどシャインは小さいうちから完熟するまでずっと同じ緑黄色のまま。赤いリンゴより黄色いリンゴの方が作るのが簡単という理屈と同じです。上手に作っても下手に作っても気象条件が良くても悪くても色が全く同じということ、作り手にとってこれほど魅力的なことはありません。だから日本全国いたるところでこのシャインの生産者が増え続けているのも当然のこと。実際今どこのお店の果物コーナーでもシャインが置いてありますな。値段もそのうち巨峰並みになりまっせ。ところがここに落とし穴があるんですな。消費者側にとっての落とし穴が。シャインは糖度が19度は必要です。19度でバカ旨、もっと完熟すると20度を超えます。そりゃあ旨いっすよ。ところが不届きな生産者って必ずいるもので、ずっと色が同じだから市場単価がいい早い時期に出荷してしまおうということでこれから美味しくなろうとする前の熟期がきていない(=つまりまだあんまり美味しくない)シャインが市場に出回る可能性が高いということですな。そんなシャインをつかませられた消費者は、なんだシャインってあんまり美味しくないじゃん、っことになり、それが高じると品種としての評価が下がってしまうという構図。そうやって評価がガタ落ちしている品種も現実にあります。まあ消費者のみなさん、ぶどうは信頼できるところで買いましょう。たとえばなかがわ葡萄園みたいな。
(左) 500グラムサイズを4房入れてぴったり2キロ。巨峰みたいに房が柔らかくなくてそこそこ硬いから箱詰めもけっこう楽。
(右) おおっ!、巨峰とのミックスセットだ。左4キロ右2キロ。さてこれらを来年いくらの値段設定にしようかと思案中。

   
(左) とってもきれいな8色入り。赤が入るととってもきれいですね。電話やメールでたくさん楽しい評価うれしい評価をいただいています。これが一番!という品種が人によってずいぶん違うということも発見しました。まだあんなに小っちゃいのに紅環(ベニタマキ)が一番と断言される方もいらしたし一房食べただけでいきなり翠峰信者となって出家された方もいますがシャインやウインクが一番という方は一人もいません。そりゃそうだすみませんこれがさっきのこと。美味しくなる前のシャインやウインクを収穫してしまったということでどうもスミマセン。ということで最も美味しい時期のぶどうを8種類揃えることが大変だってことがよくわかりました。さて来年これらを一体どうするべ。
(右) スペシャルオーダー(というのはウソで残りもの)4房セットと巨峰・ピオーネ混合セット。4色セットは宮崎県に旅立っていきました。黒い方はご近所さんにもらわれていきました。