7月31日(金)  

 「堤防は壊しますが、水害は補償します」?
    

  

  民主党がマニフェストで「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と明記した。
 
  このことが早速、本日行われた松本青年会議所主催の「長野2区衆議院選挙 立候補予定者公開討論会」のなかで話題となった。

  「公開討論会」に出された配布資料の中で、民主党の前国会議員が、 《分権問題と地方の活性化について》 の部分で、
  「農業の戸別所得補償制度や畜産・酪農への所得補償を導入し、日本の農家と農村と農業を守ることによって、地方の活性化をはかる。」
  と書いている。

 これに対して、立候補予定者間の討論の中で、自民党の予定者から次のような質問が向けられた。  

 「地方を活性化するために、分権が必要だが、一方で産業がしっかりしていなければいけない。特に農業が大事だと思います。 民主党の戸別所得補償は、それだけ見るといいように思うが、一方でマニフェストの中で、米国との間で自由貿易協定を締結と書いてあるが、これによると米国から安い農産物が、ジャンジャン入ってきて、日本の農業が壊滅的打撃を受けるのではないかと思うがどうか。」

 これに対し、民主党の予定者は、

 「所得補償は、外国の入ってきた金額、価格とつくったコストの差を補償するもの。 つくるのに1000円かかったとし、自由貿易協定で入ってきたら500円だったとすれば、その500円分補償する。 何が必要かというとその所得保障の財源がいる。私どもは、1兆円必要と見ている。与党は財源は何処からか?というが、今、農林水産予算というのは、約2兆7千億前後です。 そのうちの公共土木工事が、半分以上1兆4千億近くある。 2者択一はなかなか難しいのですが、壊れたひびが入った農道や灌漑等を直す必要はある。残りの部分は、今、ここで農道をきれいにする予算につけるのではなくて、所得補償につけて農家の方が安心して農産物をつくれるように、他の国ではやっている、この国だけが今までやっていない。これを補てんすることが農業再生に繋がる。」

  と、制度説明とその財源を述べるだけで、米国との間で自由貿易協定(FTA)のもたらす「壊滅的」影響に関しては、なんら言及は無かった。

 日米間の自由貿易協定(FTA)の早期締結を求めているのは米国の巨大農業資本と日本の大企業です。
  米側は日本の農産物市場の開放を求め、日本企業は、農産物市場の明け渡しと引き換えに工業製品の輸出における関税引き下げのメリットを享受したいというのがその狙いです。
  自民党はこの問題で「日本農業を売り渡すに等しい」(声明)などとして民主党攻撃を強めていますが、言わば、その通りの展開が今日も行われたということだ。

  ところが、それに対するまともな答弁は無かったといえる。
 民主党は、さかんに、「自由化は前提でない」と言い訳しているようだが、今回の予定者の「所得補償説明」発言は、まさに「前提のもの」であり、語るに落ちる内容だ。
 日本農業新聞 関連記事は、ここをクリック
 

  喩えが悪いかもしれませんが、農産物輸入の「洪水」を防ぐ防波堤を壊しておいて、その「水害」分に関しては、補償しましょうというのに等しい。
  仮に、補償されたとしても、「農地」の壊滅的被害は、取り返しがつかない。
  食料自給率は、ますます下がるばかりだ。

 自民党予定者の指摘は、実に正論だ。
  しかし、自民党にそんなことを言う資格が果たしてあるのか。
  アメリカ・大企業言いなりで、農産物の輸入自由化を行い、食料自給率40%という深刻な状況に、日本の農業を突き落としてきた最大の責任はこれまでの自民党農政にあることは誰もが認めるところ。
  新たに、農業関係者の批判を無視して、農畜産物の関税が焦点であるオーストラリアとのEPA(経済連携協定)交渉を推し進めているのは自公政権です。    

 ● 価格・所得保障でコメ1俵1万8千円に
 ● 日米FTA反対、農産物の輸入自由化ストップ

 公示前に配布する日本共産党の赤旗8月号外には、このように記されている。  

 一刻も早く、皆さんにお届けしなければならない。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月30日(木)  

 「秋水」 
    

  

  戦争遺跡保存全国ネットワーク主催の第13回戦争遺跡保存全国シンポジウム松本大会が、全国高校野球長野大会で準優勝した松本第一高校を主会場に8月8日〜10日に渡って開催される。
  昨年は名古屋で、そして第8回大会は、2004年、私たちが今年の1月視察に行った千葉県・館山市で開かれた。
  館山市大会の様子は、ここをクリック

 松本大会の実施要綱によると、
  「戦争の事実をどう伝えるか一戦争遺跡の調査研究活動を通して、保存・文化財指定・活用を考える」 「戦後64年を過ぎ、二度と戦争を起こさない、本当の意味での平和のために正しく戦争の実像を伝えることはますます難しくなっています。このような中で、戦争遺跡を保存し、活用することで、次世代に平和の輪をつないでいくことが大切になっています。」
  「今回の第13回戦争遺跡保存全国シンポジウム松本大会では、全国各地の保存運動の教訓・問題点に学び、それぞれの地元の戦争遺跡から、二度と戦争を起こさない、本当の意味での平和のための活動を盛り上げていきたいと考えています。」
  となっている。

 松本市には、歩兵50聯隊、三菱重工業の航空機生産の拠点工場ありました。中国人朝鮮人の強制連行強制労働の現場でもあります。 そんなこともあり、松本には、戦争傷跡が多く残っています。  

 そんな中、先日ある方から興味深い本を紹介してもらった。

 牧野育雄著:最終決戦兵器「秋水」設計者の回顧  

 その方は、ラジコン技術関連の仕事もしており、自らもいくつも新しい機種を作って飛ばし、楽しんでいる方だ。  
  「秋水」については、あまり知るところがなかったことだ。
  サイト検索すると、次のようなものがある。

 『ウィキペディア(Wikipedia)』版

 秋水とは

 でも、そうした紹介の中で、「松本」で検索してもヒットはしない。
  この本に拠れば、1945年4月17日に三菱重工業の航空機開発部隊が、松本市に来ていることが記されている。 (75ページから)

 そして、5月には、「三菱と陸軍航空本部及び同航空技術研究所が、松本市に集結した。」と書かれている。

 

 「秋水」の開発は海軍・陸軍・三菱の協力により完成させるものであるが、はじめに生産は三菱、機体は海軍主導、ロケットエンジンは陸軍主導と決められていた。 昭和十九年十二月の三菱大幸工場被爆により、ロケットの噴射実験場が破壊されたため、緊急に追浜に疎開して、海軍空技廠の運転場を使用していたが、追浜の空襲も激しくなったこともあり、ようやく松本に陸軍の噴射試験場が完成したので、三菱の秋水係も陸軍管轄下の信州松本へ移転することに本決定した。昭和二十年四月六日のことである。

 と紹介され、浅間温泉の旅館や、市内の料亭などの名前もいくつも出てくる。  

 議会では、私たちの会派から両角友成議員が昨年の9月議会で、「語り部・山辺地区等の遺跡の調査及び保存活動」に関して質問した経過があるが、選挙終了後にも、少し調査してみたいと思う。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月28日(火)  

 日本共産党「マニフェスト」を発表 
    

  

  「幹部会声明」に続いて、「日本共産党の総選挙政策」が発表された。  

 全文は、ここをクリック

 以前にも紹介した「幹部会声明」は、「国民への訴え」という形式をとっていない。
  「幹部会声明」は総選挙をたたかう日本共産党としての基本的立場を内外に明らかにすることを目的としたもので、今回の「日本共産党の総選挙政策」には、「国民へのアピール」が出ている。  

 これで、自民党以外は、ほぼマニフェストが出揃ったことになる。

 いよいよ本格的な政策論戦が展開される。  
  投票日までの論戦が実に楽しみだ。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月27日(月)  

 歴史のページを新しく一枚めくる 
    

  

  今度の選挙は、戦後長らく続いた「自民党政治」という連続したページから、新しい歴史のページを一枚めくる営みとなる。  
  歴史を動かすのは、社会の矛盾とそれを打開しようとする有権者、国民の力だ。
  そういう意味では、今までのページの延長でなく、「自公政権の終焉は無条件に歓迎すべきこと」です。  

 問題は、あたらしいページに何を描くかということ。

 今日も昨日に続いて、チラシの全戸配布を晴れ間を見て行った。
  訪問中の対話では、まず私のほうから、冒頭 「自公政権には、もうはっきりと遠慮してもらいましょう。」というと、「そのとうり、でも、民主党さんもね。」とはっきりと不安の表情が見て取れる。  
  民主党中心の政権ができる可能性が大きくなっている中、ページをめくる事は大賛成だが、その新しいページにどんな政治を描くのか、民主党だけにそれをまかせきれないという率直な気持ちが、はっきりと表現される。
  自民党政治に代わるものを描いて欲しいという気持ちと同時に、現実の中で、その描き手と、その内容がどのようになるのかすごく関心が高い。
  ページが変わっても、「消費税が引き上げられるようでは、」同じことだ。
 企業献金をもらって、その見返りとして、結局は大企業優先、ハケン切りをしている企業にものを言うのでなく、企業からものを言われ、大企業優遇の税制を引き続き進めるようでは、結局同じページになってしまう。
  今回ばかりは、その事は許されない。
  せっかくの新しいページには、今までと違った国の姿が描かれて欲しい。  
  それを描くための、「建設的野党」の立場。 この役割を理解してもらえるかどうかが鍵となる。

 「自民党政治を終わらせるということならば、共産党こそが今までもやってきたこと。社会党を含めて、いずれの党もこれまでの政権の与党経験がある。そうゆう意味では、共産党には、今回は是非伸びて欲しい。」  

 短い対話の中だったが、このように言っていただいた。
  どれだけ多くの皆さんとこうした会話を交わすことができるかが、勝敗を分けるということを改めて実感した日だった。

 明日には、新しいページへの提案=共産党のマニフェストが発表される予定だ。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月23日(木)  

 「共産党が伸びなければおかしい」 
    

  

  今週のしんぶん赤旗日曜版の1面に、映画監督の降旗康夫さんが、「日本の政治のけん引役に」と題して投稿している。  
  降旗監督といえば、松本市との縁は知る人ぞ知る方だ。  
  かの降旗徳弥市長の息子さんだ。  

 共産党には、「中途半端ではなくの伸びてほしい。」と語っている。

 全文は、ここをクリック

 是非ご覧下さい。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月21日(火)  

 「悪政の競い合い」から「良政の競い合い」へ
    

  

  日本共産党が、「解散・総選挙にのぞむ日本共産党の基本的立場」(以下「基本的立場」)を発表した。

  「基本的立場」は、ここをクリック

  6月に開かれた第8回中央委員会総会の段階から、方針を発展させた。

  6月初旬で は、どうゆう認識だったか。  
 「古い行き詰まった政治の枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になろうとも、国民に幸福は訪れないし、日本の政治の未来は開かれないということを、強調しなければなりません。」
  「いま日本の政治に問われている選択、今度の総選挙で問われる選択は、古い行き詰まった政治の枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になるかというちっぽけな選択ではありません。21世紀の日本の『進むべき道』はどうあるべきかという大きな選択が問われているのであります。」

  「古い行き詰まった政治の枠組み」とは、いうまでも無く自民党政治(=異常な財界・大企業中心、「軍事同盟絶対」)そのもののことだ。
  「二大政党制」とは、政権の担い手の変更はあっても「政治の枠組み」に変化は無く言わば、目先だけを変えて古い枠組みはそのまま温存させる政治手法。  
  その「古い枠組み」というか「二大政党制」というか、その段階でとどまっていては、政治の中身を変えることができない。  
  だからこそ、「8中総」の段階では、「どちらが政権の担い手になるか」は「ちっぽけな選択」とし、「ちっぽけでない」、「大きな選択」は、「21世紀の日本の『進むべき道』はどうあるべきか」とした。  
  そして、自民も民主も「共通点」があるだけでなく、その共通点こそ日本の政治を暗黒政治に導く危険をはらみ、それを阻止することの必要性を強調した。  

 では、今回何をどう発展させたか。(私なりに考えてみる。 )

 まず、都議選後の情勢の発展を捉え、「民主党中心の政権が成立する可能性が大きい」として、その先への対応を明確にしたことだ。  
  そして、その過程である今回の総選挙を、「古い枠組み」を踏襲する「政権交代」に終わらせること無く、徹底して「自公政権の終焉」を作り出すことを打ち出した点だ。  
  有権者の皆さんの思いは、単なる政権交代にとどまるものではなく、文字通り「安心と希望の日本」を望んでいる。
 とすれば、私たちの訴えも、単に「二大政党制」の段階の批判だけでなく、その先に向ってさらに歴史を前に一歩でも二歩でも進めることが必要だ。  
  その可能性を十分にはらんでいるほど、あまりに自民・公明政権はひどすぎるということだ。  
  それには、「古い枠組み」に徹底して審判を下すことによって、新しい政権が「古い枠組み」の中での政策の実施を許さない条件をつくることが肝要だ。  
  この点が、実に大事な点となる。
  私たちは、6月までの段階では、自民と民主の関係を、「悪政の競い合い」の関係としてきたが、今回の「基本的立場」は、まず民主の競い合いの「相手」を政治の舞台から完全にお引取り願うと同時に、「悪政の競い会い」ではなく、言わば「良政(=真に新しい政治)の競い合い」の相手として、攻勢的に私たちが名乗りを上げる中身を含んでおり、有権者もそうした役割を野党に求めているからだということだと思う。
  そして、今回、私たちは、2つの「旗印」を明確に打ち出し、民主党中心の政権に対して、三つの仕事を実行する「建設的野党」と「行動する是々非々」を打ち出したのもそこに一番の理由がある。  

 大きな、未来への展望を切り開く可能性をはらんでいる総選挙。  
  自由闊達に熱く語って、なんとしても議席増で勝ち抜きたい。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月18日(土)  

 民主党政権には、"行動する是々非々"、「建設的野党」の立場で臨む
    

  

  安曇野市で、500人の皆さんに集まっていただき演説会が行なわれた。
  10月に行われる安曇野市議会議員選挙の3人の予定候補者に続いて、きしの正明さん、山口のりひささんに続いて、参議院議員の山下よしきさんは、  「いよいよ、解散総選挙。(都議選の結果とその後の世論調査から、)民主党中心の政権ができる可能性が大きい。  『民主党の政権ができたら、どうゆう姿勢で臨むんですか?』 こうした質問が最近出るようになった。」と切り出し、次のように話をした。

    

  日本共産党は、独自の建設的野党の立場を堅持して臨みたいと思っています。
  「建設的野党」とは何か。 おそらく自民党は、野党になったら、破壊的野党になるでしょう。 私たちは、建設的野党の立場で、次の三つの仕事に当たりたい。
  1つは、国民の切実な要求を実現する立場から政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力し、政治を前に動かす「推進者」の仕事
  2つ目は、民主党が危険な諸政策を具体化する動きを起こしたさいに、それを許さない「防波堤」となる
  3つ目は、「国民が主人公」の立場にたった民主的政権――民主連合政府をつくるための国民的共同を探求、前進させるために力をつくす  

 

 自公政権に替わる民主党中心の政権に対してどうした態度をとるのか。
 「是非、共産党には、野党と結束して欲しい。」
  私もこのように、常日頃から言われます。  
 よく話してみると、
  「結束して、今の政治を変えて欲しい。」
  これが皆さんの一番の願いであることが分かります。
  それにはどうするか。
 「他の野党」のように民主党との「政権に加わる」。またそのことを前提として、いまから「選挙協力を行う」などの選択がありますが、果たして民主党の政権に加わることが皆さんの願いの実現に繋がるのか。
 

 この間私たちは、
「政治の中身」を変えないで、政権の「担い手」だけをとりかえても、日本の明日はひらけません。
・ 自民と民主の両党には対立軸がない、政治の中身に違いがないということだけでなく、その共通部分=競い合って悪政をすすめているところに、日本の政治にとっての重大な危険があることを直視する必要がある。  

 ことを強調してきた。  

 今回、都議選後とその後の経過を見て、いよいよ「民主党政権」の現実味が出てきた中で、どのようなスタンスで臨むのか。

 
  昨日、演説会のお誘いに行ったときに、地元の方からこんなことを言われた。

  「もう自民党は終わりせ。それにしても政権に加わるといって、社会党(社民党)は、2度政権に加わった。一度は、『総理大臣に』ということで、婿に行った。もう一回は、『議長に』ということで、嫁に行った。でも、主義を曲げたため、いずれも帰る『実家』が、無くなってしまった。」  

 民主党とは、消費税引き上げ、憲法9条の改悪、そして比例定数の削減などを見た場合に、私たちは、政権を組む条件はありません。
 自公政権に引導を渡すと同時に、自民と民主の攻守の入れ替え、「ただ反対」でなく、「行動する建設的野党」の訴えが、どれだけ市民の皆さんに届くか。
  今度の選挙の争点は、共産党がどれだけ伸びるかが最大の焦点となる。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月15日(水)  

 「政治の道具ではなく、政治に支えられる農業を」
    

  

  6月16日に今井、笹賀地区に降雹が発生してほぼ1ヶ月が経過した。
  りんご、ぶどう、なしなどの果樹の他、野菜、花きの市内被害報告額は、当初4億6046円余とされていたが、それを1億4000万以上上回る、6億0391万1千円(7月6日現在の確定被害見込額)という。  
  降雹の場合には、すぐに被害は現れないという。

 松本ハイランド農業協同組合から「降雹による農作物災害対策に関する陳情書」が出され、今日は、現地調査をした後、この陳情審査のため、経済環境委員会「移動委員会」が今井出張所で行われた。  
  この「移動委員会」は、議会基本条例でも定められたものだ。  

 「移動委員会」に先立って行われた現地調査では、関係者から次のようなお話があった。  

 以下、そのまま紹介します。 (カッコ内は、池田記載)

  ・H12年、波田町地方のときと違って、雹の大きさが違う(小さい)が、果実の傷みの状況は実に深刻なものがある。90%以上〜100%全滅の場所もある。

  ・西の方から降ったので、りんごをしたから見た場合、裏のほうはなんとも無いが、上部のほうが大変な状態。(笹賀地域)

 ・ジュースに関しては、販売料金が心配。(ジュース用のりんごについては、昨年の青森の降雹分もあって、すでに工場には、ストックがいっぱいである。)

  ・今井のほうには、雹の直径が2cm以上の大きなところもあった。また、一度降って、やんで、また降った所もある。笹賀と違って、今井地域は、広範囲に、片面だけでなく玉の周り全体に傷になり、さらにひどい状況になっている。

 ・今井では、20分間降った。玉によっては20箇所以上被傷、商品性がまったく低い。今、木についてるのは、来年のため。木にも傷がつき、葉っぱも痛んでいる。

 

    


  ・ 消毒料が高い。 薬は1000?あたり2万7000円かかる。毎年、春から収穫まで、だいたい13回ぐらい消毒するが、すでに今まで、今まで7回消毒しているが、降雹後の緊急消毒のほか、これからもお金にならない商品にあと4回から5回は消毒しなければならない。80歳過ぎの農家の方に寄れば、こんなことは初めてのこと。

 ・ これから、お金にならないりんごをふるい落とさなければならない。 今の時期、りんご農家は、 一段落 一休みの時期だが、今回は、こんな仕事が増えている。  

 ・毎日毎日、お金にならないりんごの面倒を見て、落としていかなければならない。 傷ついたりんごをあまり残しておくと加工も増える。その量は、決まっているのでので  えりすぐって、なるべくお金にしていこうとしている。

  ・私も外国の農業を見てきているが、政治に支えられている農家はやはり強い。生き生きしている。 いろいろな国を回ってみると。 日本ももっと政治に支えられてやっていけるような、農業を政治の道具にされないような農業にしてもらわないと。よろしくお願いします。

  ・葉っぱがぼろぼろですけれども、隣に来年の花芽がある。これ(実を)をとってしまうと、これ(芽)が動き出してしまう。たとえ実はぼこぼこでもこれをつけておかないといけない。

 ・ブドウのえだもぼこぼこ。来年芽が出るかの心配がある。  房から痛んだ実をとると、房の骨(軸)しか残らない。  昨年度(バラ房)も収入減になり、ことしは、生育も順調だったので大いに期待していたのが、経験のない降雹被害。期待も、希望も一瞬のうちになくなってしまった。  来年の事も考えて、木は相当のダメージを受けているので、傷がついていない房も、落とさなければならない。 今年は、もう、へい、しかたがない、早く1年終わってくれないか。 経済的にも精神的にも、参っている。

 以下、次回に)

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月11日(土)  

 マイケル・ジャクソンの功績  
  

  キング・オブ・ポップ″といわれたマイケル・ジャクソンが亡くなって、ほぼ2週間がたった。
 「ジャクソンファイブ」のボーカルとしてのマイケル・ジャクソンは、よく口ずさんだことがあったが、ソロになってからのマイケル・ジャクソンには、あまり親しみがなかった。  
  先日も、確かイギリスのテレビ番組で、マイケル・ジャクソンの表情の変遷のCGがトップに出ていたビデオを見たが、印象としては、いわゆるスキャンダラスな部分のみが大きい存在だった。  
  追悼番組の中で、「スリラー」のノーカット版が放映され、思わずビデオにとったが、初めてことだった。  

 そんな中、12日付けしんぶん赤旗日曜版が、音楽ライターの柿沼信氏の「マイケル・ジャクソン 音楽史上に3大功績」を掲載した。  
  「3大功績」として、
 1つは、「最大の功績」として、「黒人音楽と白人音楽の闇にあった高い高い壁を乗り越え、ブラックミュージックを白人のみならず、世界中の人に認知させたこと」
  2つ目は、「パフォーマーとしての業績」
  そして3つ目は、「ダンスだけでなく映像をも音楽と融合させたこと」 をあげているが、「スリラー」を見て納得できる内容だ。

    

 

 正直言って、印象としては、黒いマスクをして報道人に囲まれている歌手というものだった。  
  そして、これは、正式には確認していないのだが、「黒人から脱色して」のパフォーマンスのみが、実に強烈だった。  

 私と黒人音楽との出会いは、ハリー・ベラフォンティ。
  確か、記憶では、初めて(?)カーネギー・ホールで演奏した黒人歌手だったと思うが、そのライブのLPレコードを1枚だが持っている。  
  そして、黒人霊歌(Negro Spiritual)を知り、ビリーホリディの「ディープ・リバー(深い河/Deep River)」を何度か聞いた記憶がある。同名の本も読んだ。

 そうした音楽の流れとマイケルは、自分の中では、残念ながら結びつかなかった。
  追悼番組の中で、マイケルが、子どもたちへのメッセージソングをいくつもつくっていることも初めて知った。  

 「ビート・イット」や「スリラー」を改めて鑑賞したいと思う。

 黒人差別の中での音楽活動。 これまでのイメージを払拭することができるだろう。

 マイケル・ジャクソンのご冥福を祈ります。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月10日(金)  

 環境保全としての湘南海岸の侵食問題  
  

  西浜SLSCの風間隆宏氏の話の続き。

  海岸侵食は、波の作用によって陸地が削り取られて、消失することだが、  その原因としては、
1、沿岸構造物による沿岸漂砂の連続性の阻止
2、防波堤等による波の遮蔽域の形成
3、砂利採取や河川構造物(ダムなど)に伴う河川からの供給砂の減少
  などがあげられる。(これこそが、まさに海岸の環境問題だ。)

 日本には、行政においてこの海岸を一括的に管理する部署がない。
  海岸の約70%を管理する国土交通省においても海岸を管理する部署は港湾局と河川局に分かれており、河川局内においても海岸室という一セクションがあるに過ぎない。  
  その結果、日本の海岸線の総延長は35,000km、そのうち砂浜は4,500kmあるが、年間約160haの砂浜が消失しているという。
  遠浅な昔の海岸が、誰もが望む海岸環境で、遠浅な昔の海岸に戻れば,高波浪が来襲しても,自転車道などの施設への越波被害をなくし,海岸を保全することができる。
  結果として、海の安全確保にもつながる。

 しかしながら,このような遠浅な海岸に戻すには絶対的に砂の量が足りない。
  相模川からの供給土砂の減少、1940年代以前のダム建設前の流出土砂量15万m3/yrに比べて,現在は0.5万m3/yrと約3%に激減。 1996〜2005年では,柳島消波堤を越えて西側から流入する漂砂量は約0.3万m3/yrと推定。
 局所的な対策ではなく、漂砂系全体を視野に入れた総合的な土砂管理が重要となる。

 具体的には、
1、限りある資源である海岸の砂を有効活用。
2、堆積域から侵食域へ土砂を戻すサンドリサイクル。
3. 相模ダムの浚渫土砂を含めた養浜砂を調達するとともに,継続的に,辻堂,藤沢海岸などの堆積域から土砂を採取し,侵食域に養浜(投入)するといった漂砂系全体を視野に入れた総合的な土砂管理が重要。  
  となる。

 侵食対策に関しては、ここをクリック  (講師の方から紹介されたサイトです。)

 そして改めて、全体のまとめとして、

■ 藤沢市の海岸は日本有数のビーチリゾート。 年間400万人の海水浴客、サーフィンなど年間を通して海岸利用がある。

■水難事故防止には、社会システム、人・教育、自然環境の要因を総合的に解決する必要がある。

■社会システムとしては、海岸管理体制をはこのままでよいのか? 年間400万人の海水浴客を守るのはボランティア団体でいいのか。また全国の16%の海水浴場にしか有資格者のライフセーバーはいないままでいいのか。

■人・教育では、 次世代の子供達に誇るべき湘南海岸、海について学ぶ機会を提供、子ども達が安心・安全に海で遊べる環境・知識を提供する。

■ そして、自然環境保全として、サンドリサイクルなど近隣海岸と連携しての総合的保全対策を図る必要がある。

 以上が強調され、講演は終わった。  
  (あくまで、話を聞いた私の勝手なまとめです。)

  「水難防止」という直面する問題への対応とその解決の過程の中で、「次世代にこの海岸環境をどのように残していくか」という今後の総合的な課題が見えてくる。
  どんな場合でも、問題解決の科学的過程は、こうした展開となるものだ。  

 治山と漁業の関係を環境問題として捉えた話を富山湾を例に聞いたことがあったが、それに勝るとも劣らない、そうした意味では、実にわかりやすく、十分示唆的な講演だった。

 追伸)
  例によって、番外編の視察  今朝は、「時宗総本山 遊行寺」を訪れた。

  

 「遊行寺坂」を上りきって、翠ヶ丘公園を経由し、ホテルに帰ってきた。

 

 

 

 戻る

 

 

7月9日(木)  

 湘南海岸の海岸保全  
  

  藤沢市議会との姉妹都市親善交流事業で9日、10日の2日間の日程で、藤沢市を訪問した。
  今日の研修会は、「湘南海岸の海岸保全」をテーマにした講演。
  「ライフセーバーから見た海岸環境について」と題され、NPO法人西浜サーフライフセービングクラブの風間隆宏氏が、実に興味深い話をされた。

 氏の自己紹介から始まった講演。
  まず、ライフセービング=人命救助と一般的には言われるが、その中で、 厳密には、「ライフセーバー」と「ライフガード」は違う。
  ライフセーバーとは? 
ライフセーバーの有資格者で、基本的にはボランティア。
  それに対して、 ライフガードとは?
ライフセービング活動で生活の糧を得ている人すなわちプロフェッショナルとのこと。
  (日本では、「ライフガード」はまだ確立されていないという。)

 そして、氏が所属する「NPO法人西浜サーフライフセービングクラブ(=西浜SLSC)」は、日本で最初のライフセービングクラブとのことだ。

 全国の海水浴場数は1,441箇所,海水浴客数は4,230万人だが、藤沢市には、年間約400万人訪れるという。
  なんと約1割。 新潟(399万人)、沖縄(361万人)、千葉(287万人)県よりも多い。
  毎年多くの水難事故(発生数1,492件,死亡者数876人)が発生しているが、海での発生数(57%),死亡者数(55%)がいずれも半数を占めるという。

  なぜ毎年、このような水難事故を起こるのか?

 氏は、この現状を @ 社会システムの問題 A 人的・教育的な問題 A 自然環境の問題 の側面から分析した。

 @ 社会システムの問題としては、安全管理に関する意識の低くさ。 海浜利用者の安全を誰が守るのか、消防?・警察?・海上保安庁?・ライフセーバー?海岸管理者?非常に曖昧。 海水浴場・プールにおける水難事故防止に関する条例制定の遅れ(現在13都道府県のみ)
  A人的・教育的な問題としては、 海辺の安全教育の遅れ、学校教育及び社会教育において海洋に関する教育を推進するための国の責任が不明確な点を指摘。  
 B そして、3番目の問題点として、海岸線の開発との関係で、 構造物が周辺にある場合、構造物周辺の局所的な流れが水難事故を助長する。特に、海岸利用者の心理として、波の静かなところは安全と考える。しかし構造物による波の遮蔽域では、波は静かであるが強い流れが発生している場合が多く、利用者自身による視認情報と安全性が一致しないことが水難事故につながる。

 と結論付け、ライフセービングの課題に話が移り、藤沢地域の水難事故を無くすための西浜SLSCの活動を紹介したあと、 話は、水難事故の防止との関係からも「海岸環境の保全問題」にと展開した。

 西浜SLSCの活動については、ここをクリック    
 左肩上の設立趣旨をご覧下さい。

 以下次回に続く)

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月7日(火)  

 一連の有名知事の動きについて  
  

  宮崎県知事に続いて、大阪府知事が、総選挙に関連してほぼ毎日マスコミに登場している。
  片や、自民党からの申し入れに対して、「総裁候補」と「全国知事会の提言のマニフェスト化」を要求、もう一方は、民主党との接近が報じられている。

 忘れもしない。4年前の総選挙は、「郵政民営化に賛成か反対か」だけで、「小泉劇場」が展開した。
  今度は、「東国原劇場?」とのマスコミの質問に、本人は「東国原シアター」と言ってはばからない。
  もちろん、政党支持や結社の自由は、保障され、衆議院選挙に向けて知事や政治家が自らの意見や態度表明をすることになんら問題があるわけではない。
  しかし、「有名人」に立候補を要請し、それに対して、「自分が出れば、負けません。」とかの発言が出ることに、「何か違うのではないか。」と感じるのは、私だけではあるまい。

 もちろん選挙は、政策で争われるべき事は、論を待たないが、今回の騒動の「シングルイシュー」(シングルイシューポリティックス【single issue politics】)についてみても、「全国知事会の提言(6月)」を、知事ブログで見ると、問題点はいくつもある。

 関係ブログは、ここをクリック

 「新たな国民負担について議論を避けず、地方消費税の充実・引き上げを!」とか、直接ブログでは、紹介されていないが、しんぶん赤旗に拠れば、「分権型の道州制の検討」をもマニフェストへの書き込みを要求しているという。

 「郵政民営化」もそうだった。
  中身が伝わらないうちに、選挙直前の幕開けで、演じるだけのシアター。
  「地方分権」だけが選挙の争点ではない。

 今回の選挙の「真の争点」そらしであり、さらに結局のところ、自民か民主かの「二大政党」の枠内に押し込める結果にしかならないところが一番の問題であり、危険な面だ。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月5日(日)  

 「ピラミッド 隠された回廊の謎」  
  

  表題のNHK番組が放映された。
  番組は、次のように展開する。

 ピラミッドには、大きな謎が2つ。
1つは、「平均2.5トンの300万個の石を運びあげた方法。」
もう1つは、「地上60メートルの場所に、重さ60トンもの巨石が使われている。」

 第一の謎。
  20年で作り上げたとすれば、それは労働者たちが、毎日12時間働いたとしても、2分に一個のペースで石を積み上げたことになる。
  そうした条件から導き出される仮説として、フランス人建築家ジャン・ピエール・ウーダン氏が、建築家の視点から、「内部トンネル」を使って建設したという独特の説を世界に発表したことを紹介する。

 第二の謎。  
  その「内部トンネル」を使っても、重量軽減の間の60トンの石の事は説明できない。
  そこで、出てきたのが、大回廊を使っての石の運び上げの説だ。

 大回廊は、何のためのものだったのか。
  確か、私の記憶では、吉村作治(早大)氏の説は、「蛇が縦に蛇行するための空間」だったともうが、今回のフランス人建築家の説は、建築から見ての合理性という面と実際の検証から見て、説得力がある。

 関連サイトは、ここをクリック

  2007年の正月に、「ピラミッドは、王墓ではない。」の日誌を書いたが、それ以来、ピラミッドを巡っては、吉村作治氏、考古学者ザヒ・ハワース博士の二人がこの2年間に何度も登場して、テレビで番組を提供してくれている。
  その都度、録画してとってあるが、じっくり見る機会が無かったが、今回の新説は、初めてのものだった。

 夜9時からの番組。 今日は、事務所の泊まりの日だったので、録画したものを、11時過ぎから見た。 新たな、発掘や調査が進んでいると思う。
  これからの報告、検証が楽しみだ。

 番組紹介は、ここをクリック

 エジプト発掘 第2集 「ツタンカーメン 王妃の墓の呪い」 は、7月26日(日) 午後9時00分〜9時49分に放映される。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月3日(金)  

 「リニアBルート実現陳情」は、「聞き置く」  
  

  第1回松本広域連合臨時議会が開かれた。
  今回の臨時会は、議会人事、特殊緊急自動車、高規格救急自動車、20年度補正予算の3つの議案とともに、県議会でも話題となった「リニア中央新幹線Bルート実現に向けての陳情書」の審査の他、消防の広域化に関しての「報告」も行われた。
  結論から言うと、3議案は可決。リニアBルート実現の陳情は、「聞き置く」。 そして、中南信消防の広域化に関しては、「反対」意見が私を含めて3人の議員から出された。

  「リニア中央新幹線Bルート実現に向けての陳情書」は、松本広域連合市町村長OB会(会長 有賀正)から、4月17日に出されたもので、「Bルート実現のため、あらゆる手段により一層万進されますよう」という言葉で結ばれている。
 「万進(邁進?)」という言葉使いは、ともかくとして、陳情の趣旨は、 「地元負担金等を負担する決意と覚悟でBルート実現をはからなければ、高速交通時代における、将来の中南信の産業経済の発展は考えられません。」 「Bルートによる諏訪地区駅の実現に総力をあげ」とし、 そのために、「あらゆる手段」を使うことを、県知事とともに松本広域連合構成各市町村長に求めるものです。  

 この審査は、私が今回所属することになった総務民生委員会で行われたが、
  「リニア新幹線に夢がないわけではないが、この時期の建設については疑問があること。」
  「実現がなければ、将来の中南信の産業経済の発展は考えられないものではない。」
  そして、何よりも、
  「何がなんでも、どんな手段を使っても、実現させることを現広域連合内首長に求められることではない。」
  などの発言があり、全員一致で、「願意妥当」ということにはならなかった。

 委員長は、そうした委員の発言を踏まえて、「願意に沿いがたい」ではなく、「聞き置く」とまとめようとしたが、副委員長をはじめ、他の委員から多数決でも決めるべきだとの意見が何度かだされた。
  議会運営のルールから言えば、請願の場合は、多数決で決める場合もあるが、陳情のまとめ方は、「願意妥当(=賛成)」「願意に沿いがたい(=反対)」そして、両論があった場合は、「聞き置く」とその扱いが決まっているのだが、 改めて、私は、仮に多数決で決めた場合、議会が「あらゆる手段を市町村長に求める」ことに決めることになるが、「議員としてこの内容に責任が負えるのかどうか考えるべき」ことを強調して、結局最終的には、「聞き置く」でまとめられた。

 消防の広域化に関しては、安曇野市の議員、塩尻市の議員から、この内容では疑問があることが、かなり語気を強めての発言としてあった。
  私はすでに一昨年の11月議会の一般質問で、県下を2つの消防本部体制にすることの問題点を指摘してきたが、これまであまり表立って発言をする議員がいなかったわけだが、今回私より先に、こうした意見が出るとは正直思わなかった。
  「中南信協議会での議論は、はじめから『2つ』ありきではなく、4つということもあり、まったく『ゼロ』(=広域化をしない。)ということもありうる。」との答弁もおこなわれた。

  なお、私から質問した松本広域連合下の住民にとってのメリットについては、「今年の11月議会までには明らかにし、議会に提出する。」ことが確認されました。  

 関連の日誌は、ここをクリック

 議会人事に関しては、正副議長、各常任委員会正副委員長のほか、議会運営委員会のメンバーを確認。 私は、今回、議会運営委員会で、委員長を務めることになった。

 

 

 

 

 戻る

 

 

7月1日(水)  

 「殿村遺跡の調査結果と今後について」  
  

  6月18日付け日誌で、殿村遺跡についてお伝えしたが、25日に行なわれた四賀地域審議会に、文化財課から、タイトルの文書が発表された。
  その中から、いくつか紹介すると

 東西に33mに延びる最も長い石垣の南側には、8mほどの幅の水をたたえた堀があったと推定されますが、その中の堆積した湿地層から、多量の木製の箸や"かわらけ"とよばれる土器が出てきます。
  当時は、"宴会政治"ともいうべき酒宴による政治が行なわれ、その際に使われる箸や器は一度使われただけで捨てられてしまいます。

 茶臼、天目茶碗、葉茶壷といった茶道具が出土しており、その器形などから15世紀頃のものと推定されます。 茶の文化は、鎌倉時代に栄西や道元といった禅宗の僧が薬として日本に持ち込みますが、室町時代に村田珠光が"茶の湯"の様式を体系化し、安土桃山時代に千利休が大成させます。会田の地に、千利休が茶道を犬成する100年も前に茶の文化が入ってきていたことがわかります。こうした中央の文化を呼び寄せることのできる力を持った人物が居住していたことをうかがわせます。

 

  そして、「専門家からの指摘」として、

 (1)居館の構造について
  一般に中世の城館は方形の居館と考えられがちだが、こうした山間の傾斜地では方形の居館はつくりにくい。自然地形に制約を受けた段上の遺構を検討すべきである。一般的に、当時の地割が後世の土地の利用にまで影響していることが多く、明治の小字境界図を確認すると、上段(調査地)、中段(ゲートボール場)、下段(会田小学校)の三段の雛壇状の構造となっている可能性が高い。
  (2)都市計画?
  岩井堂沢の流れを人工的に変えてまで造成しているのであれば、ひとつの居館の建設だけを目的としているとは考えにくい。居館、屋敷、寺、町家まで全体の都市計画をしているのでは。
  (3)上段は奥方の居住地?中段が主(あるじ)の居館?
  中世の屋敷の配置は、"北政所"(きたのまんどころ)というように、一番北側に奥方の居住空間がある。であれば、中段に領主の居館がある可能性がある。
 

 現在中段にある屋根つきゲートボールについては、村当時の建設時点での発掘調査はまったく行われていないという。
 ついでに言うと、虚空蔵山城とこの現在の発掘地点との間に、四賀運動公園があるが、この運動公園の地点からは、両角議員と現地視察したときには、過去に具足が出てきていたとのことを聞いている。  
  ここも、発掘調査をすることなく、建設されたという。

  

 遺跡の保存については、

 (1)石垣について
  前述したとおり、出土した石垣は古い様式ももつため雨水などの排水が悪く露出したままで展示した場合、崩れてしまいます。 もし、石垣を見せるような保存の方法を考えた場合、次のような例が想定されます。
  ア、実際の石垣を露出展示する場合
  現在、奈良文化財研究所などで、土壌への薬剤注入等の科学処理により、土壌の一定の強化処理を施して崩落を防ぐような措置が研究されています。ただ、そうした科学処理が、信州の厳冬期にも耐えられるかどうか、調査、検討の必要があります。
  イ、レプリカ展示
  国史跡に指定されている弘法山古墳は、実際の遺構の上に1mほど盛り土をして復元しています。それと同じようなやり方で、殿村遺跡の場合、実際の石垣が露出している今のうちに専門業者により型取りをしてもらい、盛り土をして遺構を保存したあと、その上に型取りから起こしたレプリカを設置する方法があります。
 

 レプリカ保存といえば、紹介されている弘法山古墳のほか、里山辺にある針塚古墳がある。  

 文化財課の文書は、最後に次のように結んでいる。

 四賀地区と殿村遺跡. 文化庁に殿村遺跡の調査状況の説明した際、四賀地区の周辺の文化財についても説明を求められました。その際、担当調査官から「非常に地域の文化財の豊富な場所だ。」という好印象の所見と、「周辺の文化財一帯を合せた将来的な町づくりについても考えていかなくてはいけない。その点では、この地域はメニューが多い。」という意見をいただきました。
  四賀地区は、古代の官道である東山道の東北へ向かう本道と、新潟方面へ向かう支道との分岐となる重要な場所でした。また近世には善光寺道が通り、会田宿が繁栄するなど、かつては交通の要衝だった土地柄です。このため、周辺には寺院や神社が多く、また石造文化財はいたるところに散在しています。 会田氏に関わる一連の資料は、四賀地区の歴史や文化にとって中核的な存在であり、その意味では今回出土した遺構は、四賀地区に散在する豊富な文化財すべてをつなげる中心的な位置にあり、今後の四賀地区の文化財のなかで大きな役割を果たしていくのではないかと思います。
  今回出土した全国的にも特筆すべき重要な遺構の発見が、今後の四賀地区の豊かな文化財を生かした町づくりにつながっていけばと思います。
 

 ここへ来て、降雨があり、発掘は進んでいないことを審議会に出席した両角議員から聞いている。  

 引き続き、目の離せない発掘となる。

 

 

 

 

 戻る