2019.2.13.   


 まいどこんにちは。
 第1巨峰園で平行整枝の短梢剪定を飽きるほどただひたすら単純に繰り返してようやく完了。毎年のことですがもうほんとうにいやんなった。で、次はRainbowぶどう園。ここは自然形長梢剪定なので、さてどうしたものかと考え込む時間が長いです。剪定作業の醍醐味がここにあります。楽しいです。考え込む時間が長いということは、それだけぶどう木と対話する時間が長いということです。その対話の一端を下記にご紹介します。
青がバカ園主紫がぶどう木たちです。

 
 ゴルビー2。

 
お前去年はなかなかよかったぞ。ほめてやる。でもちょっと粒が張り過ぎや。そんな大きくならんでもいいからもっと真っ赤になりや。どしたらいい??。 
 
ん~............、2回目のジベがちょっときつすぎたかなぁ....。もっと薄くってもいいです。それにあんだけ雨降られたら私割れないように踏んばるのにもうせいいっぱいでした......。 
 
さよか、実は今年は秘策がある。ちゃんとやるから待っとれよ。 
 
はい、お願いします......。 
 
お前、樹勢もやや強めでちょうどいいし伸び伸びといける剪定にしとくな。ただ元にある太い枝、切るぞ。 
 
はい、そうしてください.。わたしもその方がいいです.......。 
 
それからお前、先端がマリオとくっついてきたな。お互い邪魔にならんように枝全体をちょっと左に振るからな。ぶどうの木のいいところはある程度大きな枝でも左右に動かすことができることだ。デラなんかいくらでも動かせるぞ。さあいくぞ、伝家の宝刀・枝返し。よいしょっと.......。どうだ.........!!。
 
わぁ!、すっきりしました。びっくり!。私あのマリオさんがちょっと苦手で.......、なんか怖いんです、煽られている気がして.......。これで楽になりました。ありがとうございます.....。
 
せやな.....。あいつちょっと変やからな。絡まれたらちょっと厄介だ。気をつけろよ。よし、じゃお前これで完了な。
 
.あ、あ、あの.......、園主さま.......。
 
ん?、どした? ゴル子??
 
あの、あの......、今年は消毒作業ちゃんとやってください。病気になりたくないので.....。
 
わかった。すまなかったな去年は。今年は手抜きしないでちゃんとやるよ。
 
はい、お願いします........。


 
 
 翠峰1。

 
おーい。すーいーほー........。去年は大変な目に遭ったなあ.........。ぶどうが袋の中で燃えてたもんなぁ...。あんなん初めて見たわ。袋ん中いったい何℃あったんだろうなぁ。それに雨で粒全部割れたし....。ショックだったよなぁ.......。今年、どうする??
 
・・・・・・・・・・。
 
なぁ、今年どうする??。
 
・・・・・・・・・・。
 
おい、聞いてる??
 
・・・・・・・・・・。
 
聞いてんのか?、寝てんのか?、どっち??
 ・・・・・・・・・・。

 
コウヤロウ。おまえの芽を見れば寝てないで起きていることはわかってる。おまえ毎年芽吹きがあんまりよくないからちょっとでも発芽しやすいように枝少し短く切ってやる。特別扱いだぞわかってるか!?。
 
・・・・・・・・・・。
 
バカヤロウ、寝たふりしやがって。まあいいや、おまえもともと寡黙なやつだし、それにおまえの実力はみんなが認めとる。おまえのかわりはどこにもいないからな。
 
・・・・・・・・・わかってる.......。 

 
 貝甲干(ベイジャーガン)。

 
呆れた人だね君は。木の先端が枯れているじゃないか。枯れてないところまで切り戻したら先端が横に曲がっちゃったよ。変な恰好になっちゃったな。元にある横向きの枝に養分取られすぎだよね。去年の剪定が悪かったな。ゴメンな。
 
私、トルファンっていう中国の奥地から来た異国人なので日本の人たちと同じようにはいかないと思います...。
 
そやなぁ。名前も変わってるし。フリガナないと絶対おまえの名前読めないぞ。
 
はい。よくそう言われます。
 トルファンっていうとウイグル自治区だろ。シルクロードのど真ん中じゃないか。古くからぶどうの産地というのは知ってる。写真なんかもよく見た。でも今政治的に大変なとこだよな。ウイグル民族と漢民族の同化政策の真っただ中でさぁ......。
 
はい。.................でもそのへんはノーコメントです。難しい政治的な発言は控えさせてください、みなさん見てますし...。
 うんわかった。でもわかるよ故郷を思う君のその気持ち。ところでその足元どうした??。せっかく防寒帯巻いているのに、誰にひっかかれた?。
 
日本の猫です。あのタイプは中国にはいません。
 
やっぱそうか。ほかの木たちもやらてる..。まぁあと1か月間辛抱してくれ。
 
うん。たぶん大丈夫。ここはトルファンほど寒くないから。

 
 コトピー(左)。

 
コトピーさん、はじめまして!。あなたいったいどんな人??。赤い色してるって聞いたけど。
 
はい。わたし、シャインマスカットと甲斐乙女というぶどうの間に生まれました。
 
さよか。で、男子女子、どっち??
 
ん~.......、言わなくちゃいけません??。
 
別にいいけど。実はな、ほら見えるかあそこ。あそこに昭平紅っていう赤いぶどうがいるんだよ。去年初なりだったんだけれど猛暑でさあ、袋ん中で焼けちゃったんだよ、裏側だけ残してな。あなたが今年そうならないようにちゃんと手を打つからね。あなた見たところ今年初なり約20房だね。頼みます......。
 はい。すべては園主様次第です.....。

 
わかりました。では今から契約を結びます。私は一生懸命あなたをつくり育てます。あなたは持てる力の全てを出しておいしいぶどうをならせてください。いいですね?。
 
かしこまりました。

 紅環(右)。
 
おーい紅ちゃん。去年はあんまり赤くならなかったなぁ。この産地の人みんなそうだったみたいだけど、だからシロタマキって呼ばれるんだよ。悔しくないか?。
 
うん。ちょっと悔しいです。
 
そうだよなぁ。おまえ力が強すぎてさぁ、枝ばっかり伸びるんだよね。副梢も伸びて真っ暗になるしさぁ。そんなことだから晩腐菌が近寄ってくるんだよ。樹勢が落ち着くまであと何年かかかると思うから、切り返しはしないで全部間引き剪定でいくよ。どんどん広げてあげるからあんまり強くならないでね。肥料を全くあげなかったのはそういうわけだから。
 
うん。たしかに枝ばっかり伸びて房にあんまり養分が行ってない気がする。
 
うん、じゃなくて、はい、だろ。
 .................はい。

 わかればよろしい。一昨年がサイコーだったからな。今年もその再現といこう。
 
うん、じゃなくて.....、はい。

 
 サニードルチェ1(左)、サニードルチェ2(右)、真ん中上から下に伸びているのがゴルビー2。
 
もう面倒くさいから3人一緒に話をする。この一画とにかく入り乱れて混雑しすぎだよ君たち。誰がどこを占有するか君たちで決めてくれ。
 
そんなこと言われても.........。(3人同時)
 
普通はな、剪定は木を一本決めてその木をやるもんだ。君たちのように3本まとめてやってくれというのは聞いたことがない。
 
そんなこと言わずになんとかお願いします.......。(ゴル子)
 こんなふうに植えた園主が悪い....。(ドル子1)
 そうだおまえが悪い....。(ドル子2)
 
ぬぁんやとぉ!、おのれ!!。わかったよ。じゃあやってやるよ。文句言うなよ。まずはゴル子。先端ちゃんと決めてやるな。二人のドル子はそのうち一人にせないかん。でもそこは上手にバランスとりながらやるからな。元の太い枝は切る。次の太いのは後ろに返し気味にもってくる。返し枝を大切にするのは剪定の基本中の基本だ。誘引縛りつけもついでにやってしまおう。どうだドル子たちこれなら満足だろう。
 
まあまあかな........。(ドル子1)
 うん、この園主にしては上出来だ.......。(ドル子2)
 
ドル子たち。去年は思いっきり日焼けしたからなぁ。棚明るくしすぎたよな。タイミングとか、ちょっと反省してるぞ。でもな、欲しい時に雨降んなくてさ、結局房小さいままだったな。いろんなことがなかなかうまくハマらないよな。ところでちょっとあっち見てみい、台木の種類の違うドル子3がだんだん大きくなってきたぞ。おめーたち負けてられないぞ。どんな年でもそれなりの実績を出す隣のウインクさんみたいになってみろ。隣にいいお手本がいるんだからな。頼むぞ。
 
ウインクさんが優等生なのは知ってる。でもその隣のわたしってそんなに劣等生?。 (ドル子1)
 
劣等生とは言わない。でも年によって出来にムラがあるんだよ。
 
ウインクさんって誰??。(ドル子2)
 南の2軒隣だよ。知らないの?。おまえ何年ここに住んでんの?。さてはおまえモグリだろ。
 
モグリって何??。(ドル子2)
 もういい。君たちと話してると長くなる。さてゴル子。おまえ東側をマリオに、西側をドル子たちに頭押さえつけられて狭いところで汲々としているな。まぁガマンしてくれ。
 
いいえそんなことないです。周りをしっかり固められていて、身動きとれなくてなんかがんじがらめにされてる感じでちょっと快感。これってけっこういいかも。(ゴル子)
 
 
明日は若翠峰3本、伊豆錦2本、まだ海のもんとも山のもんともわからない2種2本の剪定やって一段落。ぶどうの剪定はやっぱ楽しいわぁ。