議員定数「31」に対する意見

                                 日本共産党・しがの風  池田国昭
    
 ただいま提案された 議第9号 松本市議会議員定数条例の一部を改正する条例、議員定数を「31」にする条例改正に対する意見を申し上げます。

 私たち会派は、今回の議員定数の議論の経過の中で、削減ありきの議論が先行し、「なぜ削減しなければならないのか」が明確でないことが、6月議会までの結果を生んでいることの根底にあることを指摘して参りました。
  その際、7月7日の議員協議会でも発言しましたが、削減しなければならない根拠が明確になれば、私たち会派も削減の議論に参加することもやぶさかでないことを表明した経過があります。
  しかし、残念ながら、そうした機会は設けられことなく、今回の「31」の提案となりました。 時間がないからということでさらなる議会報告会の開催、又、当本会議場で市民の傍聴のもとに自由な意見交換会の提案も結局行われることなく退けられましたが、十分のその時間を取ることはできたはずでした。

 今回の「31」というこの提案、数字を含めてどうした経過を踏んだかについては、私たちが知る由はありませんが、いずれにしても、いみじくもある議員が7月7日に、 「31なんていう足して2で割るやり方は、市民が納得しないし、笑われる」 このように発言したように、今回の「31」は、その内容そのものであることは、実に残念なことです。
 
  「なぜ削減しなければならないのか」この私たちの立場は、変わりありません。

 その後の市民の皆さんとの対話の中でも、人口が増え、市域も広がっているのに、何で合併前に比べ減らさなければならないのか分からないというのが、少なくない市民のみなさんの声です。
  また、議員削減は求める立場の方でも、議員報酬の削減で財政負担が減るのであれば、その方法も考えるべきとの意見も寄せられました。私たちもそのように考えます。
 議員定数の削減は、民意の反映の仕組みそのものにかかわる議会制民主主義の根幹問題として、慎重であるべきは、誰もが論を待ちません。
  その削減に当たっては、今紹介した根幹との関係で、その民意の仕組みを削減するに足るだけの十分な説明が必要ですが、残念ながらただいま提案説明がおこなわれた中に、そのことを確認できるものはありませんせんでした。
  とりわけ、なぜ「31」になったのかに対しては、一言も触れられていませんでしたが、
  まさに、このこと自身がいわば、「足して2で割る」というもの以外の何物でもないということの証明ではないでしょうか。

  一部に、この民意反映と関連して、町会連合会からの文書をもって、「民意は削減だ」として、議員定数の削減の根拠とする論がありますが、それは、民意の把握という問題と議会制民主主義の仕組みとしての問題を混同した議論です。 市民の民意を確認するのでれば、更なる議会報告会や別の方法をとるべきだったと考えます。
  また、今回、議会改革と関連しての議論がされていますが、議会改革=定数削減と直接結びつくものではありません。 いやむしろ、私たち議会が全会一致で議決した議会改革を目指すことを内容とした「議会基本条例」の中には、議員定数については、その「基準は、人口、面積、財政力及び市の事業課題等を比較検討し、決定する」と書かれており、その点からすれば、議会基本条例での改革の精神と今回の提案は、その点からみても整合は取れないものです。

 期せずして6月議会最終日にただいま提案説明をおこなった提案者の代表と同じ方が、「32」にするという案の提案説明の際、合併時の協議にかかわって、「定数特例制度終了後の・・ 議員定数を法定上限数(「38」)に近づけることを要望する」という各自治体議員間の確認事項に関して、それに沿わない点をお詫びを伴って説明がありましたが、当時の合併の当たっての議論からすれば、これはお詫びで済まされるものではないことは明らかです。

 以上、申し上げましたが、議員定数にかかわる議論、およびの6月議会最終日の議論で申し上げた、そもそも論についての詳細は繰り返すことなく割愛しますが、
  ひとつだけ、
  定数問題は、煎じ詰めれば、議会制民主主義の根幹であり、その民意の反映という点では、「1人より2人、2人より3人」と、一人でも多いほうがより多様な市民お声が行政に反映されることは論を待ちません。  
  議会自らが率先して「身を削る」必要があるといわれますが、実は、これは私たち議員や、議会だけの問題ではなく、市民の民意を削るという点で、市民全体の問題といえます。 多くの市民の皆さんは、目先のことだけでなく、松本市の発展を望んでおられます。
  閉塞感に包まれた日本の政治、経済はいつまでも続くものではありません。
  この一時的な経済情勢との関係で、制度を変えてしまうことには、賛成できません。 これからの松本市を背負って立つ青年をはじめ、各分野で経験を積まれた有能な方々が、一人でも多く市政に参加できる機会を我々現職議員は、保障すべきものと考えます。
  松本市議会のこれまでの歴史と伝統、そして尊厳と権威を守るためにも、私たち会派はこの条例に賛成できないことを表明し、意見と致します。 
                                                以上です。