ドイツ発 ゴール

攻めの姿勢貫いたドイツ

 延長終了間際、劇的な幕切れだった。
  119分と121分の立て続けのゴール。
  ドイツの選手たちは、ピッチに倒れ、涙し、動かなかった。
  イタリアの延長に入ってからのたたかいは確かに素晴らしかった。 しかし、試合全体を通して、前向きにたたかう姿勢をみせていたのは、むしろドイツの方だった。
  今大会のドイツは、要所に攻撃力のある選手を配し、よく動き、パスをつなぐ。 みずから局面を切り開こうという、サッカーをみせてきた。
  「ファンの期待が大きい開催国にカウンター戦術は無理。ブラジルやアルゼンチン相手でも攻めるだけ」。
  クリンスマン監督がこう語っていた通り、「攻めて勝利をつかむ」という姿勢が貫かれていた。 この試合もそうだった。  90分間のイタリアの攻撃は淡泊で、中盤から先は、行き当たりばったりのパスが多い「偶然のサッカー」。 これにたいし、ドイツは、パスという手順を踏み、得点の可能性を感じさせる「必然のサツカー」をしていた。
  ドイツは、交代も後半に2人の攻撃的な選手を入れ、90分で勝負をつけることを目指していた。
  一方、イタリアは90分を守り、延長で攻めて勝つという作戦に見えた。
  結局、ドイツは、相手の作戦には屈した。
  しかし、たたかう姿勢では、イタリアを上回っていたと思う。
  「情熟とハ.ードワークで攻撃的にたたかった選手を誇りに思う」。
  クリンスマン監督はいった。
  若い選手が多いドイツ。涙する選手たちの未来は明るい。
                                            (ドルトムント=和泉民郎)