2011年11月24日
松本市長 菅谷 昭 様
2012年度 松本市政に対する政策・予算要求
「3.11」は、巨大地震と津波による甚大な被害のうえに、福島原発事故の被害がくわわり、その被害は「国難」ともいうべき未曽有の事態になりました。
それ以降、日本の社会と政治の在り方が問い直され、これまでにも増して、住民の命と暮らしを守ることこそ、政治と行政の根本的課題であり、最大の使命であることを改めて痛切に私たちに示しました。
加えて、松本市では6月30日に、松本市南部を震源とする市政史上最大の被害をもたらした「松本震災」が起きました。
そういう点では、第一に改めて危機管理の在り方、危険を回避し、被害を最小限に抑え、犠牲者を出さないための防災事業、危機管理体制の確立の見直しが求められます。
具体的には、
@「想定外」を作らない防災計画の見直し
A 応急対策のみならず、予防・減災対策の強化
B 市役所職員体制の強化
C「地域防災」体制の強化とまちづくり
の4つが重要です。
とりわけ新しいこととして、すでに放射能対策として、食品の検査などが先駆的に取り組まれていますが、さらに原子力災害対策の具体化が必要です。
世界的にも注目、評価されている「チェルノブイリでの貴重な体験をもつ市長」としての使命を持った取り組みに、敬意と期待を申し上げます。
第二には、地方自治体が、「社会保障の在り方」をもう一度見直し、その再構築を進めることが重要です。
それは、健康寿命を延伸するためにも必要です。
それに関連して、民主党政権が今進めようとしている、「社会保障と税の一体改革」は、多くの問題点をはらんでいます。
この改革案では、社会保障の在り方と関連して、「自立・自助を国民相互の共助・連携の仕組みを通じて支援していくこと」が基本となり、「自助・共助・公助の最適バランスに留意し」、「公助」=国と地方自治体の責任が、社会保障の基本から除外されています。
そして、「保育・子育て新システム」などにみられるように、社会保障、福祉の分野の公的責任を投げ捨て、この分野での民間の参入を促進し、サービスの切り下げと消費税増税による負担増を押し付けようとしています。
「安心してくらせ、安心して病み、安心して老い、生涯を終える」ことができるまちづくりという原点に立ち返るならば、「自助」「共助」はある意味当然のこととしても、市民の健康と福祉を守る「公助」は、自治体の義務と責任です。
たとえば、国保制度は、国民皆保険制度として、国民相互の共助・連携、「相互扶助」ではなく、保険税にかかる負担を軽減し、公的責任・公的保険として、お金の心配なく、自らの健康と命を守れる制度であるべきで、制度を守るために命が脅かされるようなことがあっては、まさに本末転倒です。
自治体は「住民福祉の機関」であり、国の悪政の「下請け機関」であっては、なりません。
松本市が、その防波堤の役割を果たさなければなりません。
第三に、暮らしを守るという点で、地域経済の立て直しはさしせまった重要課題です。
二番目に強調した住民の福祉をささえることは、地域経済に活力を与え、地域社会の安定につながりますが、特に外需に頼らない内需主導の地区内循環の経済の活性化という視点では、地元の農林業と中小企業を地域経済の基本に据えることが求められます。
また、原発に頼らない再生可能な自然エネルギー政策に本格的に進むことも重要です。
「企業を呼び込めば、地域が栄える」という時代は終わりました。
新工業団地の建設と「プラチナイノベーション」の事業に、予算と職員体制をシフトすることには、改めて慎重でなければなりません。
「健康寿命延伸」は、誰もが願うことです。
しかし、それは、現に住民のくらしが「悲鳴」を上げ、困窮している市民の現状の解決のための施策がしっかりしてこそ初めて、そうした目標が達成できます。
さらに、そのためには強力な市役所の専門職員集団が必要です。
「市場原理」に委ねる指定管理者制度の多用は、市民生活の実態と行政との関係を乖離させ、行政サービスの低下を招きます。
所得の落ち込みが続いています。
水道料金が払えず水が止められたり、何とか保険税を払えたにしても、いざ病を得た時に、お金がなくて患者になれない、そして、重篤な結果を招き、命まで失うような事態を起こさない施策こそ、今求められます。
税にしても、公共料金にしても、払いたくても払えない現状の中での「収納率を上げる」ための施策だけでは、市民に負担を強い、ますます暮らしが大変になるだけです。
地域の文化と松本城をはじめとした歴史的文化財を守ることは、「松本」にとっては実に重要なことですが、安心した日々の暮らし、市民生活があってこその文化です。
不要不急の事業に関しては、今この時期に必要かどうかの勇気を持った立ち止まりと見直しが必要です。
完全失業率が4.2%と昨年同期よりも回復してきたとしても、若者の失業率は7,8%台で、未来への希望や展望を失い、さらに心の病を得てしまうに至る実態は、「子育て支援」という点からも憂慮すべき事態です。
今回の政策予算要求は、市民生活の状態がますます悪化しているなか、改めて地方自治体の本旨と原点に立ち返り、松本市が福祉の機関としての、そして行政の仕事に携わる自治体職員の皆さんが「福祉の心」を失うことなく公的仕事に誇りを持ち、市民とともに未来への展望に確信が持て頑張れる、松本市となることを切に要望するものです。
今回は、この基本を押さえながら、具体的な施策について、以下7つ次のように提案します。
日本共産党松本市議団
団長 池田 国昭
幹事長 南山 国彦
事務局長 澤田佐久子
― 「住民福祉の機関」にふさわしいまちづくりのための7つの施策 ―
1、 東日本大震災、「松本震災」を受けて、改めての危機管理体制の確立について
東日本大震災、「松本震災」を教訓に、「想定外」をつくらずあらゆる災害に備えた対策をとる。
応急対策の再検討・充実はもちろんのこと、何よりも災害を未然に防ぐ、また災害を最小限に食い止める「減災」という防災本来の在り方から、地域防災計画の見直しを行なう。
復旧・復興対策についても、検討が必要です。
障がいのある方やお年寄りのための避難所などの整備については、バリアフリートイレ、生活空間間仕切りには、精神障がい、行動障がいの方たちにはテント式のものなど、しっかり安心できる空間の確保が必要です。
さらに、「フクシマ」の現実は、すでに想定外ではありません。
改めて、「脱原発」を強く発信すると同時に、子どものいのちと健康を守るために放射能対策、汚染・除染対策など「原子力災害対策編」の中に位置づける。
「地域福祉力」は「防災力」の位置づけで、地域でのつながりを生かした地域自主防災組織の確立・充実をはかる。
防災マップの周知と充実を徹底する。
災害時など、要援護者登録制度に関して、配慮を持った情報開示。
包括支援センターとの連携を強めて、地域防災力を高める。
防災拠点としての出張所の位置づけを高め、学校など公的施設との連絡・通信網の整備、拡充をする。
人的消防力の強化など、広域連合に、消防体制の強化を申し入れる。
消防団員、消防署員の自身の安全確保対策を図るとともに、引き続き消防団と団員の待遇改善をすすめるとともに、団員のさらなる確保につとめる。
開発や土地利用の変更にあたっては、災害にどのような影響があるかを事前にチェックする 「防災アセス」を導入する。
免震構造を持つ新たな防災センターの設置を急いで進める。
2、 市民生活を守るための、安心して暮らせるまちづくり
地方自治体が、市民の命とくらしを守る「住民福祉の機関」としての地方自治体本来の役割が今ほど求められることはありません。
「健康寿命延伸都市・松本」の実現には、まずその市民のくらしの安定した土台が必要です。
国保制度は「相互扶助ではなく社会保障制度の原点」に立ち返り、行政の役割を果たす。
市民の命と健康を守るために、一般会計からの繰り入れで国保税・介護保険料を引き下げる。
低所得者、弱者対策への減免対策のさらなる充実が必要です。
国民健康保険証はまさに「命綱」です。
引き続き、お金が払えないことを理由とした保険証の取り上げ、資格証明書・短期保険証の発行はやめ、安心して医者にかかれる環境をつくる。
国保証更新時の原則全世帯発行は前進ですが、引き続き「無保険状態」とならないようにする。
また、未交付のなかに発行すべき対象者がいないか調べ、郵送の方法もふくめて全世帯に発行する。
国保の広域化には、参加しない。
高齢者に公費助成しているインフルエンザ予防接種について、あらかじめ問診票を同封したことは前進ですが、同封された通知書(接種券)を忘れてしまうケースが増えています。更なる改善をお願いします。
来年度見直しがされる介護保険については、さらなる公費抑制と軽度者の排除が計画され、「保険あって介護なし」をいっそう進めるものになります。
軽度者がいままで通り介護保険を利用できるように市独自の財源保障と施策が必要です。
施設不足の解消、介護職場の待遇改善をすすめる。
同居家族のいる場合の訪問介護サービスの生活援助の提供については、これまでどおり「必要な」サービスの提供が受けられるようにする。
特にケアマネジャーが自信と誇りを持って仕事ができるように行政としてサポートする。
生活保護基準以下のくらしを強いられる階層は高齢者・若者に限らず、全世代 に広がっています。具体的な対策をとるため、市の責任で実態調査を行なう。
低所得者の固定資産税の減免の実施。
生活保護申請時、車の保有、預貯金などの取扱は生活保護法の精神に則り、かつ 実施要領にそって保護が受けられるよう誠実な対応をすること。
収入見込み認定に当たっては、保護費の支給で、空白期が生じないようにする。
相談に来る外国人の対応については、通訳できる職員の増員など行い、外国人であることをもって不平等な扱いにならないよう配慮する。
申請書は窓口に置き、申請意思のある人には無条件で申請書を渡す。
相談者の人権・プライバシーをまもるため、面談は相談室を原則にする。また相談室の充実を図る。
正規のケースワーカー職員を増やし、一人当たりの担当件数を適正にし、職員が「福祉の心」と仕事に対する誇りを持って、きめ細やかな援助を行えるようにする。そのための職員研修を充実させる。
要保護世帯向け長期生活支援資金としてのリバースモーゲージ制度は導入しない。
後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を求める。
福祉医療制度を受けている高齢者については、不利益が生じないようにする。
高齢者が住みなれた地域で安心して生活が送れるように支援する包括支援センターの役割は、ますます重要となってきます。財政的裏づけも含めた体制の強化を求めます。
火災の場合のみならず、緊急避難的に入居できる「福祉住宅」「緊急避難住宅」などの施策を充実する。
多重債務やサラ金問題など消費者問題とともに、くらし、住宅、仕事などに係わる総合的な相談のできる、ワンストップ対応型「くらし相談窓口」を設置する。
昨年同様、年末年始に「雇用・生活」相談窓口を設置する。
生活者の目線に立った安心できる「まちづくり」をめざし、市民との協働をすすめる。
高齢化社会の中での「くらしの糧」としての、交通弱者の交通手段の確保を中心に据え、環境問題を考慮し、新公共交通システムを住民の意向を踏まえて構築を急ぐ。同時に細かな地域での懇談会を開催し、多様な意見を聞く。
「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保など、施策を展開する。
松電バスと市独自の乗り入れバス、地域振興バスなどの組み合わせ、「ドアツードア」のデマンド交通の本格的導入、それが出来ない場合の高齢者へのタクシー利用補助などの対策を考える。
市内交通空白地域克服への対策を具体化する。
パーク・アンド・ライドをさらに推進する。
くらしが大変で、水道料金を払えない家庭が増えていますが、徴収率アップための指定管理者による水道料金の強制的な取立てはしない。
高齢者・低所得者や子育て世代・若者が市営住宅並家賃で暮らせるよう、民間住宅入居の際の家賃補助制度を新設するなど、「住まいは福祉・住まいは人権」の観点で住宅行政を充実させる。
3、子どもと教育を守り、誰もがあたりまえに地域で暮らせるまちづくり
日本国憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる新しい教育基本法制定を求める。
子ども権利条例の制定を急ぎ、子どもの権利保障を子ども施策の柱として整備することを求めます。
虐待やいじめ、不登校、貧困など子ども救済のためのオンブズパーソン制度やまちづくりへの子ども参加の仕組みなどが必要です。
大人社会の貧困問題が、子どもたちに暗い影を落としています。
貧困から子どもを守る視点での施策、教育行政の総点検を行う。
猛暑対策として、小中学校の保健室にはエアコンを、当面全教室に扇風機の設置を求めます。
「教師を語ることは教育を語ること」教師の多忙化の解消、負担軽減は急務です。
子どもたちの学力と豊かな成長を保障する事に直結すると考えます。
そのために教育委員会が「子どもの最善の利益」を守る立場で、最大限の努力をすること。
中学校までの「30人学級」の早期実現。
不登校児童対策をきめ細やかにおこなう。
児童・生徒への対応として、スクールソーシャルワーカー(SSW)の更なる増員を県に求める。
「つめこみと競争」をさらに助長する全国学力テストには、参加しない。
いじめの松本市の独自の調査基準に沿って、いじめの事態を掌握するとともに、国の「競争」をあおる教育政策の根本的転換とともに、教育現場での実践や教育学の成果を踏まえた取り組みをすすめる。
子どもたちと若者のための音楽室の設置など本格的な居場所作りを行う。
現在の社会で情報が氾濫している中、インターネットの裏サイトなど、子どものネット情報をつかんで、子どもの生活環境を整える。
子どもの基礎的学力を保障し、人間形成を助ける学校づくりをすすめる。
義務教育における父母負担の軽減。要保護児童生徒援助費の交付対象の拡大。
学校給食センターの民間委託はおこなわない。将来的には、自校給食に戻す。
家計がいっそう苦しくなる中、授業料などの負担増や滞納問題が深刻化しています。
そのため、厳しい経営を迫られている私立学校に対して、私学助成をさらに拡充する。
検討されている新しい障がい者総合福祉法については、内閣府に設置された総合福祉部会の提言に基づいて制定するように国に求める。
また、平成25年10月までの制度の過渡期にあたり、現在保障されている障がい者通所支援や給食加算などの予算が確保できない事態も予測される中、国への要望、松本市独自の施策など障がいのある人のサービスが低下しないようにしてください。
障がいのある人、誰もがあたりまえに地域で暮らせるように、医療的ケアや24時間の見守りの体制、ケアホーム・グループホーム、ホームヘルプの体制、タイムケアなどのレスパイトサービスなどをさらに整備する必要があります。
障がいのある人は、働く意欲があっても仕事に就けない状況があり、障がい者就労支援事業所の仕事も低工賃の現状です。
市の職員としての雇用の検討や市の委託の仕事を増やすなど市独自の障がい者の仕事の確保の取り組みが求められます。
障がい児のライフステージを通じた一貫した療育が受けられるように療育システムを構築していく。
就学、就労などの相談支援事業の充実のために総合相談窓口となる療育センター機能をもった拠点を設置する。
OT(PT)・心理・保育士・教員等の専門スタッフを配置、早期療育と5歳児健診の実施、発達障がい児の集団療育の実施などをとおして松本市の障がい児療育の充実を図る。
「合理的配慮」という最新の到達点にたった障がい児(者)対策の実施、充実。
特に発達障がいの子どもの療育は緊急の課題となっており、保育所、学校現場との連携も図りながら、療育を進める。
また、長野県が進める発達障がい者支援センターとの連携が進むように働きを強める。
軽度発達障がい児教育に関する教職員の研修の機会を増やす。
子どもの弱視対策、検診の年齢の引き下げ。
安心し、ゆとりを持って子どもを生み育てるための「子育て支援」策を引き続き進める。
ひとり親家庭を始め、子育て世帯に援助する施策を拡充するとともに、国による児童手当や扶養控除の廃止による「子ども手当」の実施には反対する。
児童扶養手当の充実。
福祉医療の所得制限なしの窓口無料化。
子どもの医療費の無料化については、通院についても中学卒業まで拡大、「窓口無料」を重要課題として位置づける。
公費負担による妊婦検診の回数は14回で継続する。
深刻な産科医師不足対策を強める。
出産育児一時金の増額をおこなう。
ワクチン3点セット(子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌)への助成を継続して行う。
未満児保育、障がい児保育など松本市のよき保育行政の歴史と伝統を守り、独自の配置基準に見合った人員配置と施設整備をすすめる。
「マンモス」保育園の解消、希望する保育園への入所ができるように。
子育て新システムには反対し、安心して子育てできる環境を確保する。
自治体病院としての役割が十分果たせるよう、波田病院は「市立病院」を堅持し、運営する。
保育園での正規職員を増員し、当面嘱託職員の採用期間の延長と手当ての充実をはかる。
放課後児童クラブ事業は「安心して働け、子どもの成長を支える」子育て支援策にふさわしい位置付けを明確にし、運営基準のさらなる充実。
指定管理者制度でも「公設公営」の今までの松本市での実績、経験を後退させる事なく、関係者との協働で、より質の高い発展したものに作り上げていく。
学童クラブ(放課後児童育成クラブ)への補助を増額する。
また、児童クラブ事業との利用者負担は平等にする。
放課後子どもプランの推進にあたっては、放課後児童クラブ事業と放課後子ども教室の違いと役割を明確にして各々の充実をはかる。
4、内需主導の産業政策を確立し、地元業者の経営、雇用と労働条件を守り、
地域経済の建て直しを図る
「住宅リフォーム助成制度」は、家族所有を認めるなど使いやす制度に改善をすすめる。
公契約条例を制定し、労働者の賃金確保と公共工事の質の向上をはかる。
中小企業・自営業者がその役割を存分に発揮できるよう、中小企業憲章を基に、「中小企業振興条例」を制定し、振興施策を実施する。
「全事業所実態調査」を行い、地域の中小企業の実態を把握し、得られた情報を施策に活かす。
その際、商工施策だけでなく、福祉やまちづくりなど市の幅広い施策に反映させる。
技能五輪の誘致を機に、後継者対策に力を注ぐ。
ものづくり技術の継承、産・官・学連携のものづくり・技術開発は地場産業との連携を図り、新製品の販路・流通までの支援をおこなう。
豊かな観光資源と松本地域の良さ(特性)を生かし、松本市の歴史と文化、市民の暮らしぶりにも触れられる滞在型で魅力ある観光都市・松本を売り出し、まちづくりつなげる。
市内の雇用労働の実態調査を行い、非正規雇用や請負労働者の実態を把握して「安定した雇用」と「人間らしく働ける労働条件」の確立をはかる。
ワーキングプアや失業者のために、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの生活支援を早急に実施できるよう、条件整備をすすめる。
また、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設し、手続きは素早く行なう。
ニートとよばれる若者に対して、より人間らしく成長し働けるよう、相談、教育、社会体験や職業体験、就労などの支援を「継続」して行なう。
5、農林業を再生し、地域経済活性化策として本格的に位置づける
日本農業と地域経済、国民生活を土台から破壊し、国の形まで変えてしまうTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加に断固反対を表明し、食料主権を保障するとともに、米価安定のための抜本的対策を国に求める。
農林業の衰退をさせないため、地域活性化・環境保全とともに国の施策を後退させないよう、強く国に求める。
「食料主権」「食糧自給率の引き上げ」「地産地消」「農産物の価格保障と農家の所得保障」対策を内需拡大として本格的に位置づけ、市独自の対策を強化する。
遊休荒廃農地に対する実効ある対策の強化。
大規模農家、家族農業を支え、新規就農者育成支援と後継者支援施策を拡充する。
安心・安全な食糧確保の観点からも地元農産物の給食材への供給など地産地消をすすめる。
また、地元農畜産物や特産品の支援・育成を強め、松本市の農業を守り発展させる。
地域資源の活用と市民の健康を守る地産地消、食育の推進、食の安全、環境保全を基本にした仮称「松本市食と農のまちづくり条例」の制定をめざす。
真の地域農業活性化に生かされる農・商・工連携事業の推進を。
有害鳥獣対策は該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行うよう求める。
県とも連携し広域的な対策をすすめると同時に、里山整備をすすめ、動植物の生態系保護や増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域を設けるなどの取り組みをすすめる。
防護柵・わなの設置、捕獲物の処理施設の設置など、農家への支援をさらに強める。
適切な森林整備と国産材の供給体制を確立し、地元産の木材を使った公共施設や住宅の建設などの林業・木材産業の再建をはかる。広がりつつある、「松くい虫対策」を強化する。
木質バイオマスや森林セラピーの推進など山村地域での新たな事業を促進する。
林業労働者の確保と林業技術の継承を重視し、持続的な経営管理にとりくむ。
間伐の助成を強めるとともに境界の確定を促進し、生態系や環境保全に配慮した技術の確立と助成制度で、林道・作業道など生産基盤の充実をはかる。
6、地球温暖化対策の遅れを克服し、「人にやさしく環境を大事にする松本」をめざして
改めて「脱原発」の立場を明確にし、松本市として本格的な自然エネルギー政策に転換していく。
環境基本計画と一般廃棄物計画をリンクさせ、本格的な「ゼロウェイスト」自治体を目指す。
地球温暖化対策実行計画の実施に当たっては、温室効果ガスを2030年度に07年度比で30%削減という中期目標の達成を確実にするために、各施策を強力に推進する。
大量生産・大量消費・大量廃棄の経済からの転換をはかる新産業政策、グリーンニューディールを推進し、これにとりくむ中小企業・中小工務店への仕事おこし、技術開発と普及を支援する。
温室効果ガス(CO2)削減など地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、「松本市地球温暖化防止条例」を制定する。
太陽光発電の普及を拡大するための「融資制度」の創設、「市民ファンド」への支援などの施策をさらに推進する。
設置補助金の増額や公共施設への設置、特に市内のすべての小中学校に「ソーラーパネル」を設置し、子どもたちへの環境教育をすすめる。
BDF(バイオディーゼル燃料)精製プラントの高機能化、利用車両の拡大などをすすめる。
バイオマス、雨水利用、小規模地域水力発電所など自然エネルギーの開発を促進し、より温室効果ガスの排出量の削減に努める。
ペレット燃料の生産やペレットストーブの公共施設への設置などについては、市としての財政的支援を強化し、具体化をさらにすすめる。
太陽光、小型風力、ミニ・マイクロ水力、バイオマス、地熱など再生可能エネルギーの開発と普及に積極的に取り組む。また、これらを推進する市内中小企業への支援をおこなう。
「焼却中心主義」から、5R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル、リフォーム)の推進、特に「発生抑制(リデュース)」に努め、プラスチック類の再資源化など限られた資源の有効活用をさらにすすめる。
今後も有料化せず、ごみになるものを買わない、使わない、出さない、分別を徹底するなど市民と協力し、ごみの減量をすすめる。
買い物袋持参運動を進める。
廃棄物の不適正処理や保管、不法投棄とそれによる環境汚染に歯止めをかけ、違法行為の「やり得」を許さないために、違反者への「厳格な指導と監督」を県にもとめる。
廃棄物処分場周辺の環境調査(水質・大気・臭気・アスベスト・植物・昆虫などの生態系)をおこない、周辺住民が安心して暮らせる生活環境の保全をはかる。
7、憲法を市政に生かし、「市民が主人公」のまちづくり
憲法を遵守し、日本を「戦争する国」 にする憲法9条の改定に反対し、過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する流れの「根」を絶つことが必要です。
憲法9条に基づく平和行政を引き続き強力にすすめる。
日本の侵略戦争の事実を正確に教える小中学校での平和教育をはじめ、さらなる平和行政を市政に位置付ける。
松本市として戦争の歴史や戦跡の保存をおこない、歴史の事実を風化させない。
国連軍縮会議の成功を受けて、核兵器のない世界に向けた取り組みを具体化し、「脱原発」を世界に向け発信する。
さらに1年を通じて平和事業を展開する。
国民保護計画にそった訓練の実施はおこなわない。
松本城を中心とした松本のまちづくりは、重要です。
お堀復元と道路拡幅事業とは切り離し、南・西外堀の復元事業は、今の市民生活の実態との関係でいうと実施を当面凍結すべきです。
また、渋滞対策としての道路拡幅は再検討すべきです。
まつもと市民芸術館の運営については、市の財政状況と市民生活の実態を考慮しながら、自主事業の縮小、芸術監督制度の見直しなどをすすめる。
市民のだれもが、芸術文化を享受でき、明日へ生きる希望がわいてくるような、文化芸術行政が求められます。
主要施設への磁気ループの設置。
発掘調査を進めている殿村遺跡は、歴史的・文化的価値を調べ、保存活用をする。
市の幹部職員や各種審議会へ女性の登用率を高めるなど、男女共同参画をすすめる。
合併5地区については、新市建設計画に沿い、地域の伝統・文化を守るまちづくりを進める。
地域協議会・地域審議会での十分な協議を重ね、その地域が取り残されることがないように、またこれまでよりサービス低下がおきない配慮を持って進める。
支所機能の見直しにあたっては、改めて地域住民の声に応えて慎重にすすめる。
予算編成過程の公開・意見集約は、市民と行政との協働の画期的な成果として今後も実施し、パブリックコメント等の活用で、市民みんなでまちづくりを進める観点からの予算編成を行う。
引き続き市の財政状況をはじめとした行政情報の公開を積極的に進め、「参画」「納得」の市政運営で、「市民が主人公」のまちづくりをおこなう。
保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野でのNPO活動を支援する。
以上
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