中田英 現役引退
心に残る先駆者 突然の引退買言。
ある意味「中田らしい」引き際かもしれません。
自分の考えをしっかりと持ち、それを貫いていく姿勢は、ピッチの内外で際立っていました。
二十一歳でイタリア・セレエAに渡り、日本代表としても早くから中心的な存在でした。
彼のプレーには、いつも「強さ」を感じました。それを支えていたのは、自身の哲学です。
「だれか.に頼らない生き方をしょうというのが僕の中にある」
「当たり前のことを当たり前に。でも、それが難しい」
「サッカーに満点はない」
−高い目的意識を持ち続けた彼らしい言葉です。
フェアな意識も常に持っていました。
「サッカー選手は、フェアにプレーする責任がある」。
プロ入り直後、彼の口から聞かされたときには「すごい選手だ」と驚きを禁じえませんでした。
実際、彼のプレーに「汚さ」はありませんでした。
ピッチの外で、自身の考えを社会に広くアピールしてきた功績も大きい。
彼は2001年、テロと米英軍によるアフガニスタンへの武力攻撃を、「ミサイルや銃弾より言葉を役立たせなければ、戦争に終わりがなくなる」と批判し、米国によるイラク戦争の際も「平和を思う気持ちを表したい」と、ホームページで「愛」と「平和」を訴えました。
こうした姿は、これまでの日本のスポーツ選手の枠を打ち破るものだったと思います。
引退は本当に寂しい。
しかし、その先駆者としての生き方は、人々の心にきっと残る。
そして、これからの彼をみるのが楽しみでもあります。
(フランクフルト=和泉民郎)
7月5日赤旗
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