共産ならぬ 共「讃」党に期待
明るい明日を 美輪明宏
(スポーツニッポン12月28日付け)
年末になって、リストラ、解雇、内定取り消しといった言葉が乱れ飛んでいます。職を失うばかりでなく住む家さえ奪われる労働者もいるのですから事態は深刻です。
労働者を突然解雇しなければならなくなるのは企業に責任があります。 企業は本来利益が出たら有事に備えてお金を蓄えておくべきです。 それなのに経営者は目先の利益ばかり考え、むやみに拡大したり、いたずらに投資したり、また利益を不当に私しているのです。
お金を蓄えておけば現在のような厳しい経済情勢に陥った時に労働者にしわ寄せを与えないですむのです。 備えあれば憂い無しの言葉通りです。
もちろん労働者も日ごろ利益の還元を過度に要求してはいけません。利益をすべて給料に反映させたら会社の経営を圧迫することになります。 給料をあげ過ぎて自分たちの首を絞めた米国の自動車産業などの例もありますからそれは避けるべきです。給料の還元は特別賞与などの変動性にするのが良いでしょう。
私は何十年も前から、寄らば大樹の陰の時代ではなくなると言い続けてきました。 その予言は残念ながら当たってしまいました。 今世界のトヨタやソニーでもリストラを免れない時代です。
この危機を乗り越えていくためには、まず経営者が襟を正し、先見の明により百年の計を立て、会社の機構を是正していかなければなりません。
それにしても、一国を争うこの時に政府はあまりに無能です。麻生首相は、「選挙より景気対策」と宣言しながらいまだに何もやりません。スーパーに行ってみたりハローワークに行くパフォーマンスなんでレベルが低く、緊張感がなさすぎます。
こんなに無為無策で何もしない内閣は神武以来、前代未聞です。
民主党も民主党です。内閣支持率の低さにほくそ笑んでいるのかもしれませんが無策という点では自民党と同じです。これだけ労働者の解雇が社会問題化しているのですから野党としてもっと具体的に追及していくべきです。例えば解雇した企業を一つ一つ調査し、その企業に正当な理由があったか解雇しないですむ方策もあったのか明らかにしていただきたい。
雇用の悪化を受けて共産党は党勢を拡大していると言います。 志位委員長も存在感とオーラが出てきたように見えます。以前は誰も住まなくなった廃墟にススキがそよいでいるような人だと思っていましたが最近は応対も自信満々で首相より貫禄があるくらいです。確かに主張していることは一番筋が通っています。
ただ私が前から言っているようにこの党の最大の問題は古色蒼然とした共産党という名前です。本家本元のロシアでさえ共産主義ではなく今や資本主義になっています。
もし「きょうさん」にこだわるなら「産」を「讃」に変えたらいかがでしょう。共に讃える「共讃党」にすればイメージががらりと変わります。 それと、日本版レーニンのような宮本顕治元議長の独裁的なイメージを払しょくするには議員はプーチン首相やメドベージェフ大統領のように着るものをもっとオシャレにして若手も増やしたほうが良いでしょう。そうすれば第一党になる可能性もなきにしもあらずです。
今年も残すところあとわずか。来年もみなさまと明るい明日を考えていきたいと思います。 良いお年をお迎えくださいませ。
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