松本広域連合議会 一般質問 (11月8日)

 1回目質問)
  消防の広域化に関してお伺いします。
  広域化計画が日程にのり、かなり具体化が進んでいます。 この国が進める消防の広域化計画について、消防審議会の答申では、「広域消防運営計画を作成する段階で住民をはじめ地域のみなさんを巻き込んだ枠組みの中で徹底した議論を行い、住民への説明責任を果たすべき」こと強調しています。  
  しかし、これははじめから枠組みを前提にしたもので、枠そのものが決まる前の段階での、「住民をはじめ地域のみなさんの徹底した議論」をあたかも必要としない中身となって、実際に県の推進計画もそのようになっています。  
  このような県が地域住民に十分は情報を提供することなく、県による「消防広域化推進計画」が策定されることに関しては、はっきり言って疑問を抱かざるを得ません。  
  しかも、県の原案に対する意見の締め切りは、この11月末までとなっています。  
  いわば、圏域住民の間で、まったくといっていいほど議論されることなく、4つか2つか1つかの結論が出されようとしているわけです。  
  当議会でも、報告はあったものの議論は初めてといえます。
  そこで、お聞きします。
  まず、消防広域推進計画に対する当松本広域連合の取り組みの現状についてお聞きします。
  次に、仄聞するに、4つ2つ1つの案に対して、2ブロック案が「有力」とされていますが、連合長としては、この2ブロック案に対して、どう考えるか。
  広域化によるスケールメリットのみが強調されているが、デメリットもあり、不安材料など懸念されるところです。
  この点に関してどう考えているかお聞きします。
  3番目に、この広域化の結論を出すに当たっても、地域住民や消防職員とのコンセンサスを得る過程が実に重要ですが、それについてどう考えるか。
  これまでの取り組みもふくめて今後の予定についてお答えください。
  以上まず一回目の質問といたします。

 菅谷連合長答弁)
  私からは、長野県が提示した推進計画原案に対する基本的なことをお答えし、経過等ついては消防局長から答弁させます。
  まず、松本広域連合の消防体制は非常備消防体制の解消を図るため、既存の3消防本部を統合し全国初の広域消防として、平成5年4月1日に発足しました。
  現在は、松本広域圏全域に、等しく消防・救急サービスを提供できる体制が整っております。
  更に、高度化する消防需要に的確に対応することで、43万圏域住民から絶大な信頼を得られるものと確信しており、国、県からも高い評価を得ております。
  そこでお尋ねの推進計画原案の件でございますが、 提案説明でも申し上げましたとおり、10月29日に開催した正副広域連合長会議において「市町村消防の広域化」を議題とし、この推進計画の原案について関係市町村長からご意見をお伺いしました。
  その中で、主な意見としては、組織やエリアが大きくなることで生ずる消防組織力や活動範囲、また、経費負担などといった不安要素はあるものの、スケールメリットを含め県の原案を前向きに受け止める意見が多く出されましたので、更に整理をし、県に回答してまいります。
  次に、管轄区域の拡大によるデメリットについてでございますが、2ブロック案は、従来の広域行政では、なじみのない枠組みとなるため、不安要素はあると思いますが、これらの課題については、今後、県と協力して克服していくことが必要であると考えております。

 消防長答弁)
  消防広域化推進計画に対する、現在の松本広域連合の取組み状況についてお答えいたします。
  消防広域化推進計画は、長野県が県内市町村などの意見を踏まえた上で、年内に「長野県消防広域化推進計画」を策定することになっていると聞いております。
  長野県知事から10月18日付けで当広域連合に推進計画の原案が示され、この原案に対する意見を11月末までに求められております。
  そこで、お尋ねの松本広域連合の取組みの現状でありますが、連合長からご答弁申しあげましたとおり、関係市町村長の意見をもとに、事務担当段階で集約し、11月末までに当広域連合の意見として県に回答してまいります。
  消防の広域化に向けて、今後、地域住民や消防職員とのコンセンサスを得て行く過程をどのように考えているかについて、お答えいたします。
  この消防の広域化計画の策定に当たって、長野県は、住民とのコンセンサスとして、県の公式ホームページや出前口座等により、県民や関係者などから広く意見を求めておりますので、その中で意見が反映されるものと期待しております。
  当松本広域連合といたしましては、来年度以降に予定されている「広域消防運営計画」策定協議の過程の中で、関係市町村とも十分コンセンサスを図ってまいりたいと考えております。
  また、消防聯員とのコンセンサスにつきましては、身分・勤務条件などの職員との合意形成も極めて大切なことと考えますので、運営計画策定の段階で必要に応じ、十分配慮してまいりたいと考えております。

  2回目質問)
  実際に県の広域化計画が決まる前に、どれだけ圏域住民への説明・コンセンサスが必要なことは、先ほど強調したとおりです。  
  概要の報告がありましたが、正直いって、手順といい中身といい十分とはいえない内容です。  
  そこで、もう少し立ち入って、どの程度の取り組みが行われてきたかお聞きします。  
  県のHP等に寄せられた意見の状況についてお聞きします。  
  当広域連合の取り組みとしても、そうした不十分さが克服されないまま、先月の正副連合長会議で話し合われたとの報告でしたが、そこでの論議の内容、とりわけ不安定要素に関しては、どのような意見交換がなされたのかお聞きします。  
  また、一番の当事者である消防職員の皆さんのなかでの議論は、専門家でありなおかつ現場で責任を負っているがゆえ、とりわけ重要だと思います。   
  どのような内容だったのか、出された意見はどんなものだったかお聞きします。  
  最後に、メリットとの関係で、県の資料では、「総務部門や通信指令部門の効率化  云々」とあるが、具体的にはどのような充実強化が図られるというのか。  
  以上を2回目の質問とします。

 消防長答弁)
  消防広域化がどの程度住民に知らされているか。また、県のホームページに寄せられた意見の状況等についてお答えいたします。
  県の「消防広域化推進計画」策定経過のなかで、新聞報道などのメディアにより周知がされていると考えております。
  県の考え方にも住民の皆様の声を反映するため、検討委員会の構成委員に住民代表として2名が含まれております。
  また、県はホームページを開設し、広く県民の皆様からの意見を求めております。
  具体的に寄せられている主な意見といたしましては、
 ・広域化の規模・枠組みでは、スケールメリットが最大で、水準の高い本部を期待する。
 ・広域化後の消防力の充実、強化を望む
 ・消防職員の処遇
   など、広域化後の消防の円滑な運営の確保などについての意見が寄せられております。
  これらの意見の反映につきましては、先程、地域住民や消防職員とのコンセンサスを得て行く過程で申し上げましたが、県が策定する推進計画に反映されるものと期待しております。
  次に、正副広域連合長会議での具体的な不安要素についてお答えいたします。
  不安要素の主な意見としましては、
 ・2ブロック案は、従来の広域行政ではなじみのない枠組みであり、管轄する面積、人ロ及び職員が増加する中で、指揮体制の一元化などの統一できるか。
  ・広域化により経費の負担増があるのではないか。
   といった意見が主なものでございました。
  消防職員に対してどのような意見交換をしたかについてお答えいたします。
  署所長を対象に、国、県からの通知文や資料などにより、6回の研修会を開催し職員に伝達してまいりました。
  全職員を対象として、平成19年3月6日から8日までの3日間、消防の広域化についての説明及び意見交換会(292名)の場を持ち、更に、今年度、9月12日、13日の2日間、県危機管理局から講師を迎え368名の職員が参加し広域化についての研修会を実施しております。
  職員からは、広域化の流れに対する反対意見はありませんでしたが、勤務条件などに不安があるといった意見がありました。
  総務部門や通信指令部門の効率化についてお答えいたします。
  広域化により複数の消防本部を統合することにより、事務の効率化が図られ、事務職員や指令員であった職員を消防隊員として現場活動に従事させることが可能となります。
  その結果、救急救命士や火災原因調査、立入検査といった専門的な人材の育成などができることにより、消防力の増強ができ住民サービスの向上が図られます。

 3回目質問)
  3回目は、要望を主とします。
  県のHP等で周知されたということですが、決して十分な周知とはいえない。皆さんも同感だと思うんです。
  特に圏域住民にはほとんど知らせられないといっても過言でなく、すでに、2ブロック案ということで動いていると思います。  
  そうなれば、当松本広域連合消防局は、長野県の北のはずれから、南の端までが管轄となり、松本市が全体の本部となるわけです。  
  市町村合併のときも、まずは合併の是非をほぼ決め、形式的には最後に合併の是非を決めるとあるが、実際には協議が始まる=合併が前提の中で、調整作業に入るそれと似ていて実に心配の面があるわけです。
  又、今回の2ブロック案は、日頃の生活圏を超え、これまで当広域連合・消防局が一番大切にしてきた地域の皆さんとの連携、地域づくりという点では、後退となる心配があります。
  消防の広域化の目的は、大規模災害と同時に、国民保護計画との関係もあり、テロ災害への対応のためと指摘する関係者もいます。
  そのうち、大規模災害については、すでに緊急消防救助隊が機能を十分とはいえないまでも発揮しつつあるなかでの指摘です。
  なぜ今これ以上の広域化が必要なのか。まだまだ議論の余地があります。  
  消防行政に関しては、この間も消防力との関係で、何度か質問してまいりました。  
  今回の広域化は、メリットばかりが強調されますが、行財政改革の一環で、消防リストラという側面は否定できません。
  「現場の体制の強化が図られる」ということですが、本当に現場の消防署に人員・消防力が整備指針通りに配備充足されるかが課題であり、何よりも最低限必要です。
  当消防局の塩尻市での不幸な事故についても、人員不足による初動体制の問題点を指摘する関係者もいらっしゃいます。  
  それにつけても、管轄が広くなることで、指令センターの方を始め、職員の皆さんのリスクは大きくなることは間違いありません。  
  もちろん、まだ2ブロック体制が決まったわけではないですが、先ほども職員の方の声として不安がある勤務条件の点では、通勤範囲が広くなることだけでもリスクも明らかに大きくなります。  
  こうした課題への対策が、十分であれば、それで良しというわけではありませんが、今回の質問が少しでも、圏域住民の安心安全の前進に役立つこと、そして文字通り命がけで日々ご苦労していただいている消防職員のみなさんが公式には表には出しずらい発言心配事、そうした思いが解決されることの一助になればと思います。  
  最後に連合長としては、こうした点を是非汲んでいただけることを切に要望して、2ブロック案はやむなしという情勢かもしれないが、その点に関する連合長の抱負をお聞きし、質問を終えます。

 菅谷連合長答弁)
  私の抱負ということでございますが、当広域連合でも、現在協議しているところでございまして、課題等を整理検討して、一定の方向を示すことになっている。
  ご指摘の 消防職員に関します案件につきましては、広域消防局をあずから連合長としての、きわめて重要な課題でもありますので、消防職員とのコンセンサスに十分配慮したいと考えております。