とがってて「赤旗」面白い                  

岩手・宮古市長 熊坂裕義さん     

 私は毎朝、全国紙や地方紙とともに「しんぶん赤旗」に目を適しています。政党機関紙では、ほかに公明新聞をとっています。その中で、やっぱり面白いし勉強になるのは「赤旗」ですね。非常にいいことを言っています。正論です。  
  もともと私は自民党・公明党が支持基盤ですが、自分では「市民党」だと思っていて、市政を運営する立場から、「赤旗」の医療にかんする記事などよく読みます。

 待ったなしに 

 私も医者ですし、同じ医者でもある小池晃さん(参院議員、党政策委員長)の記事などを読んでいると、そうだよなと思います。  
  いま、厚生労働省社会保障審議会の医療部会や、何かと話題となる社会保障国民会議分科会の要員もやっています。 社会保障の問題は待ったなしの課題なんです。私は、もっともっと社会保障に、今の何倍ものお金を使わないといけないと思っています。高齢化する社会で医療や福祉の質も高まる中で、持続可能な社会保障のシステムを維持するにはどうしてもお金が必要です。  
  「政府が悪い、けしからん」とか「国に責任がある」と言うのは、もう誰もがわかっています。 私が「赤旗」にお願いしたいのは、財政的裏づけをもち、誰が見ても納得できる代案を示してほしいということです。  「赤旗」が主張しているように、軍事費の削減や公共事業などの無駄づかいを改め、大企業への減税や優遇をただすことは当然だとしても、国民的議論が避けられないと思っています。
 「構造改革」路線というのは、市場原理に任せるということですから、政府のすることは歳出カットばっかりです。「構造改革」は国民を不幸せにしました。 間違いありません。  

 本質見極める 

 私は、常日ごろいろいろなものを読み比べて本質を見極めていかなければと思っています。同じ記事でも「赤旗」、「朝日」、「読売」と比べるとかなり違います。
  同じ事件を扱っていても、いろんな見方があります。  そのいろんな見方の中から白分で考えるのですが、その際、最初から、ある見方を選択肢からはずしてしまったら、ものごとの正確な評価はできないのではないでしょうか。 「赤旗」はある意味、とがっているから面白いんですよ。  それと、新聞の書いていることを、そのままうのみにすると、どうしても踊らされてしまいます。
  今、キヤノンやソニーの人員削減が大きな問題になっていますが、その会社の広告を載せている新聞に、問題の本質を突く報道ができると思いますか。そうでしょう。

 《 くまさか・よしひろ :1952年生まれ。97年から宮古市長。医学博士。弘前大学医学部学部長講師。厚生労働省社会保障審議会医療部会委員。》