介護認定審査会と事務局との関係についての広域連合事務長の答弁

 1回目)

 介護認定審査会における事務局の「役割」につきましては、厚生労働省が発行した「介護認定審査会委員テキスト2009(改訂版)」に、明記されておりまして、その内容は、認定調査員や主治医の情報を、できる限り正確かつ漏れなく意思決定の場である介護認定審査会に伝達すること、ということでございます。  
 また、要介護認定の平準化の観点から、審査判定の手順や基準が各合議体で共有・遵守されるように審査判定の公平性の確保に向けて積極的に関与することも、事務局に対して求められております。
  このように事務局は、認定調査員や主治医と審査会委員とをつなぐ仲介役であり、また、アドバイザーであって、審査判定に関する「権限」というべきものは、一切持っておりません。
  「要支援2」と「要介護1」の判定に際し、各合議体での議論の対象となる「介護の手間」の目安としての基準時間が、「32分」以上から「50分」未満までのものについて、「状態の維持・改善の可能性」に関する評価に基づいて、それぞれに振り分ける審査を行いますが、事務局は、「要介護1」と判定された場合には、その該当理由を厚生労働省にデータで報告することになっています。
  この振り分けの審査につきましては、 @認知機能低下がある場合 A状態が「不安定」な場合 という2つの要件のいずれかに該当した場合に、「要介護1」と判定することとされています。
  また、厚生労働省の審査会委員テキストでは、「要介護1」と判定する場合にあっては、必ずその理由を明確にする必要があるとされていますことから、介護認定審査会における判定の議論のなかで、「要介護1」とする理由が明確でない場合、事務局は、審査会に対してその理由を確認することになります。
  判定理由を確認するのは、審査会委員テキストにそれが定められているということだけではなく、
・申請者に対する市町村の説明責任を明確にすること。
・審査判定は、次に継続していくものであり、経過を明確にしておく必要があること。
・同じ申請者に対する判定が、同一の合議体で継続して行われるものではないので、公平性を確保するためには、決められているルールを遵守する必要があること。
  などを目的として行っているもので、事務局はあくまで、公平性の確保、説明責任の明確化などのため、決められているルールの確認を行っているものです。

 2回目)

  「要支援2」と「要介護1」の判定に関する質問にお答えします。
  「要支援2」と「要介護1」を判定の際の要件である「状態の不安定性」は、「病状」そのものではなく、「介護の手間」の増加につながる変化が、概ね6か月以内に発生するかどうかという視点で検討します。  
  「要介護1」と判断することが認められない理由としては、5点ほどあって
@「要支援2」よりも手間がかかる
A「要支援2」よりも状態が悪い
B意見書の「症状の安定性」の項目が、「不安定」となっている。
C病名や加療の状況のみで「状態不安定」と判断する
D本人の希望や現在受けているサービスの状況で判断する   
  などがあります。
  さらに、「歩行が不安定」、「精神的に不安定」というような、何らかの「不安定さ」と考えられる要素があることを理由にして、「状態不安定」を選択することは、「誤った判断」であり、「不安定の意味を拡大解釈しない」ということも審査会委員テキストに指摘記載されています。  
  たとえば、病気としては重く、進行性のある病気である「ガン」という病名が主治医意見書に記載されており、抗がん剤投与などの治療が行われている場合であっても、前回の申請から6ヶ月または12ヶ月の間、「介護の手間」に変化がない場合は、テキストでは「不安定」とはみなせないとなっています。
  議員が言うように、事務局が、「状態が変化する病状の不安定さがあるかどうかです」と説明したとすれば、これは「病状の重篤度」を議論するものではなく、「介護の手間」に結びつく不安定さがあるかどうかという意味で用いたものと思われます。  
  実際、審査会の場では、医師をはじめとする委員の皆さんが、各々の知識や専門性を背景として、「状態不安定」ということについて議論します。  
  その過程においては、「介護の手間」の増加につながるような、「病状の不安定さ」について、委員間でも見方が一致しないことがあります。  
  しかし、あくまでも「病状」そのものではなく、「介護の手間」の増加につながる変化を、認定調査員の作成した調査票や主治医意見書の内容から、審査会の委員が判断するのが原則である。  
  なお、実際に病状が不安定となり、「介護の手間」が増加した場合には、「変更申請」で対応することが原則でありまして、この変更申請を行うことにより、申請者に不利益が生じない仕組みとなっております。  
  従いまして、事務局が判定を「認める」または「認めない」ということではなくて、事務局は、公平性を確保するという観点から、「状態の不安定さ」を議論する場合や、「不安定」の意味が拡大解釈されているような場合に、委員に対し、その趣旨や事務執行上のルールを説明するだけで、判定はあくまで、審査会の委員による合議で決定されています。