国保関係答弁 09年2月議会
健康福祉部長答弁)
国保会計の決算見通しについては、平成20年度に実施された医療制度改革による制度改正の影響や、昨年からの急激な景気の悪化による影響を受け、たいへん厳しいものとなっています。
平成20年4月の後期高齢者医療制度開始前の予想では、老人保健拠出金は、後期高齢者支援金に変わり、拠出金が高齢者の医療給付費の5割から4割に減少することや、国保は、65歳から75歳未満の前期高齢者が多く加入しており、医療費負担が重いことから、被用者保険と財政調整をする前期高齢者交付金が創設されることで、国保の財政負担は軽減されるものとの見通しを立てておりました。
しかし、この制度の開始により、75歳以上の高齢者約2万2,000人が国保から新制度に移行し、これによる加入者の減少により、国保税収入は大幅な減収となりました。
また、急激な景気の悪化は、減産による失業など厳しい経済実態が国保税の納付にも影響を及ぼしており、滞納世帯の増加とともに収納額、収納率の低下が危惧されます。
こうしたことから、国・県支出金等が未確定の状況ではありますが、平成20年度決算見通しについて、形式収支では約2億円の黒字見込みとなりますが、単年度収支では約6億円の赤字が見込まれますことから、平成21年度は国保税の見直しが必要となる状況であります。
菅谷市長答弁)
国民健康保険は、さまざまな構造的な課題を抱えており、財政基盤は大変脆弱であります。
まず制度上の問題点では、国保税の負担能力が低い退職者、離職者及び年金生活者が多く、また年齢構成が高く医療を必要とする人が多いため、総じて医療費が高くなり、国保税の負担も重くなっております。
また、少子高齢化の進展により、高齢化と比例して医療費が増加する一方で、それを支える若年世代が減少しています。
こうした状況は、市町村国保共通の問題であり、財政状況では厚労省が発表した平成19年度の決算状況を見ると、赤字団体は、1,804ある保険者の71.1%、1,283団体に上っています。
このような構造的問題に加え、平成20年度は後期高齢者医療制度への被保険者の大量移行による国保税の減収と、今般の急激な景気の悪化が追い討ちとなり、国保税の収納率が大幅に低下するなど、国保財政は大変厳しい状況となっています。
松本市において、今後、国保税の引き上げが必要となった場合、大幅な負担増の緩和措置として一般会計からの繰入金で対応することも、一つの手段ではありますが、国保が抱える構造的な問題に対する根本的な解決にはなりえません。
したがいまして、従来から申し上げておりますとおり、国保の安定的で持続可能な運営のためには、国による財政基盤強化策の更なる充実はもちろんのこと、最終的には医療制度の一本化等の抜本的改革を早期に実現するよう、引き続き市長会を通じて働きかけてまいります。
さらに、国保は、自営業や無職の人が加入するだけでなく、定年で勤めを止めた人が75歳になるまでは誰でも必ず加入することになる国民皆保険の基盤を成す制度でありますので、国保税の改定・見直しの際は、松本市が置かれている国保税の医療費の状況を考慮したうえで、生活弱者に十分配慮して、市民の皆様の理解と協力が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
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