国保税引き上げに対する反対討論

 議案第3号松本市国民健康保険税条例の一部を改正する条例および議案第15号平成21年度松本市国民健康保険特別会計補正予算に対する意見を申し上げます。
 国保税5.8%引き上げを何としても食い止めたいという思いから反対意見を述べます。
 今回の改定に際し市の説明は、委員長報告にありましたように、後期高齢者制度への移行による減収分や特定検診分等々、社会的要因によるもの2億5千万円を一般会計から、そして構造的要因による部分は税率改定して市民負担を増やすことで対応するというものです。
  しかしながら市民との対話で、年金から介護保険料はじめ相次ぐ引き落としが生活をますます苦しめ、閉塞感を感じている高齢者が多いことがわかりました。
  今回の国保税の引き上げでどのくらい上がるのか尋ねられ、「平均してひと月1000円くらい」と答えますと「それは大変」とびっくりされていました。
  また別の市民の方からこんな声をいただきました。
  「今年から70歳以上の高齢者に運転免許の講習が義務付けられ、5800円もかかる。さらに火災報知機を6月までにつけなければならなかったのでこれにも4000円くらいお金がかかった。とにかくお金がかかってしょうがない。この上、国保税まで上げられたらたまったものではない。」
  こういう声を市は受け止めておられるのかどうか疑問になるところです。
  これまで国保税の滞納世帯は約1割でしたが、値上げすることで滞納世帯が増えることが心配ですし、払えない人がますます増え、医者にかかれないという悪循環を助長することも心配です。
  市はこれまで滞納していてもなるべく保険証が渡るよう対応を改善し、とりわけ資格証明書はほとんど発行されなくなり、お金がないことで保険証がもらえない、病院にかかれない、その結果として病状をますます悪化させる、外来に来た時はすでに手遅れと言う事態になることを極力防いできました。
  全国では引き下げる自治体もあります。
  福岡市は「経済情勢等に配慮し特別に3億8000万を追加する」ことを明らかにしました。一般会計から繰り入れ引き下げを実現しました。  
  昨年、1世帯で約1万円、今年は3万から4万円を引き下げました。
  松本市も過去3年間5億200万円ずつ一般会計から繰り入れ市民負担分の引き上げ額を半分に抑えてきました。
  当時より生活実態は今さらに厳しくなっている、そういう中で引き上げることは問題です。
  今回の値上げは、いのちとくらしを守る市政として市民から高く評価されつつある菅谷市政になじまない方針です。
  何としても値上げしないということをまずきっちりと据えるべきではないでしょうか。
  そしてそれは景気回復へもつながります。
  アメリカ発の金融危機に端を発し、派遣切りが横行するなどの状況もプラスされこの間3万人の自殺者を出しています。
  最近くらしの相談で出会った方々の中には奥さんのパート収入だけで一家を支え、ここしばらく肉を食べてないという方、子供さんが高校進学をあきらめようとしている姿。さらには生きていてもしょうがないという声まで聞いています。
  そうした苦しみに私たちも直面してきました。
  そんな情勢の中だからこそ、いま行政が率先してすべきことはいのちとくらしを守る市政をさらに発展させることではないでしょうか。
  この立場から国保税引き上げに関する条例および関連する予算に反対するものです。