扶桑社の歴史教科書の指導書より抜書き

 太平洋戦争の歴史は、教科書では「大東亜戦争(太平洋戦争)」というタイトルにまとめられていますが、それを一時間で教えます。
  教師はまず当時の開戦を伝える臨時ニュースの録音を流し、真珠湾攻撃が大成功したことを説明。国民がそのことをどう感じたかを子どもに話し合わせます。
  そして教師は「国民は、歓喜と興奮の渦に巻き込まれていきました」という資料を朗読します。
  次にアジア・太平洋の白地図を生徒に配り、ハワイ、シンガポール、フィリピン、ジャワ、ビルマと日本の進撃地域に次々に青マルをつけさせます。
  そして、教科書どおりに日本の勝利が東南アジアやインドの入々に「独立への夢と希望を育んだ」ことを確認します。
  そのうえで、日本政府がこの戦争を大東亜戦争と呼んだことを強調し、なぜいま太平洋戦争という呼び方をするのか、と生徒に質問。
  戦後、日本を占領したアメリカが「大東亜載争」の名称の使用を禁じたことが影響していることを確認。
  それから、いよいよ「大東亜戦争の目的は何ですか。ノートに書きなさい」と指導。 「自存自衛とアジアを欧米の支配から解放し、大東亜共栄圏を建設すること」というように書けているかどうかを確認し、この戦争目的を説明します。
  それから授業は「暗転する戦局」にうつり、ガダルカナル、アッツ、ニューギニア、サイパン、レイテと日本軍が一歩も引かずに力戦したこと、沖縄では一般住民も果敢にたたかったことを確認し、さいごに生徒は「アメリカと日本がなぜ戦争をしなけければならなかったのか」について自分の考えをノートに書いて授業は終わります。
  この授業のなかで、生徒がきちんとノートに書けているかどうかを確認するのは「大東亜戦争の目的」を「自存自衛とアジアを欧米の支配から解放し、大東亜共栄圏を建設すること」と書くところの一カ所だけです。