議案に対する意見

 日本共産党を代表して、議案第22号平成18年度松本市一般会計補正予算(第1号)中、7款・2項観光費中「美ヶ原温泉センター事業費追加」について意見を申し上げます。  
  この事業費は指定管理者制度により経営を民間事業者に移行した「ウエルネスうつくし」が、5年契約してまだ1年しか経っていない中で、赤字が解消できなかったから委託料の増額を求めてきた。それに市が答え補正を組むというものですが、何点か指摘しなければなりません。  
  まず、協定書(4条の2項)には「センターの管理業務に関する費用に不足が生じても、甲に不足分を請求しないものとする。」とあります。
  本来なら契約外のことであり協議する性格のものではありません。
  安易に契約内容の変更ができるとなれば、同様の事象が今後ふえてくることが予想されます。
  これは協定内容の不十分さとともに、市としての姿勢が問われる点であります。  
  つぎに、事業者の企業努力の問題です。
  もともと赤字のあった施設を引き受けたわけで、それを1年で解消できると見込んでいたのか、経営方針はどうであったのか、立地や温泉というものを利用しながら様々な事業展開をして改善を図るといったことが十分検討されたのかなど、その点の判断・認識に甘さや問題はなかったのか明確ではありません。  
  さらに昨年12月には市にも連絡のないまま施設の閉鎖もありえる内容を突然発表し、利用者に不安を与えた事実がありました。
  市民サービス向上とは相反することがおこなわれたことは重大でした。   
 
今議会に出された指定管理者制度への移行の議案審議の中でも、「今までにない柔軟な発想で事業を展開し」「市民サービスの更なる向上を目指す」などその目的が説明されていますが、この施設では、利用者数の増加や赤字額の減少など一定改善されつつある面もありますが、現実には高齢者・障害者の無料利用者が4割近く減っています。無料券が30回になったことも一因かもしれませんが、それ以上に「高齢者の方のくつろぎの施設ではなくなってしまった」ことが影響しているといえます。
  これは利用者の声でもあります。  
  現状では指定管理者制度により市の施策、とくに福祉サービス面での後退になってい るといわざるをえません。  
  指定管理者制度の導入に対して私たちは「公共性の確保」「利用者のサービス低下にならないか」「民間業者の儲け先にならないか」といった問題点を以前から指摘してきたところですが、今回その指摘が現実のものになっていることは、今後の指定管理者制度のあり方が問われることでもあり、教訓とすることを改めて指摘し、議案第22号にたいする反対意見とします。