2009年12月2日  

 
  松本市長  菅谷 昭  殿

 

 2010年度 松本市政に対する政策・予算要求

松本市への政策・予算要求を発表するにあたって
―「新しい時期」にふさわしい今後の松本市政のあり方をふまえて ―

 日頃より市民のくらし福祉向上のため、数多くの制約や困難の中、市政運営に献身されておられますことに、まず最初に心からの敬意を表します。

  衆議院選挙での自民・公明政権への退場の審判は、日本の政治にとって新しい歴史のページを開く前向きの大きな一歩となりました。
  この審判が、即民主党の政策と路線の全面的支持ではないということもあって、自民党政治に代わる新しい政治の中身を国民が本格的に探究する「新しい時期」に入ったという点で実に歓迎すべき出来事です。
  そしてこれは一時の選挙での審判にとどまらず、真に「国民が主人公」の政治を実現する上で、新しい政治の中身について、多くの国民が模索と探究の途上にある、いわば「過渡的な情勢」というにふさわしい情勢全体を前向きに動かす大きな力として選挙後も作用しつづけていることが重要です。
  「過渡的な情勢」のもとでのこうした国民の探求の過程には、さまざまな曲折や試行錯誤もあるだろうが、国民が、自らの切実な要求を実現することを出発点にしながら、政治的な体験を一つひとつ積み重ねるなかで、日本の政治をさらに前にすすめる自覚と力量を高めていく必然性があります。
  このことは当然のこと地方政治にも、これまでにない影響と変化を生んでいる。
 今までのように、国政問題は国政問題として、いわば「タブー」視せざるを得ない状況、時の政権の政策と矛盾するものについては意見を上げることを躊躇するという圧力・重石が取れて、地方自治体としての率直な意見を政府に上げることができる条件ができ、その動きがはじまっています。
  政権与党議員を窓口に進められてきた「陳情」政治から、文字通り地方自治体が地域住民の要求実現の土台となり、それを実現する役割が今までになく重要となっています。
  「住民が主人公」の地方自治の再生、住民とともに「住民福祉の機関」としての地方自治体をとりもどしていく時代に入ったといえます。
  しかし、民主党政権の目指す「地域主権」論は、現時点では不透明な部分は多いものの、国の仕事を外交や貿易・安全保障などに限定し、一方で社会保障や教育など、憲法にうたわれた国民の基本的な権利を守る国の責任を投げ捨て、地方に押しつけるもので、自公政権下の道州制導入に重なる問題が含まれています。
  国の責任を明確にした、憲法の下での地方自治の確立こそが求められます。  

 そうした「新しい時期」を迎えた中で、どのような松本市政が必要でしょうか。  

 まず最初に何よりも重要なのは、この間、とりわけ自公政権によってもたらされた耐えがたい苦難から、市民の命と健康、生存権を守ることです。  
  労働者の雇用破壊、格差と貧困の拡大、医療・福祉など社会保障の改悪と負担増、「衣食住」そのものが脅かされている中、明日への生きる希望がもてる直接的支援、国保税、介護保険料など負担の軽減、後期高齢者医療制度のすみやかな廃止、「貧困」問題解決は急務です。
  給食費が払えないばかりか、朝食抜きとなるような深刻化する子どもたちの問題の解決にもつながるものです。

  次に必要な対策は、「モノから人への投資」、健康福祉分野への思い切った行政のシフトです。  
  社会保障制度の拡充は、日々の市民のくらしを直接ささえるにとどまらず、医療、介護、福祉などの各分野で新たな雇用を生み出し、地域経済を活性化させるという景気対策としても大きな力になります。
  「健康寿命延伸都市」は、そうした制度的、経済的土台が基礎になってこそ初めて実現するものと確信します。
  今年に入ってわずかの期間に、市内中学生の逮捕事件が頻繁していることは、松本市の教育の危機のシグナルとして特別に受け止めるべき必要があります。
  こうした事態の背景には、ゆきすぎた競争と格差づくりの教育による子どもたちのストレスと貧困問題がそのベースにありますが、改悪教育基本法から子どもたちを守り、憲法と子ども権利条約に基づいた子どもたちの豊かな成長を保障する教育を追求する上で、教員はじめ教育関係者の力量向上は論を待ちませんが、そのためには、国の過労死ラインを上回る労働時間で働く「多忙化」の解消は急務です。 「教員評価」制度や免許更新制の導入をやめるとともに、教育の分野への思い切った予算の配分、現場に教職員をふやし、問題をかかえる教員の人間的なケアの対策などで、教育委員会がその独自の役割を今こそ発揮することがとりわけ重要です。

 そして、深刻な経済危機から、市民のくらしと営業を守るために、持続可能な経済産業政策が求められます。
  これまでの「外需だのみ」から「内需主導へ」、経済の体質改善をこの松本市でも本格的に歩み始める必要があります。  
  自治体が責任を負うべき福祉の仕事を民間に委ね、規制緩和による官公需の低価格、低落札、正規職員の削減と嘱託・臨時職員の増大、工場団地を作り企業誘致で産業の育成を図るという時代は終わりました。
  規制緩和万能、安上がりで効率的な労働者たちと市場原理主義、弱肉強食をすすめ、むき出しの利潤追求の新自由主義路線の破綻が明らかになる中、本格的な内需の拡大のための施策の実行、「グリーンニューディール」産業の育成、そして農林業の振興こそに重点を置くべきです。  

 そのために、地方自治体としてできることに全力を尽くすとともに、地方交付税の増額、福祉制度への補助金の増額など、国の責任を強く求めていく必要があります。  

 私たち、日本共産党・しがの風は、以上の施策の展開で松本市政を本来の「住民福祉の機関」としてとりもどしていくことに引き続き力を尽くします。

 総選挙後生まれた「新しい時期」にふさわしく、昨年の申し入れでも行った通り、今までの延長線上でない思い切った施策の転換、予算の編成が必要です。
  そうした意味から、以下に掲げる、政策・予算要求を来年度の予算編成に盛り込まれることを切に要望します。

 

日本共産党・しがの風          
会派代表  池田国昭     
倉橋芳和     
両角友成     
南山国彦     
犬飼明美     
澤田佐久子     

 

― 「住民福祉の機関」にふさわしいまちづくりのための9つの施策 ―  

 1、生存権は政治の原点 、憲法を生かし、平和を世界に発信する市政

 今年9月の完全失業者数は全国で363万人と1年前と比べ92万人増加。11か月連続の増加となっています。完全失業率は、4月以来5%を超える事態が続き、市民生活はますます厳しさを増しています。  
  市民税・所得税の負担増はもちろん、それ以上に国民健康保険税や介護保険料、そして後期高齢者医療保険料の負担増が深刻な事態になっています。一般会計や基金からの繰り入れで国保税・介護保険料を引き下げる、 低所得者、弱者対策への減免対策のさらなる充実が必要です。  
  生活保護基準以下のくらしを強いられる階層は高齢者・若者に限らず、全世代 に広がっています。具体的な対策をとるため、市の責任で実態調査を行なう。
  生活保護申請時、車の保有、預貯金などの取扱は生活保護法の精神に則り、かつ 実施要領にそって保護が受けられるよう誠実な対応をすること。
  相談に来る外国人の対応については、通訳できる職員の増員など行い、外国人であることをもって不平等な扱いにならないよう配慮する。
  申請書は窓口に置き、申請意思のある人には無条件で申請書を渡す。相談者の人権・プライバシーをまもる相談スペースの充実。  
  職員を増やし、この仕事に誇りを持って取り組めるよう、職員研修を充実させる。  
  要保護世帯向け長期生活支援資金としてのリバースモーゲージ制度は導入しない。  
  憲法を遵守し、市政に生かす。 憲法9条の改定に反対し、日本を「戦争する国」 にしない。 過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する流れの「根」を絶つことが 必要です。
  日本の侵略戦争の事実を正確に教える小中学校での平和教育をはじめ、 さらなる平和行政を市政に位置付ける。松本市として戦争の歴史や戦跡の保存をおこない、歴史の事実を風化させない。
  この1年間、「核兵器のない世界」をめざす国際政治に大きな進展がおこっている今、「核廃絶」をめざす市長として、具体的行動をおこす。
  平和市長会議の趣旨に則り、2010年5月の「NPT再検討会議」にむけて、市長と市民代表団を派遣する。  国民保護計画にそった訓練の実施はおこなわない。    

2、生存権保障する社会保障制度き、市民くらし支え健康・福祉まちづくり

 「健康寿命延伸都市・松本」の実現には、「住民福祉の機関」としての地方自治体本来の役割を果たすことが土台となります。     
  後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を求める。
  福祉医療制度を受けている高齢者については、不利益が生じないようにする。  
  介護保険については、保険料のさらなる軽減をはかる。施設不足の解消、介護職場の待遇改善をすすめる。同居家族のいる場合の訪問介護サービスの生活援助の提供については、これまでどおり「必要な」サービスの提供が受けられるようにする。特にケアマネジャーが自信と誇りを持って仕事ができるように行政としてサポートする。  
  受益者負担を原則とした障害者「自立」支援法については、実態調査に基づき、介護保険同様独自補助を充実するとともに、応益負担を応能負担にもどすなど、国に向かって法の抜本的見直しを強く求める。  
  利用料軽減策の実施、自治体からの仕事をふやすなど仕事を確保し、松本市独自の施策をさらに充実させる。
 国民健康保険証はまさに「命綱」です。引き続き、お金が払えないことを理由とした保険証の取り上げ、資格証明書・短期保険証の発行はやめ、安心して医者にかかれる環境をつくる。  
  特に、実質「無保険状態」となる保険証の「留め置き」は止める。また、未交付のなかに発行すべき対象者がいないか調べ、郵送の方法もふくめて全世帯に発行する。
  国保税の引き下げをおこなう。   
  火災の場合のみならず、緊急避難的に入居できる「福祉住宅」「緊急避難住宅」などの施策を充実する。  
  多重債務やサラ金問題など消費者問題とともに、くらし、住宅、仕事などに係わる総合的な相談のできる、ワンストップ対応型「くらし相談窓口」を設置する。昨年同様、年末年始に「雇用・生活」相談窓口を設置する。  

 3、命を大切にし、子どもと教育を守り、子育てを支援する市政

 日本国憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる新しい教育基本法制定へ。
  不登校児童対策をきめ細やかにおこなう。
  校内暴力や暴行事件に関わる児童・生徒への対応として、スクールソーシャルワーカー(SSW)の増員配置を県に求める。
  いま、教師の負担軽減とさらなる増員をすることが急務であり、そのことが子どもたちの豊かな成長を保障する事に直結すると考えます。そのために教育委員会が「子どもの最善の利益」を守る立場で、最大限の努力をすること。
  「つめこみと競争」をさらに助長する全国学力テストには、参加しない。  
  いじめの松本市の独自の調査基準に沿って、いじめの事態を掌握するとともに、国の「競争」をあおる教育政策の根本的転換とともに、教育現場での実践や教育学の成果を踏まえた取り組みをすすめる。      
  子どもの基礎的学力を保障し、人間形成を助ける学校づくりをすすめる。  
  中学校までの「30人学級」の早期実現。義務教育における父母負担の軽減。
  学校給食センターの民間委託はおこなわない。    
  家計がいっそう苦しくなる中、授業料などの負担増や滞納問題が深刻化しています。そのため、厳しい経営を迫られている私立学校に対して、私学助成をさらに拡充する。  
  障害児のライフステージを通じた一貫した療育が受けられるように療育システムを構築していく。就学、就労などの相談支援事業の充実のために総合相談窓口となる療育センター機能をもった拠点を設置する。 OT(PT)・心理・保育士・教員等の専門スタッフを配置、早期療育と5歳児健診の実施、発達障害児の集団療育の実施などをとおして松本市の障害児療育の充実を図る。  
  特に発達障害の子どもの療育は緊急の課題となっており、保育所、学校現場との連携も図りながら、療育を進める。 また、長野県が進める発達障害者支援センターとの連携が進むように働きを強める。  
  軽度発達障害児教育に関する教職員の研修の機会を増やす。
  貧困と社会的格差の広がりから子どもをまもる取り組みを強める。 安心し、ゆとりを持って子どもを生み育てるための「子育て支援」策を引き続き進める。 ひとり親家庭を始め、子育て世帯に援助する施策を拡充するとともに、国による児童手当や扶養控除の廃止による「子ども手当」の実施には反対する。
  児童扶養手当の充実、わけても父子家庭への支給実現を強く国に求める。  
  乳幼児医療費の一部負担金を無くすよう、強く県にもとめる。福祉医療の所得制限なしの窓口無料化の早期実現と対象年齢を中学校卒業まで引き上げる。
  公費負担による妊婦検診の回数は14回で継続する。深刻な産科医師不足対策を強める。 出産育児一時金の増額をおこなう。 未満児保育、障害児保育など松本市のよき保育行政の歴史と伝統を守り、独自の配置基準に見合った人員配置と施設整備をすすめる。    
  保育園での正規職員を増員し、当面嘱託職員の採用期間の延長をはかる。  
  放課後児童クラブ事業は「安心して働け、子どもの成長を支える」子育て支援策にふさわしい位置付けを明確にし、運営基準のさらなる充実。 指定管理者制度でも「公設公営」の今までの松本市での実績、経験を後退させる事なく、関係者との協働で、より質の高い発展したものに作り上げていく。  学童クラブ(放課後児童育成クラブ)への補助を増額する。また、児童クラブ事業との利用者負担は平等にする。  
  放課後子どもプランの推進にあたっては、放課後児童クラブ事業と放課後子ども教室の違いと役割を明確にして各々の充実をはかる。    

 4、市民の生命・財産を守るまちづくり

 「地域福祉力」は「防災力」の位置づけで、地域でのつながりを生かした地域自主防災組織の確立・充実をはかる。防災マップの周知と充実を徹底する。    
  防災拠点としての出張所の位置づけを高め、学校など公的施設との連絡・通信網の整備、拡充をする。  
  人的消防力の強化など、広域連合に、消防体制の強化を申し入れる。  
  消防の広域化は、やめる。  
  消防団員、消防署員の自身の安全確保対策を図るとともに、引き続き消防団と団員の待遇改善をすすめるとともに、団員のさらなる確保につとめる。    
  開発や土地利用の変更にあたっては、災害にどのような影響があるかを事前にチェックする 「防災アセス」を導入する。    
  免震構造を持つ新たな防災センターの設置を速める。  
 まつもと市民芸術館内の防災関連施設は、音楽練習室など市民の利用に供する検討を始める。  

 5、地域で、誰もが安心してくらせるまちづくり

 生活者の目線に立った安心できる「まちづくり」をめざし、市民との協働をすすめる。  
  交通弱者の交通手段の確保を中心に据え、環境問題を考慮し、新公共交通システムを住民の意向を踏まえて構築を急ぐ。 細かな地域での懇談会を開催し、多様な意見を聞く。  
  松電バスと市独自の乗り入れバスの組み合わせ、デマンド交通の本格的導入、それが出来ない場合の高齢者へのタクシー利用補助などの対策を考える。  
  パーク・アンド・ライドをさらに推進する。  
  まちづくりそのものを、開発優先から、防災を重視した住民参加型、子どもの意見も取り入れてすすめる。  
  指定管理者による徴収率アップに名を借りた水道料金の強制的な取立てはしない。
  県の水道料金減免に沿った割引制度(ひとり親世帯・生活保護世帯は減免)を取り入れる。    
  高齢者・低所得者や子育て世代・若者が市営住宅並家賃で暮らせるよう、民間住宅入居の際の家賃補助制度を新設するなど、「住まいは福祉・住まいは人権」の観点で住宅行政を充実させる。   

 6、農林業を再生し、地域経済活性化策として本格的に位置づける市政    

 先ごろ、FAO(国連食料農業機構)は、飢餓人口が10億人を突破したことを公表し、「金融危機が途上国を含む国の農業にも悪影響を及ぼし、食糧危機は、ますます深まる恐れがある」と警告しています。
  国の農業再生はまったなしです。  
  日米自由貿易協定(FTA)には反対する。  
  農林業の衰退をさせないため、地域活性化・環境保全とともに国の施策を後退させないよう、強く国に求める。
 「食料主権」「食糧自給率の引き上げ」「地産地消」「農産物の価格保障と農家の所得保障」対策を内需拡大として本格的に位置づけ、市独自の対策を強化する。  
  遊休荒廃農地に対する実効ある対策の強化。 大規模農家、家族農業を支え、新規就農者育成支援と後継者支援施策を拡充する。 安心・安全な食糧確保の観点からも地元農産物の給食材への供給など地産地消をすすめ、松本市の農業を守り、発展させる。    
  地域資源の活用と市民の健康を守る地産地消、食育の推進、食の安全、環境保全を基本にした仮称「松本市食と農のまちづくり条例」の制定をめざす。  
  真の地域農業活性化に生かされる農・商・工連携事業の推進を。
  有害鳥獣対策は県とも連携し広域的な対策をすすめると同時に、里山整備をすすめ、動植物の生態系保護に努める。    
  適切な森林整備と国産材の供給体制を確立し、地元産の木材を使った公共施設や住宅の建設などの林業・木材産業の再建をはかる。  広がりつつある、「松くい虫対策」を強化する。   
  木質バイオマスや森林セラピーの推進など山村地域での新たな事業を促進する。林業労働者の確保と林業技術の継承を重視し、持続的な経営管理にとりくむ。
  間伐作業など森林整備のため必要な林道(作業道)の開設・改修をおこなう。  

 7、内需主導の産業政策を確立し、地元業者の経営、雇用と労働条件を守る

 足元工事を増やし、地元業者の仕事確保をすすめる。  
 公契約条例を制定し、労働者の賃金確保と公共工事の質の向上をはかる。  
  企業誘致にたよらず、中小企業・自営業者がその役割を存分に発揮できるよう、中小企業憲章を制定し、中小企業を振興する施策を実施する。
  太陽光・風力・小型水力・バイオマス・地熱など再生可能エネルギーの開発と普及、静脈型産業、さらに再生医療・個人に合った福祉器具の開発などにとりくむ中小企業への支援をおこなう。
  今ある産業の維持発展のため「中小企業振興条例」を制定し、すべての市内の中小企業の実態調査を市の責任で行い、中小零細企業、小売店の融資・人材・技術・市場の各分野にわたって直接支援できる体制を整備する。
  技能五輪の誘致を機に、後継者対策に力を注ぐ。  
  ものづくり技術の継承、産・官・学連携のものづくり・技術開発は地場産業との連携を図り、新製品の販路・流通までの支援をおこなう。  
 豊かな観光資源を生かし、地域の特性を生かし、活性化につなげる。    
  市内の雇用労働の実態調査を行い、非正規雇用や請負労働者の実態を把握して「安定した雇用」と「人間らしく働ける労働条件」の確立をはかる。    
  ワーキングプアや失業者のために、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの生活支援を早急に実施できるよう、条件整備をすすめる。
  また、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設し、手続きは素早く行なう。     
  ニートとよばれる若者に対して、より人間らしく成長し働けるよう、相談、教育、社会体験や職業体験、就労などの支援を「継続」して行なう。    
  臨時職員・非正規職員の賃上げ、労働条件の改善をはかる。  

 8、地球温暖化対策の遅れを克服し、「人にやさしく環境を大事にする松本」をめざして

 環境基本計画と一般廃棄物計画をリンクさせ、本格的な「ゼロウェイスト」自治体を目指す。
  地球温暖化防止推進計画の策定を2010年度にひかえ、90年比25%削減の国の目標に照らし本市の目標値を明確にし、施策を強力に推進する。
  大量生産・大量消費・大量廃棄の経済からの転換をはかる新産業政策、グリーンニューディールを推進し、これにとりくむ中小企業・中小工務店への仕事おこし、技術開発と普及を支援する。  
  温室効果ガス(CO2)削減など地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、「松本市地球温暖化防止条例」を制定する。  
  太陽光発電の普及を拡大するための施策を推進する。設置補助金の増額や公共施設への設置、特に市内のすべての小中学校に「ソーラーパネル」を設置し、子どもたちへの環境教育をすすめる。  
  BDF(バイオディーゼル燃料)化のさらなる拡大や、バイオマス、雨水利用、小規模地域水力発電所など自然エネルギーの開発を促進し、より温室効果ガスの排出量の削減に努める。  ペレット燃料の生産やペレットストーブの公共施設への設置などについては市としての財政的支援を強化し、具体化をさらにすすめる。  
  ごみ「焼却中心主義」から、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進、特に「発生抑制(リデュース)」に努め、プラスチック類の再資源化など限られた資源の有効活用をさらにすすめる。    
  「ごみ有料化」はしない。
  買い物袋持参運動を進める。    
  廃棄物の不適正処理や保管、不法投棄とそれによる環境汚染に歯止めをかけ、違法行為の「やり得」を許さないために、違反者への「厳格な指導と監督」を県にもとめる。    
  廃棄物処分場周辺の環境調査(水質・大気・臭気・アスベスト・植物・昆虫などの生態系)をおこない、周辺住民が安心して暮らせる生活環境の保全をはかる。   

 9、「市民が主人公」のまちづくり

 松本城のお堀復元・道路拡幅事業はいま必要かも含め、全市民対象の意向確認調査を行い、市民の納得と合意を重視する。    
  まつもと市民芸術館の運営については、市の財政状況と市民生活の実態を考慮しながら、自主事業の縮小、芸術監督制度の見直しなどを何よりも全市民のくらしを守る観点をすえることを原則に見直しを進める。    
  市民のだれもが、芸術文化を享受でき、明日へ生きる希望がわいてくるような、文化芸術行政が求められます。
 市の幹部職員や各種審議会へ女性の登用率を高めるなど、男女共同参画をすすめる。    
  合併4地区については、新市建設計画に沿い、地域の伝統・文化を守るまちづくりを進める。
  また、波田地区においては生活環境が激変とならないよう、施策の検討・取り組みをすすめる。あわせて波田病院の今後のあり方は、多方面かつ慎重な検討を加えること。  
  地域協議会・地域審議会での十分な協議を重ね、その地域が取り残されることがないように、またこれまでよりサービス低下がおきない配慮を持って進める。  
  支所機能の見直しにあたっては、改めて地域住民の声に応えて慎重にすすめる。    
  予算編成過程の公開・意見集約は、市民と行政との協働の画期的な成果として今後も実施し、パブリックコメント等の活用で、市民みんなでまちづくりを進める観点からの予算編成を行う。    
  引き続き市の財政状況をはじめとした行政情報の公開を積極的に進め、「参画」「納得」の市政運営で、「市民が主人公」のまちづくりをおこなう。  
  保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野でのNPO活動を支援し、協働をすすめる。  

以上