19年度予算案に対する意見  

 議案第47号及び第53号に関連して意見を述べたいと思います。
 
  その前に、先ほどの委員長質疑とも関連して、この47号にも関連するものですから、最初にちょっとこれに関して、今度は意見を述べたいと思います。先ほどは質疑でしたけれども。  
  先ほどの私の委員長質疑は、委員会での健康福祉部長答弁をそのままぜひ委員長報告の中に加えていただきたいと、そういう趣旨です。
  それはなぜかといいますと、先ほどの委員長報告の中身では、4月いっぱいに実施計画を完成するべくというのが前提にある中で、結局のところ、ハードの建設が先行し、その後に実施計画ができたら運営内容を検討する組織をつくるということになってしまうという危惧があるからです。
  そういう形での段階論を踏むことが、決していい事業につながらないというふうに思います。
  実際に、先日の委員会の審査の中でも、そういう立場から私も何度か発言をした経過がございます。
  ぜひ健康福祉部長の答弁のとおり、ハードの議論に焦点を当てながらソフトの議論をしていくと。中断したそもそも論をここでしっかりと展開して、本当に全国に発信できる松本市の放課後児童クラブ事業、放課後児童対策、全体の放課後子どもプランも含めて、菅谷市長の3Kプランの中での子供たちの対策、ぜひ全国にいい中身として発信できる事業を進めていただきたいと、このことをまず最初に意見として申し上げておきます。  

 それでは、47号及び53号に関連して意見を申し上げます。  
  平成19年度、来年度の予算案を見ると、例えば、今申し上げた公設公営の放課後児童クラブ事業、無認可保育園の認可化、適応指導・学習指導改善教員の増員など、そうした3Kプランに即した事業が盛り込まれ、また同和関連団体への団体補助金の廃止など、いわば松本市の歴史の中で汚点と言われてきた同和行政の是正という点で評価ができる、前進面として確認ができる予算であります。
  また、そうした個別の内容にとどまらずに大きくとらえてみれば、実質3年連続借金を減らし、また国民健康保険会計へは、事実上4年目となる一般会計からの繰り入れで負担軽減を図っている。そうした面で見ても、評価ができる予算内容となっています。  
  しかし、検討しなければいけない点は、こうした前進面と同時に、今の市民生活との関係で、市民の暮らしを守るという点から見た場合に、その点での課題との関係でどうなのかという点でございます。  
  それは、先ほど私が申し上げた幾つかの評価点、前進面が、市民の負担増で支えられている19年度予算案だということにも大いに関係します。
  今、まじめに働いても生活保護水準以下の生活しかできない貧困層が激増。10世帯に1世帯、400万世帯を超えて、全国でいわゆるワーキングプアと言われる貧困層、格差の拡大が広がっています。もはやこの貧困という問題は、一部の国民、市民の問題ではありません。
  病気、介護、老いなどの身近な出来事がきっかけで、市民のだれにでも起こり得る問題となっています。
  そして、それは若者、女性、高齢者、自営業者など、すべての階層をとらえて進行し、日本の社会をむしばんでいる。これが今の実態です。  
  市長は、昨年来のほぼ1年間のこの格差と貧困にかかわる議会の議論の中で、昨年12月、こういう答弁がありました。
  「経済状況が主因をなす経済的格差であれば、景気回復により解消する部分があるかと思いますが、一方、法改正等により生じた市民負担の増加が誘因となる制度的格差は、景気回復だけでは改善しないことも事実だと認識しております」。
  まさにそのとおりだというふうに思います。もちろん、その後半の部分だけです。  
  そこで、この制度的格差と法改正等によって実際にどうなったかと。
  これは既に明らかになっておりますが、18年度は税制改定によって、老年者控除等高齢者への年金の課税等も含めて、5億7,100万円の負担増。
  来年度19年度は、それに加えて5億6,000万円の負担増があると、この議会の議論の中で明らかになりました。
  この2年分を合わせると11億3,100万円という数字が出てまいりますが、2年分ということについて言うならば、18年度の5億7,100万円は当然のこと。
  その上、さらに定率減税の廃止にかかわる部分も含めて考えるならば、19年度はそのまま負担増で残り、なおその上、かつ5億6,000万円上乗せされるという考え方で見るのが正しく、実際には、この2年間で17億円を超える負担増というふうに見るのが正しいと思います。  
 
子育て世帯の問題では、文字どおり3Kプランとして市長が幾つかの施策を打っておりますけれども、松本市内で子育て世代の現状はどうか。
  就学援助を受けている世帯は、8年前の約1,000未満の世帯から、現在は2,000を超える2倍以上の世帯がこの就学援助を受けている。
  児童扶養手当も、この五、六年間で1.5倍になっています。  
  高齢者の問題では、この間、老年者控除等、直接的に市長が、昨年9月の議会に高齢者の負担増は事実でありますという点で認めたとおり、高齢者の方々の税負担及びそれだけにとどまらずに社会保障料の負担増で、いわゆる収入が生活保護基準以下でしかない世帯、すなわち国保税や介護保険料を払うことによって、実際には生活保護基準以下の収入の範囲の中でしか生活ができない65歳以上の世帯の方が、6,400世帯から、場合によっては1万世帯にまで及ぶ、そういう可能性があることも、今度の委員会の審査の中で明らかになりました。  
  そして、介護保険についてのみ申し上げれば、この税負担の増に伴う段階が上がって負担がふえる人たちがどのぐらいいるか。
  今まで第1、第2、第3段階で済んだ方で一気に第4段階に上がってしまう方が1,147名。同じく、さらにその上の5段階にはね上がってしまう方が5,449人。合わせて6,596人の方が、今度のいわば市長が答弁した法改正等により生じた負担増という形で、当然これらの方々が、先ほど申し上げたとおり、この介護保険料を払うことによって生活保護基準以下になってしまう、そういう方々が大半の方々を占めているといっても過言でないと思います。  
 
  こういう実態との関係で19年度予算、どういうふうに見るか。
  介護保険については、3年間の緩和措置が確かにとられておりますけれども、一方で、保育料については、国の制度の改定があり、この定率減税廃止に伴う事実上の保育料の引き上げにつながらないような、そういう手だてがとられております。
  これも委員会の審査の中で明らかになりました。
  こういう点から見た場合に私は、今、冒頭申し上げた評価点、前進面がある一方で、市民の暮らしぶりはどうなんだ、そのことに対する直接的な対策が欠けてはおりませんかという質問をいたしましたが、残念ながら、本会議の場においては、直接的なそれに対する対策の予算は組まれていないということが明らかになりました。  
  そして、私たちが提案をしてきた、国民健康保険会計には一般会計からの補てんが行われる一方で、介護保険会計への一般会計の繰り入れはできないものかと。
  これに対して、この間、一貫しての答弁は、2つの理由でできないと。
  1つは、一般会計からの補てんは、制度上認められていない。
 
もう一つは、介護保険計画が3年に1度決められるという意味からすれば、その第3期の計画の1年目の途中でそういう変更はできない。
  この2つの理由が挙げられ、一般会計からの補てんがされておりませんけれども、以前にもご紹介をしたことがあります。
  2002年3月19日の参議院厚生労働委員会の中での審議で、介護保険会計への一般会計からの繰り入れについて地方自治体が行っているが、それについてどう思うかという質問に、厚生労働関係者は、まず、介護保険については三原則があると。その三原則があるから一般会計の繰り入れは不適切と言いながらも、その三原則という助言とか勧告に自治体は従う義務があるのかという質問に対して、法律上の義務はないというふうに解釈しておりますと。
  この答弁と同時に、地方の自治体が地方自治法に定められた福祉の増進のために頑張るということは、その地方自治法にも明記されている点でどうかという点についての当時の坂口厚生労働大臣の答弁は、その3つの原則を乗り越えて地方の自治体がやるということであれば、それはだめだ、やめろというところまでは言っていないと、こういう答弁があるように、19年度予算で第53号への一般会計からの投入は決して不可能ではありません。  
 
  私たちは、平成19年度の予算案について、いろいろな方面から検討を加えました。
  そして、改めてこの19年度予算案は、対決という立場の反対という姿勢ではなく、問題点を指摘し、それの是正を求める立場での予算は認めがたい、そういう態度表明を申し上げたいと思います。
  ぜひ菅谷市長におかれましては、この平成19年度予算の執行に当たっては、そうした問題点を抱えた中での予算案であるということをくれぐれも踏まえる中で、市民生活の実態との関係での予算の執行を強く求めて、意見といたします。  

                                                 以上です。