18年度決算議案に対する意見
議案第25号 平成18年度松本市歳入歳出決算の認定について、及び同第26号 平成18年度松本市公営企業会計決算の認定について、日本共産党・しがの風を代表して発言します。
平成18年度の決算は第8次基本計画のスタートの年であり、合併2年目、しかも菅谷市政の折り返しというある意味節目の年の決算でした。
また、合併2年目で、17年度に続き、全市一体化事業が進められた年でもありました。
その18年度は、一言でいって、景気回復が吹聴されながら、いみじくも菅谷市長が述べたように、その実態は「家計を犠牲にした景気拡大」、一部の企業と資産家は別として、多くの国民、そして地方自治体にとっては、負担の押し付けの連続でした。
格差の拡大に関しても、私たちが調査した松本市の「ジニ係数」のグラフにも、その実態が鮮明です。
実際、松本市の決算に現れた点では、歳入で重要な位置を占める市民税収入では、いくらかの法人市民税の伸びは確認されたものの、個人市民税では、今まで市民税を納めなくて済んだ約1万人の高齢者をはじめ、市民全体の負担が増え、その総額は約7億6300万円に及びました。
収入が増えない中での負担増です。
それは、昨年の段階での議会答弁では、約5億7100円との発表でしたが、実は、約7億6300万円に及んだことがわかったのも、今回の決算特別委員会の議論の中でした。
一部の企業と資産家は、減税されながら、一方で、定率減税の半減、老年者控除の廃止、介護保険料の増額などがその原因です。
そうした税金、保険料さらに10月1日からは、高齢者世帯への医療費の負担も増えました。
これも市長が述べたことですが、「制度的格差は、景気回復だけでは改善しないこと」は、もちろんのこと、逆に「家計を犠牲にした景気拡大」、「景気回復」が、が進めば、進むほど市民の暮らしが大変となる「構造改革」の進行の中で、さらにその「制度的格差」を拡大させる政治が、自民・公明政権の元で進められたのがこの1年間でした。
三位一体「改革」との関係で、松本市の収入が減らされ、その分を、市民負担増でまかないながら、それでも17年度比で歳入が減ったのが、18年度の歳入構造から見たその特徴でした。
そうした中で執行された18年度予算。
18年度は、予算編成の段階では「基本構想2010」が確定していなかったため、菅谷市長公約の「3Kプラン」と「10のまちづくり」をベースに予算編成がされましたが、その中には全国に発信できる施策の前進が幾つも確認できます。
3Kプランは、ある意味これからの松本市政のあり方との関係では、環に当たる重要なものと考えます。
あれも、これもでなく、この3Kプランから、総合的な充実・推進を図ることが今後とも重要です。
以下、具体的に言うと
市長の政治姿勢として、 「(ハコモノではなく)人にお金を使う事が大事。」「特に未来の子ども達に」ということで進められた、少子社会の進行の中での子育て支援策で見ると、
保育料の引き下げ、乳幼児医療費の無料化も、所得制限なしで、就学前まで拡大、 適応指導・学習指導改善教員の増員への踏み出しも挙げられます。
放課後児童健全育成事業の見直しについて、放課後児童クラブ事業は、その後の今年度に入っての事態の推移は、当初の意図と違った結果も心配されますが、公設公営で行うことへの転換は、大事な点でした。
健康づくりという点では、いくつもその前進面をあげることが出来ます。
そんな中で、資格証明書の原則廃止、短期保険証の半減は、いわゆる留め置き問題は残っているものの命のパスポートとしての国民健康保険証を発行に関しての交付基準を見直す前進は全国に発信できた実績として特筆できるものです。
がん検診受診率アップ5カ年計画策定 、「自立支援型ベッド」への助成、障害者福祉医療の所得制限の廃止を挙げることが出来ます。
暮らしとの関係もありますが、運用面や体制の不十分さは残るものの、生活保護分野で、「申請用紙を必要と申し出る人には、用紙はすぐに渡す」など、「保護すべき人は、保護する」 立場で施策の前進が図られました。
国保税に関して言えば、5億円の繰り入れは3年目、負担の値上げ巾を半分に軽減したものの、その負担の重さは、実際には、収入未済額の増にあらわれています。
介護保険料の収入未済額の年々増も同様に負担の重さを証明するものです。
5億円の繰り入れの積極面は、昨年も評価したとおりですが、これでは及ばない、介護保険料の軽減を含めて、負担軽減策の必要性を明らかにしたのが、今回の決算の中身でした。
市営住宅家賃、保育料の収入未済額の増加については、その問題点について先ほど委員長報告で触れられた通りです。
危機管理で言えば、
各施設の耐震補強工事の推進、危機管理・防災センター調査研究、災害時医療救護活動マニュアルの策定は県下初のものです。
その他には、経済部を農林部、商工観光部に分けて、充実をさせ、産業政策として、ものづくり伝承事業、健光ツーリズム事業、産学共同研究助成金、観光とまちづくり関連団体連携推進事業 などの取り組みが行われましたが、中小企業に対する振興施策との関係で、振興条例の制定など重要です。
地域の交通手段の確保のための「地域新交通システム」構築研究も着手されました。
約2年間(24回)にわたり審議を積み重ねてきた、まつもと市民芸術館運営審議会の「提言書」に基づいての見直しの過程も始まっています。
同和行政の廃止は、この18年度で終了となりました。
さらに、予算編成過程の事前公表と市債残を減らす点で、新規事業や大きな制度改正を伴う事業について、その目的、効果、事業費などを予算要求時点で市民に公表し、寄せられた意見や感想を参考にして、「住民が主人公」という立場での開かれた予算編成も評価できるものとして、この点も改めて紹介しておきます。
さて、地方自治体の仕事は、地方自治法で定められているように、何よりも住民の福祉の向上にあり、またそれとの関係で市民の願いがどれだけ叶ったかという点と、住民自治との点から見れば、「住民が主人公」の市政運営がいかに行われいるかが、市政評価の基準となります。
別な言い方をすれば、市民の毎日の日々の暮らしの平穏、安心がその土台になくして、松本市の市政はありません。
今日一日が無事終わり、明日は又希望が持てる、そうした市民の暮らしを守ってこその松本市の市政です。
そうした点から見ると、
先ほど見てきたように、「3Kプラン」での前進面はじめ、いくつも評価点は確認できますが、しかし、18年度は、格差と貧困問題の深刻化がさらに進んだ年でもあった中で、市民の毎日の日々の暮らしを守る・支えるという点から見ると、まだまだ不十分というの点を率直に指摘しなければなりません。
国の政治が悪いときこそ地方自治体の出番です。
今後、今回の18年度の決算特別委員会に限らず、これまでの審査の内容、執行での問題点と教訓を、現在編成作業が始まっている来年度の予算に生かし、またこれからも、合併四地区の住民が松本市民として合併して良かったと言える街づくりに力を尽くすことの必要性を強調し、18年度の決算は良とし、意見といたします。
|