H25年度決算議案に対する 討論と意見
2014年10月29日
議案16号 平成25年度松本市歳入歳出決算の認定について申しあげます。
健康寿命延伸都市松本の創造に関わって、健康・福祉に関して、新しい施策が加わり、充実が図られつつあることは、最近の市長の発言にみられるだけでなく、事実いくつかの分野では、先進的な取り組みになっていることが認められます。
今日は全面的にその展開は致しませんが、 たとえば、健康づくりについてみると、H25年度に開始された「身体活動維持向上事業」「がん検診・特定健診のPR活動、任意予防接種への助成など、H25年度から開始されたものなどいくつもあります。
これらは、それまでの事業の上に加えられ、さらに充実されているものとして評価できます。
先日、教育民生委員会で、歯科医師会の役員の方々と懇談する機会がありました。
松本市の口腔衛生、歯科検診の内容は、その方も述べておられましたが、(全国でも誇れる内容を持っている。)H25年度の中でも。今年度の中でも充実させてきています。
この懇談の中では、その中身の説明、健診の中身など懇談が行われた後に、最後に私の方から、「経済的理由、社会的背景との関係。
特に歯と貧困の関係を現場でご覧になっておられますが、どのように見ておられますか。」とお聞きしたところ、次のように役員の方が言っておられました。
「歯科検診をして『子どもさんが、むし歯ですよ。』とお母さんに話しても、治療がされていない。 そうした子どもたちの実態をよく調べると、家庭崩壊とか、経済的な面が大きい。歯医者へ行っている間がない。歯を治すより、とにかく毎日食べて寝てどう明日生きるのに精いっぱい。
低所得者の方々にいくら福祉医療制度が充実してもあっても、一部負担金を窓口で、その場で払わななければならない。その一部負担金も払えない。 そのために行かないという事例がある。」というお話しでした。
「 後から銀行の口座には振り込まれますが、手数料を引かれて。それが2か月3か月後。 今、現に支払うことができない。そうした現実(生きていくには食べなければならない。)との関係でいうと
結局食事代に回ってしまう。そういう事実がある。」というお話しでした。
そして最後に役員の方のお話しで印象的だったのは、
「一番お願いしたいのは、窓口無料化をしてほしい。特に低所得者には必要です。」 ということでした。
「住民福祉のため」の自治体の機能と役割は、年々の弱体化させられ、国の施策との関係で、住民の福祉と暮らしが破壊され、地域経済の衰退も加速し、地方自治体の危機にまで及んでいるそうした事態が進行しているが現在の全国的な傾向です。
今こそ、「住民福祉の機関としての役割」を取り戻す自治体の在り方が問われますが、まさにそれとの関係で、および松本市政の現在とのことで考えさせられるお話しでした。
お話に在ったように、低所得、貧困の中で大変な市民とっては、社会保障制度のシステムの確立があったとしても、日々の暮らしに追われる中で、それが利用できない。
この実態にこそ光を当てて、対策をとることが、とりわけ、格差と貧困が日々深刻になっている今だからこそ必要だと考えます。
そうした点から見て、子どもの医療費の無料化の年齢の拡大が松本市でも行われてまいりましたがこの点は実に重要なことですが、やはり窓口での無料化が肝要だと思います。
医療や、福祉の分野での自己負担のゼロも含めた軽減こそ求められます。
松本市に財源がないわけではないのです。
H25年度の決算で見ると 国保会計だけで見ても、H25年度末で約10億円 9億7000万円の基金があります。 加えて、9月議会でも答弁がありました。 年々の黒字額の半分を積み上げてきた財政調整基金が、H25年度末で、101億円と 過去最高の100億円を超える、これがH25年度の決算です。
今こそ、真の意味での日々の健康・暮らしを支える事業として、これらの財源を使っての社会保障料の負担軽減こそが、このH25年度にも行われるべきものだったと思います。
また、それに対して、H25年度を見ると、例えば介護保険料は県下19市中、最高額、国保税についても、菅谷市政以来、何度かにわたる値上げが行われ、重い負担の中でのH25年度の市民生活でした。
ここにこそ、いま松本市が求められる施策の核心があると思います。
医療や福祉は、その制度をつくり守ることはもちろん重要ですが、その会計を守るために、国保税や介護保険料を値上げする。
その結果、今の経済情勢の中で、介護保険料や国保税は払えたとしても、使えないどころか、(社会保障の負担が重くなって、)かえって健康を害してしまう。この制度があることによって市民の日々のくらしを縛る、実際にはこの制度がそうした状況になっているのが今の現状。結果的に健康も害してしまう
「健康寿命延伸」というのであればここにこそメスを入れる、 (これではまったく、制度が市民のくらしを縛る、逆の状況まさに、桎梏化の状況です。)
これで初めて市長の事業がさらに花開くと思います。
「砂上の楼閣」という言葉があります。
意味合いは2つあります。 ひとつは、たとえ階を重ねて高く良い建物をつくったとしても、土台がしっかりしていなければ、その建物も何の役にも立たないばかりか、崩れてしまう。
いくらいいものをつくっても役に立たたず、崩れてしまう。 現にそうした事態が生まれていると思います。
ここをただすことが求められます。
ここをただしてこそ、これまでの菅谷市政3期11年間の実績が生きると確信します。
砂上の楼閣のもう一つの意味にはもう一つ、実現しようもないもののことをたとえでの意味があります。
その点に関する懸念として申し上げれば、 それはズバリ経済の健康にかかわってのヘルスバレー構想です。
アベノミクスの中で、成長戦略、健康産業の創出と言っても、この松本市に新しい企業を誘致しての事業展開は、実に現実に難しい状況です。
現に新工場団地には2社しか入っていませんし、しかも今後 H26年度を経たとしても当面それが大きく改善されるという見通しは、答弁に在ったように見られません。
一見、雇用の拡大で、地域経済の発展につながるかのようなことが言われてまいりましたが、きましたが、本当にそうなるでしょうか。
実に、忘れもしません。H23年度には経済が上向いて(完売し)います。と本会議の中でいわれましたが、そうなっていないことは先ほどお話しした通りです。
世界に向けての発信としての構想も言われていますが、果たして、実際には、そうした構想通りにいくのかどうか、この懸念です。
雇用と地域経済にとって大事なのは、現に日本の産業の90%以上、大企業を土台から支えている市内の中小零細企業への支援こそ求められます。 この点は、第一番目の意味にも関連しますが、 土台の部分への十分な対策なくして、産業政策は、組み立てられません。
(既存の事業者への)対策が十分でなければ、雇用も確保できない、市内で働く労働者のくらしも大変になってしまう。現にそうです。
また、この間開発した、市内の別の工場団地に入っていた企業が、撤退するという事態が起こっています。
そして、今中小企業の中では、国保税が高くて払えない、企業の下請け単価が切り下げられて、いくら働いても、暮らしが楽にならないどころか、体を壊しても、病院にも通えない。
結果健康を害して、命を失わざるを得ない。 そうした事態も生まれています。
この面でも、国民健康保健という制度があっても、それをこの経済不況の中で利用できない実態があることは、H25年度の実態の中でもいくつか報告されました。
このように、今世界に向けた構想として発表され、市長が発信しようとしている事業に、果たして実現の見通しはあるのでしようか。また土台を支える中小企業のみなさんへの対策はどうなんでしょうか。
残念ながら、そうした事態に対する有効な策がとらえなかったのが、H25年の1年間だったといえます。
ひとつだけ申し上げるならば、制度資金にかかわる預託金の予算が大幅に減っている実態は今の中小企業のみなさんの実態が、お金を借りたくても借りられない、また貸してもらえない査定が厳しいそうした事態があることは行政のみなさん方も十分ご承知の通りです。
そうしたところへの策こそ必要。 まさに松本市政が「砂上の楼閣」と言われかねない、心配をする私もその内の一人です。
いい施策が展開されつつある、そして、一定の成果も上げつつある。
エビデンスということがこの1、2年言われていますが、それに耐えられるだけの実績も上げつつあることも事実です。
しかし、このままでは、一番の主人公である市民の日々の充実が行われなく、せっかくの施策も役に立たないことを指摘したいと思います。
もっともっと市民のくらし、業者の生業の足元に目を向けた施策が必要です。
以上を申し上げて、H25年度の決算に対する意見といたします。
以上
|