仙腸関節の機能異常について

 

仙腸関節(せんちょうかんせつ)はミラクルポイント!

近年、器質的な問題が原因であるもの以外の腰痛や四肢の痛みやシビレの原因の多く(およそ80%)は、仙腸関節を中心とした、脊椎や四肢の関節機能障害(神経の伝達異常)にあることが臨床的に分かって来ました。

また、従来は椎間板ヘルニア、変形性脊椎症(関節症)、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症などの器質的な問題が原因とされていた痛みの中にも、実際には、仙腸関節や腰椎椎間関節の機能障害に起因するものが多いということが分かって来ています。

仙腸関節(前方から)


仙腸関節(後方から)

数ある関節の中でも、仙腸関節は特別な存在であり、仙腸関節の機能障害をリセットするだけで、腰痛のみならず、背中、肩、腕、手、首、頭、膝、足、胸などの痛みや感覚異常が消失したり軽減することが、臨床的によく見られます。

また、仙腸関節の異常をリセットすると、他の関節に発生している機能障害が、何ら手を加えずとも自動的にリセットされることが、臨床ではよく見られます。

逆に、他の関節の機能障害をリセットしても、仙腸関節の機能障害はリセットされません。そうしたことから、仙腸関節は1次的(メジャー)な異常であり、他の関節の機能異常の多くは、仙腸関節により発生した2次的(マイナー)な異常であると考えられます。

つまり、仙腸関節は身体の様々な箇所に影響を与えていると同時に、身体の様々な部位に発生した痛みなどを解消、改善できる可能性を持つ「ミラクルポイント」だと言えます。

 

機能的な異常は画像診断(見た目)では分からない


ところが、仙腸関節の機能障害については、少々厄介な点があります。

それは、整形外科などの医療機関の多くでは、ここで取り上げている関節機能障害の有無が分からないという点です。

病院ではX線やCT、MRIによる画像診断が行われますが、それらは主に構造(形状や位置)の異常を写すものであり、機能(動きや働き)の異常である機能障害というのは、それらの画像には写すことが出来ません。

そのため、整形外科などの医療機関では、検査画像にヘルニアが写っていれば「椎間板ヘルニア」、関節軟骨に変形が見られると「変形性関節症」、骨の分離が見られたら「脊椎分離症」・・などの診断が下される事が多いのです。

また、検査画像にそうした異常が見られなければ、「異常ありません」「筋肉や筋膜の疲労」「年齢(老化)のため」「精神的な問題」「腰痛症(原因不明の腰痛の総称)」などの診断が下されます。

そして、そうした診断名のもとに、整形外科での治療を受けても治らないことから、やがて病院での治療に見切りを付け、多くの患者さんが民間療法などに足を運んでいる・・という訳です。

仙腸関節などの関節機能障害が、多くの痛みの原因であることは欧米では以前から知られていましたが、日本ではあまり普及していません。

最近では日本の医師の中にも、仙腸関節に着目し、それらの治療を行っているグループもあります。

しかし、未だ殆どの医師は知りませんし、或いは知ってはいても、実際にそれを見つけ出して修正する技術がありません。(そんなものは無いと言う医師もいる様です)


仙腸関節は可動関節!


仙腸関節の機能障害を理解するには、欧米発の関節運動学や機能神経学といった専門分野の知識が必要なのですが、日本の医学部ではそれらの科目は教えられていません。そればかりか、医学生時代の大学の授業で、「仙腸関節は動かない(不動関節)」と教えられた医師さえ大勢います。

欧米では、カイロプラクティックなどの分野で、仙腸関節が動く(可動関節)ということは、半世紀前には認識されており、英国の有名なグレイ解剖学書でも仙腸関節は可動関節として分類されていました。

ところが、筆者が学生だった80年代に使っていた日本の解剖学の本(東大医学部でも使っていたもの)では、仙腸関節は動かない関節として分類されていました。また、解剖学の授業を担当されていた(某医大でも教鞭をとられていた)先生は、「仙腸関節は動かない」と断言されていました。

どうしてこの様な見解の違いが生じていたのかと言うと、仙腸関節の動きは非常に小さく、亡くなってから時間が経過した検体による解剖では、既に靭帯などの軟部組織が硬くなっているために、元々僅かな動きである仙腸関節の動きを、確認することが出来なかったからです。

しかし、最近では、大阪大学大学院医学研究科の菅本教授らの研究グループが、X線、MRI、CTを用いた関節運動の3D解析により、仙腸関節の動きを映像化することに成功しています。

今日、仙腸関節=滑膜関節=可動関節、というのが世界では常識です。

但し、その動きは極僅かであるため、動くという表現よりも「あそびがある」という表現の方が適切かもしれません。

・・・業界事情はさておき、その影響を最も受けるのは患者さんです。画像診断と症状が完全に一致するかを厳密に調べ、それで間違いがないのであれば手術をするのも良いでしょうが、本当の原因は仙腸関節にあるのに、画像診断から安易に別の診断がなされ、手術をしたらどうなるのか?

手術をしたのに治らない、しばらくしたら再発した、術後に神経障害や合併症が発生した・・などの話を耳にされたという方も多いのではないでしょうか。

この様な理由から、病院で治療を受けていてもあまり改善しないという方はもちろん、特に手術を受ける予定だという方は(ダメもとぐらいな気持ちで)仙腸関節などの関節機能障害の評価&調整を試してみることをお勧めします。

なお、仙腸関節の機能障害の調整には非常に繊細な技術を要するため、一般的な骨盤矯正や体操では修正することは困難です。(特に揉む、押す、伸ばす、ボキボキ鳴らすなどの強い刺激というのはNGです)


関節機能障害(神経の伝達異常)が原因である可能性が高いもの


頭痛/顔の痛み/原因不明の歯の痛み/顎関節の痛み/かみ合わせの異常/原因不明の耳鳴り/ムチウチで長期間にわたる首の痛みやコリ/首の痛み/腕や手指の痛み、シビレ/肩こりの大半/肩の痛み/野球肘、テニス肘とされる痛み/背中の痛みやコリ/肋骨の痛み/腰痛/椎間板や軟骨の異常が原因と考えられている腰痛、および下肢の痛み、シビレの多く/老化や骨粗鬆が原因と考えられている腰痛の多く/軟骨の変形が原因と考えられている股関節痛や膝関節痛の多く/原因不明の大腿部、ふくらはぎ、足の痛み、アキレス腱や踵の痛み/成長痛とされている痛み/自律神経の異常とされている症状/便秘/生理痛/手足の冷え/むくみ/身体のゆがみ/など


補:米国医師会ジャーナルでは、腰痛の手術をおこなう前の保存的治療として、カイロプラクティック(科学的な整体)を試すことを勧めています。

補:米国医師会ジャーナルでは、病院での腰痛治療では17%が改善するのに対し、病院での治療とカイロプラクティック(科学的な整体)の治療を併用することで、腰痛の改善率が73%になることが記載されています。