腰痛・下肢痛の最前線

 

大きく変わった腰痛の常識!

 

 

近年の医学研究の進歩により、長い間、腰痛や下肢痛の主原因とされていた、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、脊椎分離症などの構造的な異常があっても、それらの殆どは、痛みを起こす原因ではなかったという事実が判明しています。

例えば、MRIやCTなどの画像診断機器で腰部を調べると、椎間板ヘルニアがあるのに何の症状も無い人達が大勢いることが分かっています。また画像では特に異常が見られない人でも、腰や下肢にヘルニア様の強い痛みやシビレを訴える人達が大勢いることが分かっています。

また、脊椎分離症・すべり症(腰椎辷り症)は、骨が前方にズレて腰痛を起こすとされているものなのですが、手術で異常な箇所を修復したにも関わらず痛みが取れないケースも少なくないのです。その一方、画像では分離症やすべり症があるのに、全く痛みの無い人達も大勢いることが分かっています。

参考資料

 

 

アメリカの医師Boosらの研究チ-ムは椎間板ヘルニアと診断された腰痛と下肢痛のある患者46名と年齢・性別・職業が一致する健常者46名の腰部をMRIで撮影し、研究内容を知らない放射線の専門医に診断させました。
その結果、健常者の76%に椎間板ヘルニアが、健常者の85%に椎間板の変性が確認されています。

(参考:国際腰痛学会/ボルボ賞受賞.1995年)

 

参考資料


 

デンマークの医師Sorensenらの研究チームは、60歳の住民666名を対象に撮影された胸部と腰部のレントゲン写真を分析しました。
結果、腰痛経験者358名のうちの58%、腰痛経験の無い者308名のうちの57.5%に変形性脊椎症(軟骨の変形)が確認されています。

(参考:医学誌Spine.1985)


こうした事実が明らかになったことから、今日の整形外科では、腰痛のおよそ85パーセントは原因不明(2012.整形外科診療ガイドライン)とされており、そうした腰痛への治療法というのは確立されていません。

そのため、整形外科では、85%を占める原因が特定できない腰痛に対し、(便宜上の)診断名を付け、以前と変わらない薬物療法、物理療法(牽引、温熱、電気)、マッサージ、体操指導などを行っているのが現状です。

原因が分からないのに(あるいは画像のみで判断し)、薬を出したり、治療をしている訳ですから、「整形外科で治療を受けているが、ちっとも良くならない・・」という人が多いのも当然のことだと言えるでしょう。


また最近では、腰痛についての誤った常識、または恐怖心や不安などの心理的なストレスが、原因不明の腰痛の一部に関わっている事が分かって来ています。

確かに、痛みに対する恐怖や不安が強い人、または日頃ストレスを抱えている人では、脳の痛みを抑制する部分の機能が低下するために、脳は痛みを感じ易くなる傾向があります。

そうした人には、脳による思い込みを切り替えるための認知行動療法などが有効なことがあります。

筆者の臨床経験でも、そうしたものが原因となっている腰痛もあることは承知しています。

しかしながら、心理的なストレスは、多かれ少なかれ誰にでもあるものですから、それ(不安や心理的ストレス)を原因不明(85%)の腰痛の原因の全てに当てはめるのにはかなりの無理がありますし、それで全ての腰痛が解決するとは到底考えられません。

 

2005年11月29日~読売新聞の「医療ルネッサンス」で「腰痛のケア」が特集されました。その中で、日本の腰痛治療の権威である、福島県立医科大学教授(現同大学学長)の菊池臣一先生は以下のコメントをしています。

 

「画像や問診から病名が付けられていますが、実は、画像と原因が明確に一致する例は少ないのです。腰痛の無い人でも、画像診断をすると3割の人に椎間板ヘルニアが見つかります。逆に、腰痛を訴えていても、半数近くの人には画像上の異常が見つからない。原因が特定できる腰痛は15パーセント未満・・省略・・腰痛はありふれた症状ながら、実はよく分かっていないのです。」

 

 

関節機能を正常化すると、痛みの多くは消失・改善する!

そうした中、当院には、総合病院や整形外科の治療を受けてもなかなか改善しない、痛いのに異常無しと言われた・・と訴える人が、数多く訪れています。

そして、当院ではそうした腰痛や下肢痛(含むシビレ)を訴えている患者さんの骨盤(仙腸関節-下図)や腰椎部の関節の機能障害(神経の伝達異常)を調べ、正しい状態にリセット(調整)しています。

すると、患者さん達が訴えてる症状の多くが消失したり、軽減したりしています。

残念ながら、腰痛や下肢痛を訴えて来院された方の全てに有効という訳ではありませんが、中には数日後に脊柱管狭窄症の手術を予定していた方の症状が消失したケース(手術は中止)さえもあるのです。

前側(腹)から見た仙腸関節

後側(背)から見た仙腸関節


尚、関節機能障害というのは機能的(動き、働き)な異常であり、見た目のゆがみや骨の位置のズレなどの構造的な異常ではありません。

臨床的に見て、腰痛や下肢痛の多く(80%以上)の原因は仙腸関節の機能障害にあると言えるのですが、機能(動きや働き方)の異常というのは、主に構造(形状や位置)を調べるX線やCT、MRIなどの画像では写し出すことができません。

そのため、一般的な医療機関(整形外科)では見逃されてしまうことも多く、現在のところ、関節機能障害の検出と調整は、専門的な知識と技術を習得した熟練者により行う他にはありません。

松本市、塩尻市、安曇野市ならびに近隣地域の方で、整形外科などの医療機関で保存的な治療を受けていても改善が見られないという方は、(出来れば手術を行う前に)仙腸関節機能障害の有無の確認&調整を試してみることをお勧めします。


補:米国医師会ジャーナルでは、腰痛の手術をおこなう前の保存的治療として、カイロプラクティック(整体ではありません)を試すことを勧めています。

補:米国医師会ジャーナルでは、病院での腰痛治療では17%が改善するのに対し、病院での治療とカイロプラクティック(整体ではありません)の治療を併用することで、腰痛の改善率が73%になることが記載されています。


補足:資料

 

アメリカのBarzouhi医師らの研究班は、腰椎椎間板ヘルニアと診断された下肢に痛みのある患者283名を、手術するグループと手術を行わないで保存療法を行うグループとに無作為に振り分け、その後1年間の追跡調査を行いました。

 

全患者の内、84%は良好な成績を示し、両者の成績に殆んど差は見られませんでした。また1年後にMRIを使用してヘルニアの有無(状態)を調べたところ、ヘルニアの残存率と患者の成績(改善率)とに関係性は見られませんでした。(参考:N England J Medcine, 368,2013.)

 


 

アメリカのJensen医師らの研究班は、腰痛や下肢痛の経験のない20~80歳まで、計98名の腰部MRI画像を撮影し、そこに腰痛と下肢痛のある患者のMRI画像27枚を混ぜ、実験の事を知らない2名の放射線専門医に読影させました。

 

結果、健常者の52パーセントに椎間板の膨隆が 、 27パーセントに椎間板の突出が、1パーセントに椎間板の脱出が見つかりました。「椎間板の異常やヘルニアという状態は、腰痛・下肢痛の無い健常者でもよく見られるもの」という事実が証明されました。(参考:NEngland J  Medcine, 331,1994.)

 


 

アメリカのBigos医師らの研究班は、腰痛のない健康診断受診者208名、急性腰痛の発症者207名、半年以上の慢性腰痛患者200名を対象に撮影された腰部X線写真を、2名の整形外科医によって読影させ、それぞれの異常所見の検出率を比較しました。

 

結果、脊椎分離症(健康診断受診者16.3%、急性腰痛発症者14.0%、慢性腰痛患者7.5%)、以下同順に、脊椎すべり症(4.3%、2.9%、4.0%)、脊椎軟骨の退行変化(27.8%、24.2%、36.5%)がそれぞれ確認されており、「X線画像で確認される背骨の変化は、腰痛と直接関係があるとは言えない」ということが証明されています。 (参考:Clinical,Orthopedic,283,1992.)

 



関節機能障害(神経伝達の異常)が原因である可能性のあるもの


頭痛/顔の痛み/原因不明の歯の痛み/顎関節の痛み/かみ合わせの異常/原因不明の耳鳴り/ムチウチで長期間にわたる首の痛みやコリ/首の痛み/腕や手指の痛み、シビレ/肩こりの大半/肩の痛み/野球肘、テニス肘とされる痛み/背中の痛みやコリ/肋骨の痛み/腰痛/椎間板や軟骨の異常が原因と考えられている腰痛、および下肢の痛み、シビレの多く/老化や骨粗鬆が原因と考えられている腰痛の多く/軟骨の変形が原因と考えられている股関節痛や膝関節痛の多く/原因不明の大腿部、ふくらはぎ、足の痛み、アキレス腱や踵の痛み/成長痛とされている痛み/自律神経の異常とされている症状/便秘/生理痛/手足の冷え/むくみ/身体のゆがみ/など