2010.6.7「議会報告会」
議員定数削減についての会派の立場
日本共産党・しがの風 池田国昭
すでに発表されている文書(P3にあります)に、補足、加筆して説明いたします。
「議員は、住民の直接選挙によって選ばれ、住民全体の代表者として議会を構成し、議会活動を通じて住民の個別意思を総合して(自治体としての)町や村としての意思を形成する任務を有する。」
その議員の「定数を定める要素は、議会が住民の代表機関であることにかんがみ、その選出母体である住民の数を考慮し、また、代表機関としての性格を有する合議体として、議員が一堂に会し、住民を代表しつつ、討論の過程を経て多元的な意思を統合し、町村の意思を決定するのにふさわしい規模であることが必要である。」
議員定数は、 「議会の根幹に触れる重要事項であるから、減少することは、議会制民主主義と民意反映の上から特に慎重を期すべきものである。」
以上は、全国町村議会議議長会 編集の 「議員必携」に書かれています。
議員定数問題は、煎じ詰めれば、民主主義の問題であり、民意の反映は、その根幹です。
その民意の反映という点では、 「1人より2人、2人より3人」と、一人でも多いほうがより多様な声が反映されることは論を待ちません。
議会自らが率先して「身を削る」必要があるといわれますが、実は、これは議員・議会の問題ではなく、市民の民意を削るという点で、市民の皆さん全体の問題です。
議員を削減しても、情報量、ITなどの活用(ICTの一層の進展)、議会事務局サポート体制の充実で、減員によるデメリットは解消できるとする論がありますが、重要なのは、表決権の数であって、議員の質、力量とか、調査量の強化とは、別の問題です。
どれだけ住民の意思を反映し、「決定」するかの議席は、そうした条件整備等で代替できない、民主主義においてかけがえのないものです。
次に、合併は、究極の行政改革といわれますが、それまでのその地域の議会という役割、地域の民意の反映の仕組みそのものを、強制的に削減する、民主主義のリストラです。
合併前、1市1町4村合わせて「100」議席が、定数特例での「42」を経て、「34」に減ります。
今回の合併によって、すでに地域住民は、十分すぎるほど「身を削っている。」といえます。
現在の42議席の定数特例は、合併地域の意思の反映という点からは、不十分ながらも合理的な制度であり、4村については、2回6年間でしたが、波田町については、1回1年間のみであったのは、実に残念なことでした。
だからこそ、合併協議の際の「定数特例制度終了後の・・ 議員定数を法定上限数(「38」)に近づけることを要望する」という平成16年8月12日付けの確認事項が実に重要です。
現に、広島県呉市が、条例定数から4つ増やしたことを紹介してきましたが、加えて鳥取県鳥取市では、定数特例「44」から、条例定数「32」になるところを、4人増やして「36」にしています。
いずれの市も法定上限数「38」にいかに近づけるかから、「38」を基準にした議論が特徴です。
合併で、定数特例終了時に、それまでの条例定数を減員しているところは、おそらくないのではないかと思われます。
また、昨年定めた松本市議会基本条例には、「基準は、人口、面積、財政力及び市の事業課題等を比較検討し、決定する」と書かれていますが、これが松本市議会全会一致の到達点です。
合併後、人口も面積も増えている中で、合併前より削減ということになれば、それはより慎重でなければなりません。
定数削減は、最初から、数の制限による多様な意見の制限ということになりますので、「減らす」ということになれば、民意の反映を犠牲にしても誰もが納得できる合理的な理由が不可欠です。
今回その理由に、財政、税収があげられていますが、議会関係の予算で、その経費の見直し、例えば議員報酬も含めて考えることであって、住民意思の反映という「定数」削減とは別次元の内容として扱うべきです。
議会制民主主義のいわば「自殺行為」ともなりかねない定数削減は、そうした観点からの議論が必要だと思います。
最初から、減らすことを前提とした議論であってはならない。
これが私たち会派の立場です。
前回は、「増やす」所に○印をつけましたが、今回「34〜38」としたのは、そうした意味があります。
以上です。
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