請願者の陳述
本日は貴重なお時間のなか、趣旨説明の機会を与えてくださり、ありがとうございます。
「手話言語法制定を求める意見書」を国へ提出をお願いいたしたく、お伺いいたしました。
今、私が表している手話は、この会場にいる手話通訳者が日本語に通訳して委員の先生方に伝えられておりますが、この手話は、かつては「手まね」とさげすまれ、ろう学校でも、手話を使うことが禁じられてきた時代がありました。
ろう学校では、口の形を見て話を理解する「口話法」での教育が、昭和の初めごろから長く行われてきましたが、口の形だけでのコミュニケーションは非常に困難です。
皆さん、今から私は2つの言葉を口の形だけで言いますので、私の口元を見てください。
1つ目 ・・・・ 2つ目 ・・・・
お分かりでしょうか?
今私は1つ目は「松本」、2つ目は「パスポート」と言いましたが、どちらも口の形が同じです。
口の形をじっと見ながら話を理解するのは、肉体的、精神的にも大きな負担です。
私は、ろう学校幼稚部に通ったのち、小学校からは聞こえる子どもと一緒に学びました。
先生の話はよく分からず、クラスでも友だちと楽しく会話はできず、いつも孤独を感じていました。
病院では、医者とスムーズに会話ができず、詳しいことがわからず不安になります。
交通事故では、手話通訳がつかないまま事故の処理が進められ、困ったという話も聞きました。
地震や台風などの災害時にはテレビに手話がなく、何が起きているのかわかりません。
ろう者は、手話がないことで、情報が入ってこない不安と孤独を、いつも感じています。
車いすの人にはスロープやエレベータ、みえない人には点字ブロックやガイドチヤイムがあるように、ろう者には、手話通訳などが必要です。
現在、手話通訳者の養成や派遣などが進められてきていますが、手話に対する社会的な認識はまだまだ十分ではありません。
手話は、ろう者の先人たちが苦難の歴史の中で大切に守り伝えてきた言語です。
ノーマライゼーション社会の実現をめざすためにも、聞こえる人たちの音声言語と同様に、手話で情報が得られ、あらゆる場で手話通訳が行われ、どこでも自由に手話が使え、きこえない子どもが手話を身につけ、手話で学ぶことができるように、法整備が必要であると考えます。
請願の趣旨をご理解いただき、採択、そして意見書の提出をぜひともよろしくお願いいたします。
以上、趣旨説明を終わります。ありがとうございました。
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