2012年12月27日
松本市長 菅谷 昭 様
2013年度 松本市政に対する政策・予算要求
日頃より市民のくらし福祉向上のため、数多くの制約や困難の中、市政運営に献身されておられますことに、まず最初に心からの敬意を表します。
12月16日投開票で行われた総選挙で、自民・公明両党が、320を超える議席を獲得し、自公政権が復活する結果となりました。
しかし、この結果は、3年4カ月の民主党政権の失政への国民の怒りがもたらしたものであり、自民党の首脳自身が自ら認めているように、自民党への国民的期待が広がった結果ではありません。
大不況のもとでの大増税が何をもたらすか、原発問題をどう解決していくのか、TPP問題や米軍基地問題、領土紛争など外交の諸懸案など国民から提起されたこれらの切実な問題に対して、自民・公明両党は、答えも展望も持っていませんでした。
憲法改定を公然と掲げる自民党政権が生まれ、自公を中心とした「増税連合」に続き、「改憲連合」がつくられようとしているきわめて危険な動きがありますが、この道を強行しようとすれば、平和を願う広範な国民世論、アジア諸国民の世論との、激しい矛盾を引き起こさざるを得ないでしょう。
「9条」改定問題は、たんなる日本の国内問題ではありません。
アジアへの侵略戦争を起こした日本が、二度と誤りを繰り返さないという国際公約でもあるのが憲法9条です。
9条を守り抜き、9条を生かした平和外交でこそ、アジアと世界の信頼を得る日本となることができます。
特に最大の焦点であった「デフレ・不況対策」については、そのまま実行しようとすれば、矛盾と危機はいっそう深刻にならざるを得ません。
新“アベノミクス”は、「無制限の金融緩和」と「公共事業のばらまき」を「カンフル剤」にして「デフレ対策」をやった上で、消費税増税を実施しようというものです。
しかし、国内総生産(GDP)も、国民所得も、20年前の水準に落ち込んでしまいました。
勤労者世帯の年収は、ピーク時から平均で100万円も減っています。
国民の所得が減り続け、経済成長も止まる、こんな国は、先進国の中でも日本だけです。
こんな時に消費税増税を行ったら、まさに日本の景気の底が抜けてしまいます。
松本市民のみなさんの生活ぶりも、悪化の一途をたどり、実際、市民の所得も減少傾向です。
社会保障の問題もしかりです。
民自公は、解散前のどさくさのなかで、年金支給の削減法を強行し、さらに、今後、3党が密室談合で決めた「社会保障制度改革推進法」にもとづき、医療費の窓口負担増、国保税の値上げ、介護保険のサービス取り上げと利用料の引き上げ、保育制度の改悪、生活保護の門前払いや強権的な打ち切りなど、あらゆる世代に激烈な“痛み”を押しつける「改革」を行っていくことを宣言しています。
早い話が、負担増と医療・福祉サービスの切り下げです。
お金がなくて、病院にいけない、病気治療を中断せざるを得ない実態は、この松本市内でも年々増えてきています。
所得の低下とゆとりのなさが、こうした実態の背景に横たわっています。
国保制度を維持するための「安定」した財政運営と称して、松本市でも国保税の引き上げが連続的に行われて、市民負担がどんどん増えてきていますが、国保会計を維持するための国保税の引き上げが、市民の健康を害するという主客転倒の事態、これでは、真の健康寿命延伸とはなりません。
今、地方自治体に求められる施策は、市民のくらし、命と健康を守り、子どもたちの健全な成長と未来の保障、そして地域経済の立て直しと活性化です。
そのために必要なことは、地方自治体として市民の負担を軽減し、市民の所得を増やす、家計を応援し、内需を活発にする施策に本格的に踏み出すことです。
内需を活発にしてこそ経済が活性化する、この経済法則に適った施策の実施が必要です。
いまこそ、いままでの方策からの勇気を持っての抜本的転換が必要です。
また、国政と無関係の中での地方政治はあり得ません。
国の政治との関係でも、「国政問題」とせず、市民の生活を預かる松本市としての政治姿勢を明確にすることが必要です。
以上、地方自治体の在り方の基本を申し上げながら、以下、来年度の予算編成と今後の施策について申し入れを行います。
日本共産党松本市議団
団長 池田 国昭
幹事長 南山 国彦
事務局長 澤田佐久子
― 「住民福祉の機関」にふさわしいまちづくりのための8つの施策
―
1、 憲法改悪を阻止し、憲法を市政に生かす
衆議院選挙の結果、憲法をめぐる動きは重大な局面を迎えています。
自民党の「日本国憲法改正草案」では、天皇元首化、国旗・国歌の規定、「国防軍」の保持、家族の尊重、緊急事態宣言などが想起され、日本維新の会の石原代表は、「内閣が憲法の破棄を宣言して即座に新しい憲法を作成したらいいのだ」などと、“クーデター的手法”による改憲論さえ公言しています。
こうした明文改憲への動きが本格化する一方で、自衛隊が米軍といっしょになって戦争できるようにする「集団的自衛権の憲法解釈」を全面的に変更する解釈改憲論の動きも急浮上しています。
こうした動きを国民、市民は許しません。
平和都市宣言をしている地方自治体として、「二度と戦争を許さない」の発信が求められます。
憲法9条に基づく平和行政を引き続き強力にすすめる。 日本の侵略戦争の事実を正確に教える小中学校での平和教育をはじめ、さらなる平和行政を市政に位置付ける。松本市として戦争の歴史や戦跡の保存をおこない、歴史の事実を風化させない。
国連軍縮会議の成功を受けて、核兵器のない世界に向けた取り組みを具体化し、「即時原発ゼロ」を世界に向け発信する。
さらに1年を通じて平和事業を展開する。
国民保護計画にそった訓練の実施は行なわない。
2、市民生活を守るための、安心して暮らせるまちづくり
地方自治体が、市民の命とくらしを守る「住民福祉の機関」としての地方自治体本来の役割が今ほど求められることはありません。
真の意味で健康寿命を延伸させる施策をすすめる。
「健康寿命延伸都市・松本」の実現には、まず市民のくらしの安定した土台が必要です。
病気への予防策だけではなく、現にお金がなくて、病院にかかれなかったり、治療を中断せざるを得ない患者の実態を把握し、行政としての対策をとる。
国保制度は「相互扶助ではなく社会保障制度の原点」に立ち返り、行政の役割を果たす。
市民の命と健康を守るために、一般会計からの繰り入れで国保税・介護保険料を引き下げる。
また低所得者、弱者への減免対策のさらなる充実が必要です。
国民健康保険証はまさに「命綱」です。引き続き、お金が払えないことを理由とした保険証の取り上げ、資格証明書・短期保険証の発行はやめ、安心して医者にかかれる環境をつくる。
国保証更新時の原則全世帯発行は前進ですが、引き続き「無保険状態」とならないようにする。
また、未交付のなかに発行すべき対象者がいないか調べ、郵送の方法もふくめて全世帯に発行する。
国保の広域化には、参加しない。
高齢者に公費助成しているインフルエンザ予防接種について、あらかじめ問診票を同封したことは前進ですが、同封された通知書(接種券)を忘れてしまうケースが増えています。更なる改善をお願いします。
「改定」介護保険によって、さらなる公費抑制と軽度者の排除が行われ、「保険あって介護なし」をいっそう進めるものとなっています。
軽度者がいままで通り介護保険を利用できるように市独自の財源保障と施策が必要です。
また、一次判定の際の医師の「意見書」を重視する。
施設不足の解消、介護職場の待遇改善をすすめる。
同居家族のいる場合の訪問介護サービスの生活援助の提供については、これまでどおり「必要な」サービスの提供が受けられるようにする。
特にケアマネジャーが自信と誇りを持って仕事ができるように行政としてサポートする。
生活保護基準以下のくらしを強いられる階層は高齢者・若者に限らず、全世代に広がっています。
具体的な対策をとるため、市の責任で実態調査を行なう。
低所得者の固定資産税の減免の実施。
生活保護申請時、車の保有、預貯金などの取扱は生活保護法の精神に則り、かつ実施要領にそって保護が受けられるよう誠実な対応をする。
収入見込み認定に当たっては、保護費の支給で、空白期が生じないようにする。
相談に来る外国人の対応については、通訳できる職員の増員など行い、外国人であることをもって不平等な扱いにならないよう配慮する。
生活保護の申請書は窓口に置き、申請意思のある人には無条件で申請書を渡す。
相談者の人権・プライバシーをまもるため、面談は相談室を原則にする。また相談室の充実をはかる。
正規のケースワーカー職員を増やし、一人当たりの担当件数を適正にし、職員が「福祉の心」と仕事に対する誇りを持って、きめ細やかな相談・援助を行えるようにする。そのための職員研修を充実させる。
要保護世帯向け長期生活支援資金としてのリバースモーゲージ制度は導入しない。
後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を求める。
福祉医療制度を受けている高齢者については、不利益が生じないようにする。
高齢者が住みなれた地域で安心して生活が送れるように支援する地域包括支援センターの役割は、ますます重要となっています。
財政的裏づけも含めた体制の強化を求めます。
火災の場合のみならず、緊急避難的に入居できる「福祉住宅」「緊急避難住宅」などの施策を充実する。
多重債務やサラ金問題など消費者問題とともに、くらし、住宅、仕事などに係わる総合的な相談のできる、ワンストップ対応型「くらし相談窓口」を設置する。
生活困窮者のため、年末年始に「雇用・生活」相談窓口を設置する。
生活者の目線に立った安心できる「まちづくり」をめざし、市民との協働をすすめる。
高齢化社会の中での「くらしの糧」としての、交通弱者の交通手段の確保を中心に据え、環境問題を考慮し、新公共交通システムを住民の意向を踏まえて構築を急ぐ。
同時に細かな地域での懇談会を開催し、多様な意見を聞く。
歩いて暮らせるまちづくりをすすめるためにも、商店街や小売店を「地域の共有財産」と位置づけ、商店街振興対策予算を拡充する。
「空き店舗」の借り上げ、改装費などへの補助を拡充する。移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保などを行う。
「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保など、施策を展開する。
アルピコバスと市独自の乗り入れバス、地域振興バスなどの組み合わせ、「ドアツードア」のデマンド交通の本格的導入、それが出来ない場合の高齢者へのタクシー利用補助などの対策を考える。
市内交通空白地域克服への対策を具体化する。
パーク・アンド・ライドをさらに推進する。
くらしが大変で、水道料金を払えない家庭が増えていますが、徴収率アップのための指定管理者による水道料金の強制的な取立てはしない。
高齢者・低所得者や子育て世代・若者が市営住宅並家賃で暮らせるよう、民間住宅入居の際の家賃補助制度を新設するなど、「住まいは福祉・住まいは人権」の観点で住宅行政を充実させる。
3、地方自治体として、内需を活発にする施策に抜本的に切り替える
既存の業者の経営を守り、雇用と労働条件を守り地域経済の立て直しをはかる。
消費税の大増税を中止し、大企業の260兆円の内部留保を雇用や中小企業に還元する方法を本格的に実施に移すことを、地方自治体としても政府に求める。
市内の大企業によるリストラはやめさせる。
解雇規制法の制定に向け、松本市としても、国に働きかける。
企業の大規模な人員削減計画に際しては、松本市への事前通告と再就職援助など雇用確保への努力を義務づける。
正規雇用を原則に、有期雇用を規制させるための労働者派遣法の抜本改正、有期雇用は合理的理由のある場合に限定、非正規や女性への不当な差別をやめさせ均等待遇を保障するなどのルールづくりを国に働きかける。
長時間労働を是正し、労働時間短縮で雇用を創出する。
実際に、市役所内でも常態化している「残業」、「早朝出勤」の根絶、残業時間の法的規制、有給休暇の完全取得、深夜・夜間労働の規制などを行なう。
労働時間短縮と育児・介護休暇を取りやすくすることは、仕事と子育ての両立にも寄与します。 最低賃金を大幅に引き上げるために、市として、公契約条例をただちに制定する。
中小企業の最低賃金を引き上げるための資金援助などの支援を国に求め、市職員の賃金引き下げは行わない。
下請け取引を適正化し、「単価たたき」などの不公正な取引をやめさせる。
地域住民の意向を無視した出店・撤退など大型店の身勝手を許さないルールをつくる。
中小企業関連予算を増やし、本格的な振興をすすめる。
市内の業者の悉皆調査を市の直接責任で行い、経営の悩みを聞くと同時に、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など、中小企業への支援を強化する。
生活密着型の公共事業への転換、市としての地元企業への発注増を推進する。
「住宅リフォーム助成制度」は、使いやすい制度に改善をすすめ、継続する。
中小企業・自営業者がその役割を存分に発揮できるよう、中小企業憲章を基に、「中小企業振興条例」を制定し、振興施策を実施する。
「全事業所実態調査」を行い、地域の中小企業の実態を把握し、得られた情報を施策に活かす。その際、商工施策だけでなく、福祉やまちづくりなど市の幅広い施策に反映させる。
技能五輪を機に、後継者対策に力を注ぐ。
ものづくり技術の継承、産・官・学連携のものづくり・技術開発は地場産業との連携を図り、新製品の販路・流通までの支援を行なう。
豊かな観光資源と松本地域の良さ(特性)を生かし、松本市の歴史と文化、市民の暮らしぶりにも触れられる滞在型で魅力ある観光都市・松本を売り出し、まちづくりにつなげる。
市内の雇用労働の実態調査を行い、非正規雇用や請負労働者の実態を把握して「安定した雇用」と「人間らしく働ける労働条件」の確立をはかる。
ワーキングプアや失業者のために、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの生活支援を早急に実施できるよう、条件整備をすすめる。
また、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設し、手続きは素早く行なう。
ニートとよばれる若者に対して、より人間らしく成長し働けるよう、相談、教育、社会体験や職業体験、就労などの支援を「継続」して行なう。
4、子どもと教育を守り、誰もがあたりまえに地域で暮らせるまちづくり
日本国憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる新しい教育基本法制定を国に求める。
子どもの権利条例の制定においては、子どもの権利保障を子ども施策の柱として整備すること。
とくに虐待やいじめ、不登校、貧困など子どもの相談・救済のための制度を明確に位置づける。あわせてまちづくりへの子ども参加の仕組みなどが必要です。
大人社会の貧困問題が、子どもたちに暗い影を落としています。貧困から子どもを守る視点での施策、教育行政の総点検を行なう。
「教師を語ることは教育を語ること」教師の多忙化の解消、負担軽減は急務です。それが、子どもたちの学力と豊かな成長を保障する事に直結すると考えます。
そのために教育委員会が「子どもの最善の利益」を守る立場で、最大限の努力をすること。
中学校までの「30人学級」の早期実現。
不登校児童対策をきめ細やかに行なう。
猛暑対策として、小中学校の保健室にはエアコンを、当面全教室には扇風機の設置を求めます。
児童・生徒への対応として、スクールソーシャルワーカー(SSW)の更なる増員を県に求める。
深刻さを増す子どもたちの「いじめ」に対しては、まず子どもたちのかけがえのない命、心身を守り抜くこと。つぎに、なぜここまで深刻な事態になったのか、その根本には教育や社会のあり方の問題があるととらえて、改革に着手する。
学校現場でいじめの相談があったときは、何をおいても対応する「子どもの命優先の原則」(安全配慮義務)を徹底する。
被害者の安全を確保し、加害者には「いじめ」をやめるまでしっかりと対応する。
その際、児童相談所などの専門機関、心理臨床家や医師等の専門家、被害者団体などと連携することも大切ですが、警察は子どもの教育や更生の機関ではないので、過度に依存することがないようする。
いじめの松本市の独自の調査基準に沿って、いじめの事態を掌握するとともに、国の「競争」をあおる教育政策の根本的転換とともに、教育現場での実践や教育学の成果を踏まえた取り組みをすすめる。
子どもたちに過度のストレスを与えている「競争と管理」の教育から脱却する。
「つめこみと競争」をさらに助長する全国学力テストには参加せず、子どもたちが人と人との間で生きる喜びを感じられる教育、社会を大人の責任で実現する。
子どもたちと若者のための音楽室の設置など本格的な居場所作りを行なう。
現在の社会で情報が氾濫している中、インターネットの裏サイトなど、子どものネット情報をつかんで、子どもの生活環境を整える。
子どもの基礎的学力を保障し、人間形成を助ける学校づくりをすすめる。
義務教育における父母負担の軽減。要保護児童生徒援助費の交付対象の拡大。
学校給食センターの民間委託はおこなわない。将来的には、自校給食に戻す。
家計がいっそう苦しくなる中、授業料などの負担増や滞納問題が深刻化しています。そのため、厳しい経営を迫られている私立学校に対して、私学助成をさらに拡充する。
今年6月、民主・自民・公明などの賛成で、自立支援法を事実上恒久化する「障害者総合支援法」が成立してしまいましたが、自立支援法の実質上の延命を許さず、抜本的に見直しを求め、骨格提言にそった総合福祉法の制定に向けて、国に強く働きかける。
障がいのある人、誰もがあたりまえに地域で暮らせるように、医療的ケアや24時間の見守りの体制、ケアホーム・グループホーム、ホームヘルプの体制、タイムケアなどのレスパイトサービスなどをさらに整備する。
障がいのある人は、働く意欲があっても仕事に就けない状況があり、障がい者就労支援事業所の仕事も低工賃の現状です。
市の職員としての雇用の検討や市の委託の仕事を増やすなど市独自の障がい者の仕事の確保の取り組みが求められます。
障がい児のライフステージを通じた一貫した療育が受けられるように療育システムを構築していく。就学、就労などの相談支援事業の充実のために総合相談窓口となる療育支援センターを設置する。
OT(PT)・心理・保育士・教員等の専門スタッフを配置、早期療育と5歳児健診の実施、発達障がい児の集団療育の実施などをとおして松本市の障がい児療育の充実をはかる。
「合理的配慮」という最新の到達点にたった障がい児(者)対策の実施、充実。特に発達障がいの子どもの療育は緊急の課題となっており、保育所、学校現場との連携も図りながら、療育を進める。
また、長野県が進める発達障がい者支援センターとの連携が進むように働きを強める。
軽度発達障がい児教育に関する教職員の研修の機会を増やす。
子どもの弱視対策、検診の年齢の引き下げ。
安心し、ゆとりを持って子どもを生み育てるための「子育て支援」策を、引き続き進める。
また、ひとり親家庭をはじめ、子育て世帯に援助する施策を拡充する。
児童扶養手当の充実。
福祉医療は所得制限なしの窓口無料化、子どもの医療費は「窓口無料化」を重要課題として位置づける。
公費負担による妊婦検診の回数は14回で継続する。深刻な産科医師不足対策を強める。出産育児一時金の増額を行なう。
ワクチン3点セット(子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌)への助成を継続して行なう。
未満児保育、障がい児保育など松本市のよき保育行政の歴史と伝統を守り、独自の配置基準に見合った人員配置と施設整備とともに、「マンモス」保育園の解消、希望する保育園への入所ができるように施策の充実をはかる。
「こども・子育て新システム」には反対し、安心して子育てできる環境を確保する。 自治体病院としての役割が十分果たせるよう、波田病院は「市立病院」を堅持し、運営する。
保育園での正規職員を増員し、当面嘱託職員の採用期間の延長と手当ての充実をはかる。
放課後児童クラブ事業は「安心して働け、子どもの成長を支える」子育て支援策にふさわしい位置付けを明確にし、運営基準のさらなる充実。
指定管理者制度でも「公設公営」の今までの松本市での実績、経験を後退させる事なく、関係者との協働で、より質の高い発展したものに作り上げていく。
学童クラブ(放課後児童育成クラブ)への補助を増額する。
また、児童クラブ事業との利用者負担は平等にする。
放課後子どもプランの推進にあたっては、放課後児童クラブ事業と放課後子ども教室の違いと役割を明確にして各々の充実をはかる。
5、農林業を再生し、地域経済活性化策として本格的に位置づける
東日本大震災は食料の確保が人間の生存や社会の安定に欠かせないことを改めて突きつけました。
今年に入り国際的な食料価格の高騰が再燃するなど、21世紀の世界は、「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代ではなく、同時に地球環境の保全も人類死活の課題となっています。
いま農林業を再生し、食料自給率を回復することは、国民の生存の根本にかかわる「待ったなし」の課題です。
日本農業と地域経済、国民生活を土台から破壊し、国の形まで変えてしまうTPP(環太平洋連携協定)参加に断固反対を表明し、食料主権を保障するとともに、米価安定のための抜本的対策を国に求める。
「食料主権」「食糧自給率の引き上げ」「地産地消」「農産物の価格保障と農家の所得保障」対策を内需拡大として本格的に位置づけ、市独自の対策を強化する。
遊休荒廃農地に対する実効ある対策の強化。
大規模農家、家族農業を支え、新規就農者育成支援と後継者支援施策をより拡充する。
安心・安全な食糧確保の観点からも地元農産物の給食材への供給など地産地消をすすめる。
また、地元農畜産物や特産品の支援・育成を強め、松本市の農業を守り発展させる。
地域資源の活用と市民の健康を守る地産地消、食育の推進、食の安全、環境保全を基本にした仮称「松本市食と農のまちづくり条例」の制定をめざす。
真の地域農業活性化に生かされる農・商・工連携事業の推進をはかりつつ、農地の利用は、農家とその共同組織を優先し、株式会社一般の農地進出に厳しい監視と規制を強める。
そのためにも、農業委員会の体制を強化し、必要な予算を増額する。
また、公選を基本にした農業委員の構成と農業委員会の必置規制は堅持する。
有害鳥獣対策は該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行なうよう求める。
県とも連携し広域的な対策をすすめると同時に、里山整備をすすめ、動植物の生態系保護や増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域を設けるなどの取り組みをすすめる。
防護柵・わなの設置、捕獲物の処理施設の設置など、農家への支援をさらに強める。
適切な森林整備と国産材の供給体制を確立し、地元産の木材を使った公共施設や住宅の建設などの林業・木材産業の再建をはかる。
広がりつつある「松くい虫対策」を強化する。
木質バイオマスや森林セラピーの推進など山村地域での新たな事業を促進する。林業労働者の確保と林業技術の継承を重視し、持続的な経営管理にとりくむ。
間伐の助成を強めるとともに境界の確定を促進し、生態系や環境保全に配慮した技術の確立と助成制度で、林道・作業道など生産基盤の充実をはかる。
6、地球温暖化対策の遅れを克服し、「人にやさしく環境を大事にする松本」をめざして
改めて「即時原発ゼロ」の立場を明確にし、松本市として本格的な自然エネルギー政策に転換し、再生可能エネルギーの導入を急速にすすめる。
環境基本計画と一般廃棄物計画をリンクさせ、本格的な「ゼロウェイスト」自治体を目指す。
地球温暖化対策実行計画の実施に当たっては、温室効果ガスを2030年度に07年度比で30%削減という中期目標の達成を確実にするために、各施策を強力に推進する。
とくに「エネルギーの地産地消」をすすめるため、再生可能エネルギーの利用促進をはかる。 大量生産・大量消費・大量廃棄の経済からの転換をはかる新産業政策、グリーンニューディールを推進し、これにとりくむ中小企業・中小工務店への仕事おこし、技術開発と普及を支援する。
温室効果ガス(CO2)削減など地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、「松本市地球温暖化防止条例」を制定する。
太陽光発電の普及を拡大するための「融資制度」の創設、「市民ファンド」への支援などの施策をさらに推進する。
設置補助金の増額や公共施設への設置、特に市内のすべての小中学校に「ソーラーパネル」を設置し、子どもたちへの環境教育をすすめる。
BDF(バイオディーゼル燃料)精製プラントの高機能化、利用車両の拡大などをすすめる。
バイオマス、雨水利用、小規模地域水力発電所など自然エネルギーの開発を促進し、より温室効果ガスの排出量の削減に努める。
ペレット燃料の生産やペレットストーブの公共施設への設置などについては、市としての財政的支援を強化し、具体化をさらにすすめる。
太陽光、小型風力、ミニ・マイクロ水力、バイオマス、地熱など再生可能エネルギーの開発と普及に積極的に取り組む。
また、これらを推進する市内中小企業への支援を行なう。
「焼却中心主義」から、5R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル、リフォーム)の推進、特に「発生抑制(リデュース)」に努め、プラスチック類の再資源化など限られた資源の有効活用をさらにすすめる。
今後もごみの有料化はせず、ごみになるものを「買わない」「使わない」「出さない」「分別の徹底」など市民と協力し、ごみの減量をすすめる。
買い物袋持参運動をすすめる。
廃棄物の不適正処理や保管、不法投棄とそれによる環境汚染に歯止めをかけ、違法行為の「やり得」を許さないために、違反者への「厳格な指導と監督」を県に求める。
廃棄物処分場周辺の環境調査(水質・大気・臭気・アスベスト・植物・昆虫などの生態系)をより充実させ、周辺住民が安心して暮らせる生活環境の保全をはかる。
7、危機管理体制の確立
東日本大震災、「松本震災」を教訓に「想定外」をつくらず、あらゆる災害に備えた対策をとる。
応急対策の再検討・充実はもちろんのこと、何よりも災害を未然に防ぐ、また災害を最小限に食い止める「減災」という防災本来の在り方から、地域防災計画の見直しを行なう。
復旧・復興対策についても、検討が必要です。
障がいのある方やお年寄りのための避難所などの整備については、バリアフリートイレ、生活空間間仕切りには、精神障がい、行動障がいの方たちにはテント式のものなど、しっかり安心できる空間の確保が必要です。
さらに、「フクシマ」の現実は、すでに想定外ではありません。
「即時原発ゼロ」を強く発信するとともに、あらためて被災者及び避難者、とりわけ子どもたちへの支援を引き続き積極的に行なう。
特に子どもたちの命の大切さ、とりわけ内部被ばくが人体に悪影響を与えるおそれについて、今後も全国に向け発信する。
「地域福祉力」は「防災力」の位置づけで、地域でのつながりを生かした地域自主防災組織の確立・充実をはかる。
防災マップの周知と充実を徹底する。
災害時など、要援護者登録制度に関して、配慮を持った情報開示を行なう。
包括支援センターとの連携を強めて、地域防災力を高める。
防災拠点としての出張所の位置づけを高め、学校など公的施設との連絡・通信網の整備、拡充をすすめる。
人的消防力の強化など、広域連合に、消防体制の強化を申し入れる。
消防団員、消防署員の自身の安全確保対策を図るとともに、引き続き消防団と団員の待遇改善をすすめるとともに、団員のさらなる確保につとめる。
開発や土地利用の変更にあたっては、災害にどのような影響があるかを事前にチェックする 「防災アセス」を導入する。
免震構造を持つ新たな防災センターの設置を急いですすめる。
ボランティアを含めた住民の知恵と力を取り入れ、地域防災計画を見直し、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化する。
地方自治体の避難情報の伝達が的確におこなえるようにするため、気象現象などの相談窓口として地域の実態をふまえた防災センター機能の強化・確立をはかる。
8、市民との合意を大切にした、「市民が主人公」の市政・まちづくり
松本城を中心とした松本のまちづくりは重要ですが、お堀復元事業は、当初の約束通り、関係住民の100%の合意と市民の合意が得られない限り進めない。
道路拡幅事業は南・西外堀の復元事業と切り離し、今の市民生活の実態との関係で当面凍結すべきです。
また、渋滞対策としての道路拡幅は再検討すべきです。
まつもと市民芸術館の運営については、市の財政状況と市民生活の実態を考慮しながら、自主事業の縮小、芸術監督制度の見直しなどをすすめる。
市民のだれもが、芸術文化を享受でき、明日へ生きる希望がわいてくるような、文化芸術行政のすすめる。
主要施設への磁気ループの設置。
発掘調査を進めている殿村遺跡は、歴史的・文化的価値を調べ、保存活用をする。
市の幹部職員や各種審議会へ女性の登用率を高めるなど、男女共同参画をすすめる。
合併5地区については、新市建設計画に沿い、地域の伝統・文化を守るまちづくりをすすめる。
地域協議会・地域審議会での十分な協議を重ね、その地域が取り残されることがないように、またこれまでよりサービス低下がおきない配慮を持ってすすめる。
支所機能の見直しにあたっては、改めて地域住民の声に応えて慎重にすすめる。
予算編成過程の公開・意見集約は、市民と行政との協働の画期的な成果として今後も実施し、パブリックコメント等の活用で、市民みんなでまちづくりを進める観点からの予算編成を行なう。
引き続き市の財政状況をはじめとした行政情報の公開を積極的に進め、「参画」「納得」の市政運営で、「市民が主人公」のまちづくりを行なう。
保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野でのNPO活動を支援する。
以上
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