後世の"審判"受ける偽り
なんとも残念な場面でした。イングランドのFWクラウチ選手が15日のトリニダード・トバゴ戦で見せた行為です。
0―0で迎えた終盟。ベッカム選手の素晴らしいクロスを彼がヘディングで決めました。 イングランドにとっては、のどから手が出るほど欲しかった1点。
高い打点で見事なヘディングは、スロービデオでも何の問題もなく映りました。
しかし、後でテレビに流れた、別の角度の映像をみてびっくり。
クラウチ選手はあの場面で、相手DFの、後ろで束ねた長い髪を引っ張り、ジャンプできないようにしていたのです。
日本の上川徹さんが主審でしたが、これは審判から見えない巧妙なものでした。
クラウチ選手の反則行為に限らず、今大会も選手がシャツなどをつかむことが相変わらず多く、より審判の目を欺こうと"高度化"していることに驚かされます。
審判が、それを見抜く目を持つことはもちろん必要でしょう。しかし、それだけではどうにもならないところまできている気がします。
審判の目をごまかしての勝利や成功には、何の価値もありません。それどころか、自分自身とサッカーをおとしめているだけです。
フェアにプレーする姿勢をもう一度、選手が見つめ直してほしい。
そして、このW杯で真摯(しんし)にプレーする姿をみせてもらいたい。
マラドーナの「神の手ゴール」のように、偽りの得点やプレーは必ず、後世の"審判"を受けるのですから。
(フランクフルト 和泉民郎)
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