共同宣言
暴力を排し 議会主義を守れ
6月15日夜の国会内外における流血事件は、その事の依ってきたる所以を別として、議会主義を危機に陥れる痛恨事であった。
われわれは、日本の将来に対して、今日ほど、深い憂慮をもつことはない。
民主主義は言論をもって争わるべきものである。
その理由のいかんを問わず、またいかなる政治的難局に立とうと、暴力を用いて事を運ばんとすることは、断じて許さるべきではない。
一たび暴力を是認するが如き社会的風潮が一般化すれば、民主主義は死滅し、日本の国家的存立を危うくする重大事態になるものと信ずる。
よって何よりも当面の重大責任をもつ政府が、早急に全力を傾けて事態収拾の実をあげるべきことは言うをまたない。
政府はこの点で国民の良識に応える決意を表明すべきである。
同時にまた、目下の混乱せる事態の一半の原因が国会機能の停止にもあることに思いを致し、社会、民社の両党においても、この際、これまでの争点をしばらく投げ捨て、率先して国会に帰り、その正常化による事態の収拾に協力することは、国民の望むところと信ずる。
ここにわれわれは、政府与党と野党が、国民の熱望に応え、議会主義を守るという一点に一致し、今日国民が抱く常ならざる憂慮を除き去ることを心から訴えるものである。
昭和35年6月17日
産経新聞社
毎日新聞社
東京新聞社
読売新聞社
東京タイムズ新聞社
朝日新聞社
日本経済新聞社
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