2010年11月30日  

 松本市長  菅谷 昭  様

2011年度 松本市政に対する政策・予算要求

 


「5つの提案と7つの特別課題」
市民の命とくらしを守る最後のセーフティネットとしての地方自治体の役割に関連して


 一昨年秋の「リーマン・ショック」以降の日本の経済危機は、世界のなかでもとくに深刻なものです。
 日本の2009年のGDP(国内総生産)は前年比マイナス6・1%。
  10年間(1997年〜2007年)をみると、日本は主要7カ国のなかで、ただ一国だけGDPが伸びていない、「成長の止まった国」になってしまいました。
  また、ただ一国だけ雇用者報酬が減っている、「国民が貧しくなった国」にもなってしまいました。
  加えて、昨今の円高・デフレなどにより、離職した労働者は724万人、民間賃金の減少は平均23万7千円(年間)と過去最大の下落です。
  円高関連倒産が前年より15%も増加し、国民生活は悪化の一途をたどっています。
 地域経済と地方自治も、長年の自民党政治の行き詰まりとそれが民主党政権に引き継がれ、これまでにない深刻な危機に陥っています。
  「改革なくして成長なし」の「構造改革」の名による新自由主義の経済政策は、住民の福祉と暮らしを破壊し、地域経済の担い手である中小企業、地場産業、農林業に深刻な打撃をあたえ、地域経済の衰退を加速させただけでなく、貧困と格差を劇的に拡大し、日本経済の歪(ゆが)みと矛盾を激しくするとともに、日本社会に深刻な荒廃をもたらしました。
  さらに、自民党政権時代の「地方分権改革」に続く民主党政権の「地域主権改革」により、事態はますます深刻になるばかりです。
  この民主党政権の「地域主権改革」は、
@ 福祉などの最低保障基準の「見直し」で、「住民福祉の機関」としての自治体の機能と役割を低下させる。
A 道州制を視野に入れた自治体のさらなる広域化と改編をすすめ、地方自治体を大企業・多国籍企業が活動しやすいものに改変。
B 憲法と地方自治法に基づく「二元代表制」を事実上否定し、地方議会の形骸化、住民自治の破壊、縮小に導く。
  がその主な中身ですが、これでは、「政権交代」に期待をかけた国民市民の願いに反するものです。

  つい先ごろ成立した補正予算には、「新成長戦略」を前倒し実施する施策が並んでいますが、政府のこの新成長戦略は法人税減税と大企業の国際競争力強化、規制緩和と民営化による雇用創出、日本農業と地域経済を破壊するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)推進など大企業応援が中心です。
 その上、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進する中身です。
 イノベーション(技術革新)拠点立地支援は、大規模設備投資に補助金を出し、戦略的M&A(企業合併・買収)の推進は大企業の海外大型買収を支援するもの。
  インフラ(産業基盤)・システム輸出の促進は原発や水事業、鉄道等の支援策は、相変わらずの大企業の要求に応えたものにほかなりません。

  松本市は、三菱総研と共同で、この「戦略」に沿った事業展開を予定していますが、果たしてこれが、地域経済の振興に手放しで喜べるものなのか、じっくりとした吟味が必要です。
  今、重要なことは、地方自治体としても家計を直接支援し、内需を拡大する抜本的対策です。
  大企業の内部留保を国民に還流させてこそ、景気の回復につながる確かな道です。  

 この間、私たち日本共産党県議団の行ったアンケートには、実に切実なものが数多く寄せられています。
  いくつか紹介します。

 「年金暮らしで大変です。3割負担で歯医者にもいけず、キュウリ、リンゴ、小魚の干物もミキサーで食べています。膝も痛くて、困っています。早くあの世にいきたくなります」

 「夫と経営していた建設会社が倒産し離婚、一人暮らしです。職安に行っても、まともに職業にも就けずどん底の生活。若者も大切でしょうが、私たちの年の人々も困っていることを忘れないでください。(中略)職業安定所なんか、"職業不安定所"です。貧乏人は死んでいいといわんばかりです。」

 「一児の母です。もう一人子どもがほしいと思っても、夫の給料では経済的に無理です。現在、パート勤務をしていて、妊娠となったら辞めなくてはいけないし、次の仕事が見つかるか年齢的にも不安でつくれません。安心して子どもを生める社会を望みます。子どもの医療費を医療機関に払い、2〜3ヶ月後に500円引かれて振り込まれるという制度は、バカげています。「振り込みます」というお知らせハガキの郵便料と、振り込み手数料がかかるので、それをやめて、窓口で受給証を見せたら無料とか、300円だけ払う、500円払うとかにできないものでしょうか。」

 「66歳です。今年の1月頃から体の不調があり、2月の会社をやめざるをえなくなり、5月入院。年金生活者になりました。入院費や医療費のため、年金を担保に銀行からお金を借りました。少ない年金から毎月返済しています。薬代は毎月1万5千円、診療費7、8千円。現在、国保税、介護保険を4月から払えない状態になりました。切実に感じることは、この国は、60歳過ぎて病気にもなったら、死ねということでしょうね。せめて、毎月の医療費代くらい仕事がしたい!です。先日長男を心臓発作で亡くしました。遺骨と黒枠の写真に涙が止まらないんです。」  

 地方自治体の課題、その施策の焦点は、なんと言っても、こうした住民・市民の暮らしと地域経済をどう立て直し、地方自治をいかに拡充するかにあります。  
  地方自治体のあり方の原点、「住民福祉の機関」としての役割が今ほど求められるときはありません。
  今こそ松本市は、地方自治体にふさわしい施策の展開、市民の暮らしを立て直し、地域経済活性化のために、展望ある基本施策を明確にする必要があります。  
  そうした観点から、今回は以下、松本市として行うべき施策の基本を5つ提案します。  

 まず、第1にあげなければいけないのは、社会保障の問題です。  
 壊された、小泉内閣以降の傷跡の解消、社会保障を、負担増とサービス削減から負担軽減とサービス拡充に転換し、安心して暮らせる松本市にすることです。  
  国保制度は、相互扶助ではなく、社会保障制度です。
  この原則を踏み外し、制度の健全な運営のために、くらしが大変になったり、健康を損ね、さらには命を失うようなことはあってはなりません。  
  保険税の負担増で、生きる希望まで奪うような制度にしては、まさに本末転倒です。  
  介護保険もしかり、制度の改悪がいわれていますとんでもないことです。  
  子育て支援策としては、市長の懸案の課題でもある医療費の窓口での無料がどうしても必要です。
  税金と社会保障による貧富の格差の是正機能が、先進国でもっとも弱い国が、日本です。  
  まず、社会保障の充実こそ第一義的課題です。

 第2は、日々の生活に直結する雇用とくらしの問題です。
  人間らしく希望が持てて生きられる、そのための働く環境、雇用のルールの確立が今ほど求められるときはありません。
  仕事の確保、非正規労働者から正規労働者への雇用転換問題は、民間のことだけではなく、公務員労働者、指定管理、委託労働者の問題でもあります。
  公契約条例の制定は、地方自治体でもできるものです。
  また、労働者の賃下げにより、1997年を頂点に、勤労者世帯の収入が減り続けています。
  一方で、大企業は、その内部留保を莫大に肥え太らせています。
  大企業の利益を働く人に還元させることは、地方自治体の施策としても、喫緊の重要な課題です。この「奪われた所得」を取り戻してこそ、暮らしも地方経済も良くなります。

  次は、大企業とも関係しますが、 3番目として、市内の中小企業への対策が重要です。
  大企業親企業との間で公正な取引が行われているか、また、仕事の確保状況はどうなっているか。
  下請けいじめの深刻な実態調査などを含め、既存の中小企業への抜本的対策が必要です。  
  町工場、中小零細業者は「日本の宝」、地域の宝、「社会の主役」(中小企業庁 「中小企業憲章」)です。
 企業の呼び込みに頼るのではなく、市内の中小業者への本格的な振興策、中小企業振興条例の制定が必要です。
  市内業者の仕事を増やし、雇用の拡大や税収増の意味でも、「住宅リフォーム助成制度」の創設など、予算額は少なくとも波及効果の大きい、身近な公共事業の展開。

 4番目は、この間も強調してきた、農林業の再生です。
  日本の食料自給率向上のための本格的政策転換を松本市の施策の中でも強力に位置づける必要があります。  農業だけでなく地域経済にも多大な影響を与えるTPPには、断固反対の態度を地方自治体としても表明することが必要です。
  民主党政権の「戸別所得補償」は、はなから問題点が噴出しています。
  価格保障・所得補償と、国境措置の維持・強化に一体的に取り組んでこそ、日本の農業だけでなく、松本の農業も守ることができます。

 第5は、財源問題です。  
  以上のような、景気対策で、市民の懐と業者の収入を増やすことで、税収増が見込まれます。  
  また、不要不急の事業の見直しを行うべきです。
  慎重な対応が求められる施策としては、新松本工業団地建設、外堀の改修と道路整備事業があげられます。
  縮小、延期を含めて改めてその議論をしっかりと行うべきです。  

 以上の五つの施策の提案に加え、来年は、平和都市宣言「25周年」です。
  画期的な国連軍縮会議の取り組みを、市民ぐるみで世界に発信することが求められます。 

 一昨年の11月28日に行った「2009年度 政策予算要求」のときも、 「医療福祉、農林業、環境、雇用での内需拡大策への根本的転換、見直し、充実が求められます。思い切ったこれまでからの施策の転換、今までの延長線上でない予算の編成が必要です。」と申し入れを行いました。  
  そのときに増して、今こそ抜本的施策への思い切った転換が必要です。
  健康寿命延伸の事業も、地域経済の発展と市民の暮らしという土台がしっかりしてこそ、花開くものと確信します。
  改めて、「当面する7つの特別課題」 とともに、以下各分野にわたっての申し入れを行います。

 

 

日本共産党・しがの風              
                会派代表    池田国昭     
倉橋芳和     
両角友成     
南山国彦     
犬飼明美     
澤田佐久子    
                                              事務局長  三村美智代   

 

   

 

〔当面する7つの特別課題〕

1 平和都市宣言「25周年」、国連軍縮会議開催にあたって
 第23回国連軍縮会議が、松本で開催されることになりました。
  この会議を機会にこれまでの松本市の平和行政をふり返るとともに、この間の世界情勢の大きな変化の上に立った、文字通り市民ぐるみの取り組み、8月15日の平和祈念式典とも合わせた、平和月間と位置づけての積極的な世界への発信、戦争遺跡の保存などに取り組むことが求められます。

2 市内の中小零細企業対策、仕事と雇用の確保、地域経済の立て直しについて   
  中小企業振興条例を制定し、直ちに市内の全事業所の実態調査を行い、データーベース化が必要です。 
  「住宅リフォーム助成制度」の創設など、投資波及効果の大きい事業展開で、市内業者の仕事を増やし、内需の拡大による、地方経済を活性化が必要です。

3 TPP、日米FTAに反対し、日本と松本の農業をまもる   
  TPPの締結は、自給率低下にとどまらず、日本農業に壊滅的に打撃を与えます。  
  農業にとどまらない、地域経済の破壊にもつながるTPPに、松本市としても断固反対の態度表明を行うことが必要です。

4 国保税・介護保険料引き下げ、社会保障費の負担軽減   
  2年連続の国保税の引き上げ、今後介護保険料の負担増が計画されるなど、お金のあるなしで、医療や介護が受けられないことがあってはなりません。   
  また、負担増により生きる希望を失い、自らの命を絶つような悲惨な事件を繰り返してはなりません。   改めて、社会保障のサービスの充実と負担軽減を強く求めるものです。

5 子どもをめぐる施策について  
  格差と貧困問題が、直接子どもに暗い影を落とし、世代間連鎖が懸念されています。 これまでの子育て支援策に加えて、こうした観点からの取り組みが必要です。

6 有料化でなく、ごみ減量の施策を   
  有料化によらなくても、ごみの減量は可能です。事実ここ5年間松本市ではごみの減量が図られてきています。
  有料化せずにごみを減らしている全国の都市に学び、実効ある減量計画を策定し、市民と事業所との協働でごみの減量、環境施策を進めることが必要です。
  有料化による負担増は、くらしを圧迫し、景気回復にも逆行します。

7 本格的な公共交通網の確立   
  高齢化社会を向かえ、年々高齢者の交通手段の確保は、緊急の課題です。  
  「くらしの糧」としての公共交通の施策の充実は、健康寿命延伸都市の実現の上でも、要中の要の課題です。
  市内の公共交通空白地帯の克服とともに、「ドアツードア」のデマンド交通の実施が必要です。    

 

 


 ― 「住民福祉の機関」にふさわしいまちづくりのための9つの施策 ―

 1、生存権は政治の原点 、憲法を生かし、平和を世界に発信する市政

 完全失業率は、5.2%と悪化し、市民生活はますます厳しさを増しています。
  市民税・所得税の負担増はもちろん、それ以上に国民健康保険税や介護保険料、そして後期高齢者医療保険料の負担増が深刻な事態になっています。
  一般会計からの繰り入れで国保税・介護保険料を引き下げる、低所得者、弱者対策への減免対策のさらなる充実が必要です。
  「高額」所得者の利用料を2倍にするなど、「負担増と給付減」を内容とした介護保健制度の見直しには反対する。
 生活保護基準以下のくらしを強いられる階層は高齢者・若者に限らず、全世代 に広がっています。
  具体的な対策をとるため、市の責任で実態調査を行なう。  
  生活保護申請時、車の保有、預貯金などの取扱は生活保護法の精神に則り、かつ 実施要領にそって保護が受けられるよう誠実な対応をすること。  
  収入見込み認定に当たっては、保護費の支給で、空白期が生じないようにする。  
  相談に来る外国人の対応については、通訳できる職員の増員など行い、外国人であることをもって不平等な扱いにならないよう配慮する。  
  申請書は窓口に置き、申請意思のある人には無条件で申請書を渡す。
  相談者の人権・プライバシーをまもる相談スペースの充実。  
  職員を増やし、ケースワーカー一人当たりの担当件数を適正にし、きめ細やかな援助を行えるようにする。
  また、この仕事に誇りを持って取り組めるよう、職員研修を充実させる。  
  要保護世帯向け長期生活支援資金としてのリバースモーゲージ制度は導入しない。  
  憲法を遵守し、市政に生かす。 憲法9条の改定に反対し、日本を「戦争する国」 にしない。
  過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する流れの「根」を絶つことが 必要です。  
  「軍事力至上主義」「日米軍事同盟とアメリカの核抑止力への依存」「解釈改憲による自衛隊の海外での戦争参加を公然と認める」という時代錯誤の危険極まりない立場に立つ民主党政権の安全保障に対する態度を正し、憲法9条に基づく平和行政を引き続き強力にすすめる。  
  核兵器廃絶についての、今年5月のNPT再検討会議、8月6日の広島平和記念式典での国連事務総長の「核兵器禁止条約締結」の提案などの到達点に立って、核兵器のない世界に向けた取り組みを具体化する。
  松本市平和都市宣言「25周年」、そして国連軍縮会議の開催を来年に控え、市民ぐるみの企画、戦跡保存など記念事業、そして世界に向けて松本市からの積極的発信を行う。
  1年を通じて平和事業を展開する。  
  日本の侵略戦争の事実を正確に教える小中学校での平和教育をはじめ、さらなる平和行政を市政に位置付ける。
  松本市として戦争の歴史や戦跡の保存をおこない、歴史の事実を風化させない。  
  国民保護計画にそった訓練の実施はおこなわない。

2、生存権を保障する社会保障制度を築き、市民のくらしを支え、健康・福祉を守るまちづくり

  地方自治体が、市民の命とくらしを守る最後のセーフティネットとして、「住民福祉の機関」としての地方自治体本来の役割が今ほど求められることはありません。  
  「健康寿命延伸都市・松本」の実現には、まずその市民のくらしを支える強力な土台が必要です。    
  後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を求める。  
  福祉医療制度を受けている高齢者については、不利益が生じないようにする。  
  介護保険については、保険料のさらなる軽減をはかる。
  施設不足の解消、介護職場の待遇改善をすすめる。
  同居家族のいる場合の訪問介護サービスの生活援助の提供については、これまでどおり「必要な」サービスの提供が受けられるようにする。
  特にケアマネジャーが自信と誇りを持って仕事ができるように行政としてサポートする。  
  受益者負担を原則とした障害者「自立」支援法については、実態調査に基づき、介護保険同様独自補助を充実するとともに、応益負担を応能負担にもどすなど、国に向かって法の抜本的見直しを強く求める。  
  利用料軽減策の実施、自治体からの仕事をふやすなど仕事を確保し、松本市独自の施策をさらに充実させる。
 高齢者が住みなれた地域で安心して生活が送れるように支援する包括支援センターの役割は、ますます重要となってきます。
  財政的裏づけも含めた体制の強化を求めます。  
  国民健康保険証はまさに「命綱」です。
  引き続き、お金が払えないことを理由とした保険証の取り上げ、資格証明書・短期保険証の発行はやめ、安心して医者にかかれる環境をつくる。  
  更新時の原則全世帯発行は前進ですが、引き続き「無保険状態」とならないようにする。  
  また、未交付のなかに発行すべき対象者がいないか調べ、郵送の方法もふくめて全世帯に発行する。  
  国保税の引き下げをおこなう。
  「相互扶助」ではなく、社会保障の観点からの行政の役割が求められます。  
  国保の広域化には、参加しない。  
  火災の場合のみならず、緊急避難的に入居できる「福祉住宅」「緊急避難住宅」などの施策を充実する。    
  多重債務やサラ金問題など消費者問題とともに、くらし、住宅、仕事などに係わる総合的な相談のできる、ワンストップ対応型「くらし相談窓口」を設置する。
  昨年同様、年末年始に「雇用・生活」相談窓口を設置する。

 3、命を大切にし、子どもと教育を守り、子育てを支援する市政  

 日本国憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる新しい教育基本法制定を求める。  
  子どもの権利条例の制定を急ぐ。  
  大人社会の貧困問題が、子どもたちに暗い影を落としています。
  貧困から子どもを守る視点での施策、教育行政の総点検を行う。  
  異常気象対策として、小中学校の保健室にはエアコンを、当面全教室に扇風機の設置を求めます。
  「教師を語ることは教育を語ること」教師の多忙化の解消、負担軽減は急務です。
  中学校までの「30人学級」の早期実現。 不登校児童対策をきめ細やかにおこなう。  
  校内暴力や暴行事件に関わる児童・生徒への対応として、スクールソーシャルワーカー(SSW)の増員配置を県に求める。
  子どもたちの学力と豊かな成長を保障する事に直結すると考えます。そのために教育委員会が「子どもの最善の利益」を守る立場で、最大限の努力をすること。  
  「つめこみと競争」をさらに助長する全国学力テストには、参加しない。  
  いじめの松本市の独自の調査基準に沿って、いじめの事態を掌握するとともに、国の「競争」をあおる教育政策の根本的転換とともに、教育現場での実践や教育学の成果を踏まえた取り組みをすすめる。  
  子どもたちと若者のための本格的な居場所作りを行う。  
  子どもの基礎的学力を保障し、人間形成を助ける学校づくりをすすめる。  
  義務教育における父母負担の軽減。  
  学校給食センターの民間委託はおこなわない。  
  家計がいっそう苦しくなる中、授業料などの負担増や滞納問題が深刻化しています。そのため、厳しい経営を迫られている私立学校に対して、私学助成をさらに拡充する。  
  障がい児のライフステージを通じた一貫した療育が受けられるように療育システムを構築していく。
  就学、就労などの相談支援事業の充実のために総合相談窓口となる療育センター機能をもった拠点を設置する。
  OT(PT)・心理・保育士・教員等の専門スタッフを配置、早期療育と5歳児健診の実施、発達障がい児の集団療育の実施などをとおして松本市の障がい児療育の充実を図る。  
  「合理的配慮」という最新の到達点にたった障がい児(者)対策の実施、充実。  
  特に発達障がいの子どもの療育は緊急の課題となっており、保育所、学校現場との連携も図りながら、療育を進める。
  また、長野県が進める発達障がい者支援センターとの連携が進むように働きを強める。  
  軽度発達障がい児教育に関する教職員の研修の機会を増やす。
  子どもの弱視対策、検診の年齢の引き下げ。
  貧困と社会的格差の広がりから子どもをまもる取り組みを強める。
  安心し、ゆとりを持って子どもを生み育てるための「子育て支援」策を引き続き進める。
  ひとり親家庭を始め、子育て世帯に援助する施策を拡充するとともに、国による児童手当や扶養控除の廃止による「子ども手当」の実施には反対する。  
  児童扶養手当の充実。 乳幼児医療費の一部負担金を無くすよう、強く県にもとめる。福祉医療の所得制限なしの窓口無料化の早期実現と県下では遅れたグループとなっている対象年齢を引き上げる。    
  公費負担による妊婦検診の回数は14回で継続する。深刻な産科医師不足対策を強める。
  出産育児一時金の増額をおこなう。
  ワクチン3点セット(子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌)への助成を行う。
  未満児保育、障がい児保育など松本市のよき保育行政の歴史と伝統を守り、独自の配置基準に見合った人員配置と施設整備をすすめる。
  「マンモス」保育園の解消、希望する保育園への入所ができるように。
  自治体病院としての役割が十分果たせるよう、「松本市立」波田病院の運営。  
  保育園での正規職員を増員し、当面嘱託職員の採用期間の延長と手当ての充実をはかる。  
  放課後児童クラブ事業は「安心して働け、子どもの成長を支える」子育て支援策にふさわしい位置付けを明確にし、運営基準のさらなる充実。
  指定管理者制度でも「公設公営」の今までの松本市での実績、経験を後退させる事なく、関係者との協働で、より質の高い発展したものに作り上げていく。
  学童クラブ(放課後児童育成クラブ)への補助を増額する。
  また、児童クラブ事業との利用者負担は平等にする。  
  放課後子どもプランの推進にあたっては、放課後児童クラブ事業と放課後子ども教室の違いと役割を明確にして各々の充実をはかる。  

 4、市民の生命・財産を守るまちづくり  

 「地域福祉力」は「防災力」の位置づけで、地域でのつながりを生かした地域自主防災組織の確立・充実をはかる。
  防災マップの周知と充実を徹底する。  
  災害時など、要援護者登録制度に関して、配慮を持った情報開示。  
  包括支援センターとの連携を強めて、地域防災力を高める。  
  防災拠点としての出張所の位置づけを高め、学校など公的施設との連絡・通信網の整備、拡充をする。  
  人的消防力の強化など、広域連合に、消防体制の強化を申し入れる。  
  消防の広域化は、やめる。デジタル無線化についても、地域を中南信にこだわることなく、効果、効率を十分検討してすすめる。  
  消防団員、消防署員の自身の安全確保対策を図るとともに、引き続き消防団と団員の待遇改善をすすめるとともに、団員のさらなる確保につとめる。  
  開発や土地利用の変更にあたっては、災害にどのような影響があるかを事前にチェックする 「防災アセス」を導入する。  
  免震構造を持つ新たな防災センターの設置を速める。    

 5、地域で、誰もが安心してくらせるまちづくり  

 生活者の目線に立った安心できる「まちづくり」をめざし、市民との協働をすすめる。  
  高齢化社会の中での「くらしの糧」としての、交通弱者の交通手段の確保を中心に据え、環境問題を考慮し、新公共交通システムを住民の意向を踏まえて構築を急ぐ。
  細かな地域での懇談会を開催し、多様な意見を聞く。  
  松電バスと市独自の乗り入れバス、地域振興バスなどの組み合わせ、「ドアツードア」のデマンド交通の本格的導入、それが出来ない場合の高齢者へのタクシー利用補助などの対策を考える。
  市内交通空白地域克服への対策を具体化する。
  パーク・アンド・ライドをさらに推進する。  
  まちづくりそのものを、開発優先から、防災を重視した住民参加型、子どもの意見も取り入れてすすめる。    
  指定管理者による徴収率アップに名を借りた水道料金の強制的な取立てはしない。  
  ひとり親世帯・生活保護世帯の水道料金の減免をおこなう。  
  高齢者・低所得者や子育て世代・若者が市営住宅並家賃で暮らせるよう、民間住宅入居の際の家賃補助制度を新設するなど、「住まいは福祉・住まいは人権」の観点で住宅行政を充実させる。  

  6、農林業を再生し、地域経済活性化策として本格的に位置づける市政      

 日本農業と地域経済、国民生活を土台から破壊する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、日米自由貿易協定(FTA)や日豪経済連携協定(EPA)参加に断固反対し、食料主権を保障するとともに、米価安定のための抜本的対策を国に求める。  
  農林業の衰退をさせないため、地域活性化・環境保全とともに国の施策を後退させないよう、強く国に求める。  
  「食料主権」「食糧自給率の引き上げ」「地産地消」「農産物の価格保障と農家の所得保障」対策を内需拡大として本格的に位置づけ、市独自の対策を強化する。    
  遊休荒廃農地に対する実効ある対策の強化。
  大規模農家、家族農業を支え、新規就農者育成支援と後継者支援施策を拡充する。
  安心・安全な食糧確保の観点からも地元農産物の給食材への供給など地産地消をすすめる。
  また、地元農畜産物や特産品の支援・育成を強め、松本市の農業を守り発展させる。  
  地域資源の活用と市民の健康を守る地産地消、食育の推進、食の安全、環境保全を基本にした仮称「松本市食と農のまちづくり条例」の制定をめざす。    
  真の地域農業活性化に生かされる農・商・工連携事業の推進を。  
  有害鳥獣対策は該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行うよう求める。
  県とも連携し広域的な対策をすすめると同時に、里山整備をすすめ、動植物の生態系保護や増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域を設けるなどの取り組みをすすめる。   
  防護柵・わなの設置、捕獲物の利用など、農家への支援をさらに強める。  
  適切な森林整備と国産材の供給体制を確立し、地元産の木材を使った公共施設や住宅の建設などの林業・木材産業の再建をはかる。広がりつつある、「松くい虫対策」を強化する。     
  木質バイオマスや森林セラピーの推進など山村地域での新たな事業を促進する。
  林業労働者の確保と林業技術の継承を重視し、持続的な経営管理にとりくむ。  
  間伐の助成を強めるとともに境界の確定を促進し、生態系や環境保全に配慮した技術の確立と助成制度で、林道・作業道など生産基盤の充実をはかる。  

 7、内需主導の産業政策を確立し、地元業者の経営、雇用と労働条件を守る  

 足元工事を増やし、地元業者の仕事確保をすすめるため、簡便な「住宅リフォーム助成制度」を創設する。  
 公契約条例を制定し、労働者の賃金確保と公共工事の質の向上をはかる。    
  自治体による企業誘致での地域活性化にたよらず、中小企業・自営業者がその役割を存分に発揮できるよう、中小企業憲章を基に、中小企業を振興する施策を実施する。  
  今ある産業の維持発展のため「中小企業振興条例」を制定し、すべての市内の中小企業の実態調査を市の責任で行い、中小零細企業、小売店の融資・人材・技術・市場の各分野にわたって直接支援できる体制を整備する。
 技能五輪の誘致を機に、後継者対策に力を注ぐ。
  ものづくり技術の継承、産・官・学連携のものづくり・技術開発は地場産業との連携を図り、新製品の販路・流通までの支援をおこなう。
  豊かな観光資源を生かし、地域の特性を生かし、活性化につなげる。      
  市内の雇用労働の実態調査を行い、非正規雇用や請負労働者の実態を把握して「安定した雇用」と「人間らしく働ける労働条件」の確立をはかる。      
  ワーキングプアや失業者のために、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの生活支援を早急に実施できるよう、条件整備をすすめる。  
  また、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設し、手続きは素早く行なう。       
  ニートとよばれる若者に対して、より人間らしく成長し働けるよう、相談、教育、社会体験や職業体験、就労などの支援を「継続」して行なう。      
  臨時職員・非正規職員の賃上げ、労働条件の改善をはかる。

 8、地球温暖化対策の遅れを克服し、「人にやさしく環境を大事にする松本」をめざして  

 環境基本計画と一般廃棄物計画をリンクさせ、本格的な「ゼロウェイスト」自治体を目指す。  
  地球温暖化防止地域推進計画の策定に当たっては、90年比25%削減の国の目標に照らし松本市の目標値をCO2削減目標は90年比30%、再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%にするなど積極的な目標設定にし、施策を強力に推進する。
  大量生産・大量消費・大量廃棄の経済からの転換をはかる新産業政策、グリーンニューディールを推進し、これにとりくむ中小企業・中小工務店への仕事おこし、技術開発と普及を支援する。    
  温室効果ガス(CO2)削減など地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、「松本市地球温暖化防止条例」を制定する。    
  太陽光発電の普及を拡大するための施策をさらに推進する。
  設置補助金の増額や公共施設への設置、特に市内のすべての小中学校に「ソーラーパネル」を設置するにあたっては、早期に子どもたちへの環境教育をすすめる。    
  BDF(バイオディーゼル燃料)精製プラントの高機能化、利用車両の拡大などをすすめる。
  バイオマス、雨水利用、小規模地域水力発電所など自然エネルギーの開発を促進し、より温室効果ガスの排出量の削減に努める。
  ペレット燃料の生産やペレットストーブの公共施設への設置などについては市としての財政的支援を強化し、具体化をさらにすすめる。  
  バイオ燃料は、食料と競合しない植物資源を使い、国内産・地域産の資源を優先活用することにより、新たな産業の創造や環境保全に貢献するもので取り組みをすすめる。
  太陽光・小型風力・小型水力・バイオマス・地熱など再生可能エネルギーの開発と普及、静脈産業、さらに再生医療・個人に合った福祉器具の開発などにとりくむ中小企業への支援をおこなう。  
  ごみ「焼却中心主義」から、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進、特に「発生抑制(リデュース)」に努め、プラスチック類の再資源化など限られた資源の有効活用をさらにすすめる。      
  市民の積極的な取り組みにより、ごみ排出量が減少しています。現状を鑑み「ごみ有料化」はしない。  
  買い物袋持参運動を進める。      
  廃棄物の不適正処理や保管、不法投棄とそれによる環境汚染に歯止めをかけ、違法行為の「やり得」を許さないために、違反者への「厳格な指導と監督」を県にもとめる。      
  廃棄物処分場周辺の環境調査(水質・大気・臭気・アスベスト・植物・昆虫などの生態系)をおこない、周辺住民が安心して暮らせる生活環境の保全をはかる。

 9、「市民が主人公」のまちづくり  

 松本城のお堀復元・道路拡幅事業はいま即必要かも含め、全市民対象の意向確認調査を行い、市民の納得と合意を重視する。  
  まつもと市民芸術館の運営については、市の財政状況と市民生活の実態を考慮しながら、自主事業の縮小、芸術監督制度の見直しなどをすすめる。
  また、まつもと市民芸術館内の空き施設は、音楽練習室など若者が利用できるようにする。  
  市民のだれもが、芸術文化を享受でき、明日へ生きる希望がわいてくるような、文化芸術行政が求められます。
 主要施設への磁気ループの設置。
  発掘調査を進めている殿村遺跡は、歴史的・文化的価値を調べ、保存活用をする。  
  市の幹部職員や各種審議会へ女性の登用率を高めるなど、男女共同参画をすすめる。      
  合併5地区については、新市建設計画に沿い、地域の伝統・文化を守るまちづくりを進める。
  また、波田地区においては生活環境が激変とならないよう、施策の検討・取り組みをすすめる。   
  地域協議会・地域審議会での十分な協議を重ね、その地域が取り残されることがないように、またこれまでよりサービス低下がおきない配慮を持って進める。    
  支所機能の見直しにあたっては、改めて地域住民の声に応えて慎重にすすめる。      
  予算編成過程の公開・意見集約は、市民と行政との協働の画期的な成果として今後も実施し、パブリックコメント等の活用で、市民みんなでまちづくりを進める観点からの予算編成を行う。      
  引き続き市の財政状況をはじめとした行政情報の公開を積極的に進め、「参画」「納得」の市政運営で、「市民が主人公」のまちづくりをおこなう。    
  保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野でのNPO活動を支援し、協働をすすめる。

  以上