社会福祉協議会鎌田支会の新年会に当たり、ごあいさつを申し上げます。
 日頃の皆さんのご尽力、ご奮闘に、まず最初に心から感謝申し上げます。本当にお疲れ様です。

  さて、 松本市内の子ども達で、生活保護を受けたり、就学援助金制度を使っている小中学校の生徒の数が、7年前に比べ約2倍になっています。
  1999年に、市内全生徒に占める割合が、6%弱で、約1000人だったのが、今年度は、約11%2000人に増えています。
 (正確には、99年は、986人 5.7% 05年が2049人 10.9% 注:05年は合併後の人数)
  給食費が払えないという事で、この制度を使う家庭が増えているのですが、それでも支給された給食費の分が生活費に回ったり、給食費は、直接学校の口座に納められても、他の学年費や修学旅行の積立金が払えず、立替ないしは一時立替をしなければならない深刻な家庭が増えているのです。
  高齢者の皆さんの生活も大変な中で、祖父母「おじいちゃん、おばあちゃん」の方も、それを支えられない状況かと思います。

 新年会のお祝いの席でのお話の導入が、少し暗いところから入ってしまい申し訳ないわけですが、こうした実態は、長年地域の皆さんのくらしや福祉のことでご苦労されている皆さんが一番よくご存知で、お悩みのことではないかと思います。

  今、「新自由主義」という、力ある者が、さらに力を増すような政治が行なわれ、「勝ち組」・「負け組」という言葉が、当たり前のように使われ、身近なところでリストラで職を失ったり、くらしが大変など、実に殺伐とした世の中になっています。
  小泉首相が進めている「構造改革路線」とは、結局のところ「弱肉強食」の社会、資本や財力がある人は、ますます儲けられるような仕組みづくりで、本当に人間らしさが失われるこれで本当にいいのかと思わされるような状況です。

  例を挙げれば、限がありません。
  耐震偽装事件も、結局その背景には、人の命より利潤第一ということです。
  また、ライブドアのことも「マネーゲーム」、儲け優先という風潮。
  儲けのためには、人はどうなってもいいかのようです。
  耐震偽装事件でも、そしてライブドアでも、関係者の自殺を伴っています。
  儲け優先のやり方は、人間らしさを奪うだけではなく、文字通り命までも「生贄」にされる。利潤の代償にされる。
 
  実に誰が、こんな社会にしてしまったのでしょうか。
  本当に問いたくなるのは、私たち大人だけではないのかもしれません。
  人を欺いても、蹴落としてもという競争社会の矛盾がそのまま影を落としている子ども達は、声を上げることすらできずに、自己責任として問われ、不登校や自殺未遂などで悩んでいる状況として現れています。

  大人にとっても、そして未来ある子どもたち、青年にとっても、まさに閉塞状態のこの社会。
  こうした「勝ち組」・「負け組」、貧困と格差の拡大は、歴史的に観ると2つの道を歩む可能性があります。
  その一つが、反動政治やファシズムの道だったことは日本の歴史でも、そして私よりも皆さんが体験されている道です。
  逆に、みんなでその「元来た道」でなく、社会的に連帯して力をあわせるならば、今の状態を変えて、それこそ人間らしい社会、子ども達にお孫さんに明るみ未来を作り上げる可能性が開ける時でもあると思います。
  私は、そうした後者の可能性にかけたいと思います。
 
今、「あの戦争は正しかった。」憲法九条を変え、再び日本が戦争できる道筋を作ろうとする前者の動きは、そうした意味でも断固撥ね返さなければならないと思っています。

 さて、松本市では、菅谷市長が誕生して以来、住民の皆さんの声に十分耳を傾け、「10のまちづくり」、「健康づくり、危機管理、子育て支援」の3Kプランを重点的に展開する新しいまちづくりが本格的に展開され始めました。
  今、市長も言っていますが、政府の「三位一体改革」は結局のところ、松本市への補助金などを予算を削減し、都市部へ回す方向で、地方の都市にとっては、よいことはありません。
  市長が目指すまちづくりも財政的には大変な困難を抱えています。
  そんな中でのキーワードに、「協働」がございます。
  行政といろいろな組織、たとえばこの社会福祉協議会、また行政と市民一人一人の役割をお互いに担い合った協働にとどまらずに、 地域住民の一人一人の暮らしを守る意味での、スクラムとしての自治体ぐるみの市民的協働も、今年は大きな課題だと思います。
  そして、この「新しい協働」は、必ずや誰もが人間らしく暮らせる、市長が目指す安全・安心のまちづくりの土台を作り上げることでもあると思います。
  それには、本当の意味で、地域の皆さんのくらしに寄り添っている今日お集まりの皆さん方のご尽力、団結と連帯が不可欠と確信します。

  お金優先でなく、一人一人の人間らしさを回復するそうした社会を実現するために、今年は本当に重要な年、明るい未来への可能性を開くことのできる年になろうかと思います。

 市政の場においては、牛山輝雄議員とともに力をあわせながらしながら、そして地域の皆さんにおかれましては、今までのご奮闘に感謝申し上げるとともに、これまでにも増してのお力添えをお願い申し上げて、明るい未来を開く社会福祉協議会鎌田支会への新年のごあいさつとさせていただきます。

 本日は、本当におめでとうございます。

                           2006年 1月20日                      
                                         池田国昭