平成18年2月定例会     経済環境委員会委員長報告

 経済環境委員会の報告を申し上げます。
  委員会は去る9日及び10日に開催し、付託されました41件につきまして、慎重に審査を行い、終了いたしましたので、その経過並びに結果について、ご報告を申し上げます。
  初めに、条例の制定及び一部改正について申し上げます。

 議案第5号 松本市防犯条例でありますが、これは防犯に対する意識の高揚と自主的な防犯活動を協働で推進することにより、安全で安心して暮らせる住みよい地域社会の実現を図るため、基本理念等、松本市の防犯に係る基本的事項について定め、提案されたものであります。
  まず委員からの質疑では、12月に実施したバブリックコメントや請願・陳情において、市民から多くの反対意見等が寄せられている中での本条例の提案について、理事者にその見解を求めたところ、
  議会への相談や町会・防犯活動団体等への説明を実施し、一定の理解を得たうえで、進めてきている。
  寄せられた意見等で危惧される点については、条例で規定している防犯推進会議において、十分議論いただくとともに、施策の実施にあたり、十分反映していきたい。
  旨の説明がなされております。

  また、本条例案で定めている目的や市民の責務等は、市民の思想や信条等、人権を侵害する恐れがあるのでは、という指摘に対しては、
  防犯意識の高揚は、市民に強制するものではなく、当事者意識をもってもらうものであり、また、パトロール等も、あくまでも自主的な活動であり、犯罪機会の減少を図り、犯罪を起こしにくいまちであることをアピールするためのもので、危惧されているような監視社会や密告通報社会を助長するようなものではなく、加えて、市民の責務はあくまで努力目標であり、強制でなく、人権侵害に及ばないように細心の注意を払って条例を運用するよう努めてまいりたいとの見解が示されております。

  また、条例案で定めている防犯推進会議での決定事項と松本市の防犯施策との関係において、松本市政の独立性・自主性は確保されるかについては、市長が諮問した場合は、会議の結論を十分尊重し、また、推進会議の結論で疑問があるような場合は、議会等にも相談しながら、実施するかどうかの最終判断は、市長が行うとの回答が示されております。

 こうした質疑を通じ、委員からは、パブリックコメント等で指摘されている人権侵害や監視社会に繋がるとの市民意見に対して、条例案の中にその対応がなされていない。
  また、そもそも条例において人間の「内心」にかかわることに踏み込むことには、問題があり、更に内容について全市的な議論が必要である。
  また、この条例を制定しなくても防犯施策が実施できるのなら、市民の危惧がある以上制定すべきでない、との反対意見が出されました。

 一方、住民が話し合いながら防犯活動することは、地域の連帯や地域コミュニティーを高めることにも繋がるものである。 
  また、パトロール等の実施により犯罪抑止力を高め、犯罪機会を減少させ、そのことにより児童等の安全を守ることになる。 
  また、基本的には犯罪の防止は、警察で行うものであり、警察官の増員等、警察力の強化がまず必要であるが、現在の社会背景を踏まえれば、そればかりを頼っている状況ではない。
  等、全市的な防犯対策を進めていく上で条例制定は必要であるとの賛成意見が出され、 こうした賛否両論の白熱した議論が繰り広げられた後、委員会は、起立採決の結果、議案第5号は、原案どおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、委員からは、松本市でのパブリックコメント制度の確立について、早期に検討・研究を求める要望が出されております。

  次に、議案第11号 松本市営バス条例の一部を改正する条例及び議案第12号 松本市簡易水道事業等の設置に関する条例の一部を改正する条例については、乗車券の種類の見直しや検査手数料等の統一に伴い、所要の改正を行うものであり、それぞれ原案どおり異議なく可決すべきものと決しました。

 次に、議案第13号 松本市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例については、一般廃棄物の再生利用及び減量化を推進するため、多量排出事業者の責務に関する規定の追加など所要の改正を行うものであり、原案どおり異議なく可決すべきものと決しました。
  なお、委員からは、廃棄物管理責任者を定めるに当たり、責任者に自覚と責任をもってごみ減量にあたるよう、市から強く要請するよう求める意見が出されております。

 次に、議案第29号 松本市農業委員会に関する条例の一部を改正する条例については、合併特例法による委員の任期が終了することに伴い、所要の改正を行うものであり、原案どおり異議なく可決すべきものと決しました。

 次に、予算案についてでありますが、当委員会に付託されました平成17年度補正予算案、並びに平成18年度当初予算案であります21件につきましては、いずれも原案どおり可決すべきものと決しました。
  以下、予算審査の過程での主な質疑、要望等について申し上げます。

 初めに、市民環境部関係では、地球温暖化防止事業に関連し、住宅用太陽光発電システムの設置補助について、市の今後の事業展開について質したところ、当面1%の普及率になるまで継続し、更には、新エネルギーの開発も進んでいるので、その動向を注視しながら、クリーンエネルギーの積極的導入等、地球温暖化防止を推進していきたい旨の見解が示され、委員からもCO2の削減に向け、特に排出の多い冬の暖房において、新エネルギーの導入を市民生活の中に広げるなど、一層の事業展開を求める意見が出されております。
  また、容器包装プラスチックの資源化について、費用対効果の面から、将来焼却処分の検討も必要ではないかとの意見、 また、町会関係費に関連し、協働の自治・コミュニティーを進める中で、市民が主役となる地域内分権の推進に向けて早期に取り組むよう求める意見が出されております。

 次に、経済部関係では、観光宣伝事業に関連し、市内最大の夏まつりである松本ぼんぼんについて、他の観光イベントとのバランスや費用対効果の面から、その負担金額の妥当性について見解を求めたところ、実行委員会において、参加負担金の徴収等、収入増について検討を行なったが、企業協賛や子ども連との関係から難しい状況であるので、経費配分を含め開催方法等についても検証・検討し、負担金の増額等について必要に応じ議会と相談してまいりたい旨の見解が示されております。
  また、農業ルネサンス事業及び農村女性活動推進事業について、その事業効果を十分検証し、今後の産地づくりや担い手育成等、農業振興に繋がるよう一層の取り組みの充実を求める意見が出されております。

 そのほか、スキー場をはじめ観光施設における更なる経営努力を求める意見、ニーズやタイミングに合わせた新たな工業団地の立地や企業誘致の積極的PRを求める意見等が出されております。

 なお、平成18年度当初予算について、防犯条例関係の予算計上があることから、反対意見がありましたことを申し添えます。    

  次に、議案第87号 長野県民交通災害共済組合を組織する地方公共団体数の増減について、及び議案第88号 安曇野松筑広域環境施設組合規約の変更についてでありますが、これは、市町村合併等に伴うものであり、それぞれ異議なく可決すべきものと決しました。

 次に、議案第94号から第百2号までの、以上9件は公の施設の指定管理者を指定するものであり、それぞれ可決すべきものと決しました。
  なお、委員からは法律の本来の目的である民間参入を視野に入れ、次期指定となる平成19年度に向け、指定管理形態を含め早急に研究・検討を求める意見が出されております。

 続いて、請願について申し上げます。 請願第1号 「最低賃金の引き上げを求める意見書」採択を求める請願、及び請願第2号 「パートタイム労働者等の均等待遇実現を求める意見書」採択を求める請願につきましては、いずれも現在の労働実態を踏まえ、請願者の願意を妥当とし意見書を提出すべきとの意見の一方で、雇用側とのバランスや労使の話し合いの必要性など考慮のうえ慎重に取り扱うべきとの意見もあり、起立採決の結果、それぞれ不採択とすべきものと決しました。

 次に、請願第5号 松本市防犯条例の制定しないことを求める請願、及び 請願第9号 松本市防犯条例の制定に反対する請願書につきましては、関連する議案第5号が可決されたことから、議決不要とし、それぞれ不採択とすべきものと決しました。

  以上で、経済環境委員会の報告といたします。

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